冷戦崩壊のifを描いたオンラインFPS『’83』発表。個人のプレイが戦局と物語を変える
「もし東西冷戦に火がついていたら?」
パブリッシャーTripwire Interactiveは、歴史のifを描くオンラインFPS『’83』を発表した。制作するのは、ベトナム戦争をリアルに描いたFPS『Rising Storm 2: Vietnam』などで知られるAntimatter Gamesだ。
『’83』はその名のとおり、1983年の冷戦時代を舞台にしている。登場する軍隊、車両や武器、地域に至るまですべてが当時の現実の世界に即して再現される。『’83』には巨大なマップが存在し、そこを舞台にNATO(北大西洋条約機構)とワルシャワ条約機構の軍隊が衝突した架空世界の戦争が描かれる。
Antimatter Gamesが『’83』の特徴としてアピールしているのが、“Persistent Warfare”と呼ばれる機能だ。“Persistent Warfare”とは、敵を仕留めたり捕虜にしたりといったすべての行動が追跡、記録されるシステム。より大きな戦局に反映される仕組みと説明されている。人々が起こした行動の結果は、プレイヤーがどのサーバーにいようとも、その後のマッチに目に見える形で影響を与えるとしている。プロジェクトのリードデザイナーであるSturt Jeffery氏は“Persistent Warfare”について次のように語っている。
「(Persistent Warfareは)すべてのプレイヤーに戦況に貢献する機会を与える有意義な方法であり、プレイヤーの個人的な戦争物語とコンテンツの開発進行を調和させるものだ」
筆者の推測になるが、この説明を言葉どおりに受け取れば“Persistent Warfare”とは各サーバーでのマッチの結果がNATOとワルシャワ条約機構が衝突した架空世界の戦況に、継続的に影響を与え続けていくシステムということになるだろう。オンラインマッチの結果で得られたデータに沿って、その後のコンテンツ開発をしていくのだとすれば画期的なシステムといえる。
またJeffery氏は「類似ゲームでありがちなゲーム内アイテムや実績や称号以上に、名のあるプレイヤーが名声を得られるように、いくつかの興味深い方法を用意している」と語っている。どういった仕組みになるのか具体的なことは不明だが、著名プレイヤーはゲーム内で“赤い彗星”などと恐れられることになるのかもしれない。
「ある日突然戦争がはじまる」という感覚は、いまの若いゲーマーには理解しがたいかもしれない。しかし「明日この世界がなんの前触れもなく滅ぶかもしれない」という冷戦の恐怖は当時、たしかに存在した。核戦争後の世界を描いた漫画「北斗の拳」の連載がはじまったのが、ほかならぬ1983年だといえばAntimatter Gamesが選択した1983年という舞台にいかにリアリティがあるか、ご理解いただけるかもしれない。当時の緊迫感は発表されたアナウンス・トレーラーからも伝わってくる。明日目が覚めたら戦争がはじまっているかもしれない──そんなひりひりするような当時の空気をリアリティをもって描こうとする『’83』に期待したい。
『’83』は、Unreal Engine 4を用いて開発中。現在のところ、発売日や対応プラットフォームは不明。GDC 2019に出品予定とのことで、今後数か月以内に続報発表が予定されている。