カードゲーム『Artifact』を手がけたRichard Garfield氏、Valveとの契約が打ち切られていた

昨年2018年11月の発売からプレイヤー数の減少に苦しむValveの新作デジタルカードゲーム『Artifact』。発売前はあのValveの新作というだけでも大きな話題を集めたが、『マジック:ザ・ギャザリング』のデザイナーRichard Garfield氏をValve社内に迎え入れて開発したという点も、Valveの本作への力の入れようを示す例としてしばしば取り上げられた。ところが、Richard Garfield氏とその開発チームThree Donkeysが、2019年3月にValveとの契約を打ち切られており今後の『Artifact』の開発に関わらないということが、『Artifact』のコミュニティサイト「Artibuff」のrokman氏によるRichard氏本人への取材によって判明した。

Richard Garfield氏は、1993年に発売されトレーディングカードゲームというジャンルを作り出し、今なお高い人気を誇る『マジック:ザ・ギャザリング』のメインデザイナーとして有名な人物。『MTG』を販売するウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から退社した後も、『デュエルマスターズ』やボードゲーム『キング・オブ・トーキョー』のデザインなどを行っており、長くゲーム界に携わり続けている。現在は同じく『MTG』の開発に携わっていたSkaff Elias氏とゲームコンサルタントチーム「Three Donkeys」を立ち上げ、主にコンピュータゲームの分野で活動している。

前述したとおり、Richard氏およびThree Donkeysは開発初期からValveと提携し、『Artifact』の開発を行ってきた。『Artifact』は、Valveの開発する、『DOTA2』の世界観を元にしたデジタルトレーディングカードゲーム。MOBAの要素を取り入れたコアゲーマー向けのDTCGとして注目を集めたが、ランダム性の高さやマネタイズモデルが、ローンチ直後から不評を集める結果となった。発売からプレイヤー数は大きく減少を続けており、苦しい状況に立たされていると言えるだろう(参考記事)。

Valveは2018年3月7日、VRエンジニアなど同社の従業員13名の解雇と、一部請負業者との契約終了を公表した(UploadVR)。先日はActivision Blizzardが大規模なレイオフを行ったことが話題になったが(参考記事)、ValveはUploadVRを通じて「これは会社の大きな方針変更を示すものではない」との声明を出しており、実際人数だけ見れば規模は小さいものだ。一方、この「一部請負業者」が同社におけるどういった存在だったか、についてはほとんど説明していない。「Artibuff」の取材によって、この「一部請負業者」が実は前述のThree Donkeysであることが判明したわけだ。

Richard氏はrokman氏の取材に対し、「『Artifact』のこのローンチ状況を鑑みれば、我々がValveから解雇されることは驚くべきことではない。私たちはこのゲームに対して熱意を持って取り組んだし、良いものができたという自信はある。しかし、このゲームを私たちが理想とするレベルに持っていくことは簡単ではなかった、ということははっきりしている。……このゲームが発売された今、重要なのは時間だ。開発チーム内の意見が多ければ多いほど、開発における意思決定は遅くなっていく。それに--4年以上の開発期間が終わり、我々のチームの知見がもたらすものは今ではさほど重要ではない。」(抄訳)と述べている。

ローンチから不調が続く状況で、ゲームの今後の展開を鑑みてレイオフを受け入れたとの内容だ。「Skaffと私はこのゲームのクオリティについては今でも楽観的で、これからもフィードバックやアドバイスは無償で続けていく。」「Valveと一緒に仕事をするのは楽しかったし、Valveのゲームに対するこだわりには感動した。」との言葉もあり、Valveとの関係自体は良好なようだ。

とはいえ、『Artifact』の今後の展開は極めて不透明だ。ゲームのアップデートは1月末以降行われておらず、これからのアップデート予定なども公表されていない。強カードのリメイク等はあったものの、発売から今まで新カードの追加はされていない。iOS/Android向けのモバイル版も、2019年内に公開するという告知以外に具体的な情報は明らかにされていない。公式Twitterアカウントは12月から一度もツイートがない、という状況だ。Richard Garfield氏が去りし後、これから『Artifact』はどのような道を辿っていくのだろうか。

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