任天堂IPの侵害報告が今年に入り激増。アメリカ環境保護庁が『ヨッシーアイランドDS』のBGMを無断使用、中国でも盗用事例相次ぐ

中国メーカー娃哈哈のビタミン剤パッケージ画像 Image Credit : Bovis_VII

EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)が、キャンペーンサイトにて『ヨッシーアイランドDS』のBGMを無断使用したことがコミュニティの間で話題となっている。ことの発端は、EPAが運営する環境保護を促すキャンペーンサイトRecycle Cityにて、フラッシュゲーム『Recycle City Challenge』を設置したこと。

今月2月半ばに設置されたであろう『Recycle City Challenge』 は、ゲーム感覚でゴミや環境保全について学ぶという子供向けのフラッシュゲームである。手書き調のイラストにあるオブジェクトをクリックしていく“よくある退屈なゲーム”に過ぎないのだが、そこへ訪れたユーザーはプレイ中に流れるBGMに注目した(Internet Archiveより)。任天堂の歴史を研究するTwitterユーザーForest of Illusion氏はTwitterにて、‏「面白いことに、アメリカ政府が環境保護に関するサイトで『ヨッシーアイランドDS』の地下BGMを盗用しているみたいなんだ。スタートボタンを押せば音楽が聞けるよ。」と投稿したことから、この問題は知れ渡った。

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『ヨッシーアイランドDS』は、2007年に発売された『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』の続編となるアクションゲーム。2015年にはWii Uバーチャルコンソールとしても発売されている。『ヨッシーの万有引力』を手がけたアートゥーンが開発に携わるほか、『ヨッシーアイランド』や『ヨッシーストーリー』とは異なり、かつてセガに在籍していた蓑部雄崇氏などが作曲を担当したとされている(VGMO)。『Recycle City Challenge』で使用されたBGMは、洞窟などのステージでかかる楽曲。英語では「Underground」と呼ばれる曲名だそうで、日本名では「地下BGM」にあたるという。実際に両曲を聴き比べると、すべてが酷似している。そして、EPAのサイトに「yoshidsunderground.mp3」と呼ばれるファイルが存在していたことから、この疑惑は確信に変わった(サウンドデータが残っているInternet Archive)。国の機関がこうした行動をとったことにより、疑惑の目に晒されたわけだ。

Hollywood Reporterの取材を受けたEPAの広報担当者は、フラッシュゲーム『Recycle City Challenge』は契約業者が作ったものだと説明し、この業者が(任天堂の)楽曲使用の許可を得ていたかが重要であり、EPAは現在それを調査している最中であると答えた。なお、現在該当フラッシュゲームからBGMは消えており、「yoshidsunderground.mp3」にはアクセスできない状態である。状況を見るに、無断使用であった可能性は極めて高いだろう。

任天堂といえば、多くのIPを抱えていることもあり、そのタイトルおよびアセットの無断使用が後を絶たない。ファンゲームなどを含め、たびたび世界各地で盗用されてきたが、今年に入りそうした報告は激増。先月1月には中国共産党中央政法委員会の広報アカウントが投稿した動画に、『スーパーマリオ』を彷彿とさせるタイトルやイメージが使用されていたほか、BGMや効果音がそのまま使われていたことが話題を呼んだ(ねとらぼ)。同動画は、現在削除されている。

今月7日には中国の国営放送局である北京電視台が、中国の旧正月を祝う特別番組にて『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のBGMを使用したことが報告されていたり。さらには、中国の飲料メーカー娃哈哈が、ビタミン商品のパッケージにおいて『スーパーマリオワールド』のイメージイラストと酷似したイラストを使用していることも報告されている。つい本日には、中国アニメ「龟兔大作战(Tortoise Hare Battle)」にて『スーパーマリオ オデッセイ』のボーカルソング「Jump Up, Super Star!」がアレンジされ主題歌として“歌い直される”という事例も。

今年ではないが、昨年末のインドのレスリングリーグにて『ゼルダの伝説』に登場するハイラルの盾にそっくりな盾が景品として贈られるといった奇妙なケースも確認されていた(NintendoSoup)。なお、任天堂は昨年公開した著作物の利用に関するガイドライン内にて、「任天堂のゲーム著作物を利用して創作した動画や音楽、静止画等を、任天堂の許可なく販売しないでください。」と記載している。

任天堂IPが世界的に人気であることや、SNSが発達しシェアしやすくなったことにより、潜在的な問題が可視できるようになったのだと思われるが、それにしてもこの2か月の間で報告された“侵害”の数はあまりにも多い。独自文化が根強く存在し同様のケースが頻発している中国ならまだしも、アメリカの合衆国環境保護庁がこうした無断使用を行ったことのショックは大きいだろう。任天堂は先述したガイドラインを公開し、昨年より著作物の利用についてユーザーには開放的な姿勢を見せているが、一報で昔から同社のIPの無断使用を厳しく取り締まることも特徴。今回のような事例を見れば、そうした姿勢をとる理由が理解できるかもしれない。

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