『Apex Legends』の大ヒットを受け、とある“無関係”のゲームの売上が急増。そして低評価をつけられる
Electronic Artsがリリースした基本プレイ無料FPS『Apex Legends』が絶好調だ。『Apex Legends』は、Respawn Entertainmentが手がけるバトルロイヤルゲーム。プレイヤーは3人1組小隊のうちの1人として、チャンピオンの座をかけて死闘を繰り広げる。配信から1週間で累計2500万プレイヤーを突破したほか、ゲーム配信プラットフォームTwitchにおいても首位をひた走っており、爆発的な人気を見せている。その人気の陰で、まったく無関係のタイトルが注目を集めていたようだ。
そのタイトルは、『Apex Construct』である。Steamなどで配信されているVRゲームだ。ロボットに支配された荒廃した未来を舞台とするアドベンチャーゲーム。プレイヤーは最後の生き残りとして、AIたちとの熾烈な戦闘をまじえながら、探索と謎の解明を進めていく。VR対応タイトルということで、美しい世界への没入感がもたらされていることに加えて、最先端技術の武器を用いてエイミングするなど、巧みな操作を求められるなど、アクション要素も強い作品であるという。
この『Apex Construct』の開発者であるFast Travel GamesのAndreas Juliusson氏がredditにて、奇妙な“出来事”を報告している。Juliusson氏は、2月4日以来ストアページの訪問者が激増しており、ページのアクセス数が40倍以上になったと報告。特に中国人ユーザーには人気なようで、ここ1週間の中国での売上は、2018年のトータルを上回るものであるとのこと。
その理由はずばり、タイトル名だ。『Apex Legends』と『Apex Construct』。同じ「Apex」という冠をつけている。『Apex Legends』は、Originで配信されている基本プレイ無料タイトルであるにもかかわらず、Steamで約3000円を出して別のゲームを購入している人が続出しているとJuliusson氏は茶目っ気たっぷりに語っている。ただし、Steamには返品機能があり、中国人ユーザーの購入者のほとんどが、ゲームを返品すると推測されている。
さらには、勘違いして購入してしまったユーザーによって、同作にいくつかの低評価レビューが投下されている。氏は“何も悪いことをしていないのに、詐欺扱いされているよ!”とその被害を報告。まだまだ勘違いによる購入と低評価投下は続いており、現在Steamのコミュニティチームがこの現象について調査をしてくれていると話した。『Apex Construct』は、2018年3月に発売されたタイトル。『Apex Legends』は今年2019年2月5日に発表され突如配信されたゲームで、『Apex Construct』の方が1年近く早くリリースされている。先行タイトルであるにもかかわらず、タイトルが似ているという理由で詐欺扱いされるのは、とんだ迷惑な話だろう。
しかしながら、Juliusson氏は、返品は多いだろうとしながらも「帳簿はかなりいい感じ」と語ることから、売上に非常に良い影響を与えているようだ。また氏はこの話を「funny story」と紹介し笑い話にしている点からも、ハッピーな側面も多い出来事であることがうかがえる。もともと評価の高い作品であっただけに、露出の機会が増えたことも追い風になっているかもしれない。
中国人ユーザーの購入者が多い理由は、『Apex Legends』が中国向けにサービスが展開されていないことが関係していそうだ。コンソール版を遊ぶことが難しいのはもちろんのこと、Originストアは中国からはアクセスできない。一方、Steamについては、中国ユーザーはSteamコミュニティにはアクセスできないものの、購入とプレイ、そしてレビューすることが可能。いわば政府の黙認のような形で、Steamタイトルを購入しゲームを遊ぶことができる。どうにか『Apex Legends』を遊びたい中国ユーザーがSteamで検索をかけ、『Apex Construct』にたどり着きゲームを買ったというのは、ありえない話ではないだろう。
なお昨日、中国紙South China Morning Postは『Apex Legends』の中国国内リリース権をめぐり、テンセントとEAが交渉をしていると報じていた。テンセントは『フォートナイト』と『PUBG』の中国国内販売権を持っていることから、“バトロワの進化系”に目をつけたのだろう。さまざまなコンテンツを巻き込み成長を続ける『Apex Legends』は、どこまで伸びていくのだろうか。