THQ Nordicが、大ヒット中世RPG『Kingdom Come: Deliverance』開発元Warhorse Studiosを買収。さらに力蓄える欧州の巨人

THQ Nordicは2月13日、傘下のKoch Media GmbHを通じて、チェコに拠点を置くデベロッパーであり『Kingdom Come: Deliverance』の開発元として知られるWarhorse Studiosを買収したと発表した。

パブリッシャーのTHQ Nordic ABは2月13日、傘下のKoch Media GmbHを通じて、チェコに拠点を置くデベロッパーであり『Kingdom Come: Deliverance(キングダムカム ・デリバランス)』の開発元として知られるWarhorse Studiosを買収したと発表した。買収金額は4280万ユーロ(約53億6500万円)で、買収対象はスタジオに加え、同作のIPおよびそのアセットも含まれるとのこと。

Warhorse Studiosは、2Kのチェコスタジオや、『ARMA』シリーズで知られるBohemia Interactiveなどのスタッフらによって2011年に設立されたデベロッパーだ。唯一の開発タイトルである『Kingdom Come: Deliverance』は、2014年に実施したKickstarterキャンペーンにて初期目標金額の約4倍の出資金を集めることに成功し、2018年2月にPCおよび海外PS4/Xbox One向けにリリースした。同作は、15世紀のボヘミアを舞台にしたシングルプレイの一人称視点オープンワールドRPGで、史実に基づいて展開するリアリティある表現が特徴の作品だ。プレイヤーは戦乱を生きる鍛冶屋のひとり息子として反乱軍の一員となる(関連記事)。

『Kingdom Come: Deliverance』は、発売から2日間で50万本、2週間で100万本を超えるセールスを叩き出し、その初動は『ウィッチャー3 ワイルドハント』のものを超える勢いであったと当時報じられた(関連記事)。なお今回の買収発表の中では、発売からちょうど1年となる現時点で、ゲーム本編の売り上げは200万本、DLCは50万本を超えていることが明らかにされている。ちなみにプラットフォーム別の売り上げでは、およそ7割ほどがPC版で、次いでPS4、Xbox Oneという順番になっている。

THQ Nordic ABのCEO Lars Wingefors氏はWarhorse Studiosについて、ヨーロッパを代表するデベロッパーのひとつだと評し、今回THQ Nordicグループに迎え入れることができて誇りに思うとコメント。そして、同スタジオはクリエイティブ面において大きな自由度をもって、設立者らによって引き続き運営されるとしている。

一方のWarhorse StudiosのCEO Martin Frývalský氏は、もともと小さなスタジオだったが、能力あるスタッフや信頼しサポートしてくれた投資家、そして情熱あるファンたちに後押しされ国際的なレベルにまで成長できたとし、THQ Nordic ABの傘下に入ることはスタジオにとって重要なマイルストーンだと述べる。そして今回の買収によって、素晴らしいゲームをファンに届け、業界の最先端を走るという同スタジオの目標に向かって、さらに加速するだろうとしている。

THQ Nordic ABは近年、豊富な資金力を背景にゲームIPの買収を積極的に進めている。たとえば昨年には、『Kingdoms of Amalur: Reckoning』『TimeSplitters』『Alone in the Dark』『Carmageddon』などの権利を買収。また、ゲーム開発スタジオでは『Goat Simulator』で知られるCoffee Stain Studiosや、『Wreckfest』のBugbear Entertainmentなどを傘下に収めている。加えて、有力パブリッシャーのKoch Media/Deep Silverをも傘下に収め、ゲーム業界における存在感を高めている。巨大企業となった同社のそうした方針は、2019年も継続していくということのようだ。

なお『Kingdom Come: Deliverance』は、PS4/PC向け日本語版がDMM GAMESから2019年春に発売予定となっている。今回の買収によりこちらの計画に何か影響があるのかどうかについては、現時点で特にアナウンスされていない。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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