『Apex Legends』配信以降、『タイタンフォール 2』のプレイヤー人口が増加傾向に。一方『BFV』のバトルロイヤルモードへの影響が懸念される

『タイタンフォール』のスピンオフ作品『Apex Legends』が配信されてから『タイタンフォール 2』のプレイヤー人口が増加傾向にあるとの報道。一方、『Apex Legends』の人気ぶりが、3月配信予定の『BFV』「ファイアストーム」に影響を及ぼすのではないかと懸念されている。

Respawn Entertainment(以下、Respawn)が2月5日に正式発表&配信開始した基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』。わずか1週間で累計プレイヤー数2500万人、同時接続プレイヤー数200万人を超える人気ぶりを見せているが、その裏で、同じくRespawnが手がけたFPS『タイタンフォール 2』の人気がひそかに再加熱している。『タイタンフォール 2』のプレイヤー数の推移を観測していた、海外フォーラムReseteraのユーザーNefer氏が発見し、同内容を海外メディアのPCGamerWccftechが報じている。

 

『Apex Legends』効果で『TF2』プレイヤー増

2016年10月の発売から2年以上が経ち、いまでは限られたプレイヤーのみが遊び続けている『タイタンフォール 2』であるが、スピンオフ作品である『Apex Legends』が配信されてからはプレイヤー人口が再び増加傾向にあるという。まずPC版の平均プレイヤー数は通常800~1500人どまりであるが、今週末には3400人にまで増加。平均2000人前後で推移しているPlayStation 4版のプレイヤー数は4000人以上にまで倍増し、Xbox One版に至っては2000~3000人から1万にまで増えたと、上述したNefer氏は伝えている。一時的なものとは思われるが、シリーズファンとしては嬉しい知らせだろう。

『タイタンフォール』とは、二足歩行型の戦闘用ロボット「タイタン」を操縦するパイロットたちが、開拓宙域「フロンティア」を舞台に戦闘を繰り広げるチーム対戦型FPS。スピーディーかつ縦横無尽にマップ中を飛び回る歩兵戦と、重厚な装備で暴れまわるメック戦を醍醐味としている。2016年10月に発売された『タイタンフォール 2』 は、無料アップデートを根強く続けたおかげもあってか、発売から10か月後の2017年8月にプラットフォーム合算の月間プレイヤー数が100万人を超えるなど、粘りをみせていた。

 

『Apex Legends』と『BFV』バトロワモードが競合する懸念

『Apex Legends』効果で『タイタンフォール 2』に再注目するプレイヤーが現れているわけだが、今後配信されるEAの他の目玉作品にはどのような影響を及ぼすのだろうか。まず振り返りとして、『タイタンフォール 2』が発売された当初、RespawnのCEOであるVince Zampella氏は、最初の3か月間で400万セールスを達成したものの、販売元EAの『Battlefield 1』と発売時期が被ったほか、Activisionの『Call of Duty: Infinite Warfare』とも競合する時期にリリースされたことを受けて、成功はしたものの、もっと売上を伸ばすことはできたはずだと語っていた。

それから2年が経過した今、EAは『Apex Legends』の配信から2週間後に期待作『Anthem』をリリースするほか、続く3月には『Battlefield V』のバトルロイヤルモード「ファイアストーム」の配信を控えるなど、会計年度の終わりに向けて目玉コンテンツが続々と市場に投入される。『Anthem』は別ジャンルであるため直接競合するわけではないにせよ、2つのバトルロイヤルコンテンツを短い期間のうちに立て続けに配信することになる。

両作が競合してしまうとの懸念に対しては、EAの2019会計年度第3四半期決算発表にてCEOのAndrew Wilson氏が、『Apex Legends』と「ファイアストーム」は異なるゲーム体験を届けるものであると説明。『Apex Legends』はより展開の速いゲームであるのに対し、『Battlefield V』の「ファイアストーム」は、『Battlefield』シリーズならではの戦術的なゲームプレイや車両戦を好むプレイヤー向けのコンテンツであると述べている。プレイヤー層が被る部分はあるものの、バトルロイヤル市場のプレイヤー人口は何億人にものぼることから、両方のコンテンツにプレイヤーを集めることができると自信を覗かせている(Seeking Alpha)。

ただ、Andrew Wilson氏は2016年に『タイタンフォール 2』と『Battlefield 1』を同時期リリースする際にも、プレイヤー層が重なる部分はあるものの、両作は異なる需要を満たすものだとコメントしていた。戦術的なゲームプレイを好む『Battlefield』ファンと、スピーディーな『タイタンフォール』ファンがそれぞれ好みの作品を購入するため、同時期リリースは問題にならないというわけだが、結果的に『タイタンフォール 2』はセールス目標未達に終わった。

同社のCFOであるBlake Jorgensen氏は、今回の決算発表にて同社は「プレイヤーの時間を奪い合う、いまだかつてない熾烈な競争」に直面していると語っている。バトルロイヤルに限らずとも複数のマルチプレイゲームを同時並行で遊べるプレイヤーも、同時並行で遊べる時間も限られている。『Apex Legends』の快進撃が、「ファイアストーム」のプレイヤー人口に影響を及ぼす可能性は十分にあるだろう。

なお『Apex Legends』のモバイル版、プラットフォーム間のクロスプレイ、そしてアジア展開に関しては、現在検討している段階とのこと。『タイタンフォール』フランチャイズの今後に関しては、2019年後半に『Apex Legends』とは別の作品を発売する予定があることが明かされている(関連記事)。

『Apex Legends』の登場により再注目されている『タイタンフォール 2』は、PC(Origin)/PlayStation 4/Xbox One向けに販売中。PC版はOriginにて3024円で販売されているほか、EAのサブスクリプションサービスOrigin Access Basic/Premier会員向けの遊び放題タイトルにも含まれている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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