『Apex Legends』配信から3日で累計プレイヤ―数1000万人突破。“野良”でもチーム戦が楽しめる巧みな配慮が人気を支える

基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム『Apex Legends』の累計プレイヤー数が配信開始から3日で1000万人を突破。同作は『タイタンフォール』シリーズのスピンオフ作品として2月5日にPC/PS4/Xbox One向けに配信されたもの。チーム戦限定ながら、野良プレイヤーでも楽しめる工夫が光っている。

Electronic Arts/Respawn Entertainment2月8日、『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』の累計プレイヤー数が1000万人を突破したことを報告。2月5日にサプライズ発表&即時配信されてからわずか3日間での偉業達成である。同作のプレイヤー数に関しては、ローンチから8時間で100万人、24時間で250万人と発表されてきており、そのまま順調に人口を増やし続けていることがわかる。同作はPCOrigin/PlayStation 4/Xbox One向けの基本プレイ無料タイトルとして配信されており、プラットフォーム合算の同時接続プレイヤー数も100万人を超えているという。

 

Twitch視聴者数は『フォートナイト』を超える

同作は正式発表前にShroudDr.DisRespectといった著名Twitchストリーマーを招いての先行プレイ会を実施しており、ゲームのローンチ後もそうした視聴者数の多いストリーマーがこぞって『Apex Legends』をプレイ。ローンチ初日の同時視聴者数はピーク時に48万人に到達し(GitHyp)。タイトルとしてのTwitch視聴者数ランキングでは『フォートナイト』を抜いて1位に浮上している。2月8日時点でも『フォートナイト』『League of Legends』『Dota 2』といった定番タイトルを大きく引き離し注目を集めている。

 Apex Legends』は『Titanfall(タイタンフォール)』シリーズのスピンオフ作品として28日に正式発表されると同時に即時配信された基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム。1チーム3人、最大20チーム/60人対戦のゲームとなっており、プレイヤーはそれぞれ異なるスキルを有する8体のキャラクター(レジェンド)の中から1体を選び、チームメイトと協力しながら縮小し続けるプレイエリアの中で死闘を繰り広げていく。

タイタンが登場しないことから、発表された時点ではやや落胆の声があがったものの、『タイタンフォール』のスピード感や銃撃の感触は残されているほか、野良プレイでも31組のチーム戦を快適に遊べるような工夫が凝らされていることもあり、遊びやすく、それでいてチーム戦として戦略性の高いバトルロイヤルゲームに仕上がっている。ゲーム自体のクオリティの高さはもちろんのこと、『タイタンフォール』のネームバリュー、著名ストリーマーの囲い込みなどをうまく活用したことが、功を奏したのだろう。

 

野良でもチーム戦を楽しめるような工夫

多くのバトルロイヤルモードではソロ・デュオ・スクワッドといった複数のゲームモードが用意されているが、本作は 31組のチーム戦に絞られており、レジェンドのスキルも含めて、ゲームバランスは31組でのプレイに特化した形で調整されている。バトルロイヤルに限らず、チーム対戦型のマルチプレイゲームにおいては、ひとりでチームに参加する「野良プレイヤー」、それもボイスチャットを使わず黙々と遊びたいプレイヤーはコミュニケーションやチームメイトとの協力という面で不利になりがち。通常のバトルロイヤルゲームにおいては、ソロモードを選択することによって、そうした野良プレイヤーでものびのびと楽しめるようになっている。ゆえにチーム戦に特化した『Apex Legends』はプレイヤー層の一部を寄せ付けなくなってしまうのではないかという懸念があったのだが、本作はボイスチャットがなくても楽しめるような工夫がなされているという点で評価されている。

まず本作には、チームメイトにPing(シグナル)を送る機能が実装されており、敵やアイテムの位置共有や、次に向かいたい場所の指示、この場所で籠城したいといった意思表示を、簡単な操作で行えるようになっている。ボイスチャットがなくても、バトルロイヤルルールにおいて最低限必要なコミュニケーションが可能となっているのだ。ホイール画面を呼び出してシグナルの種類を手動選択する機能だけでなく、敵やアイテムに向かってシグナルボタンを押すと自動で「あそこに敵がいる」「ここにアイテムがある」と適切なシグナルが出されるようになっているため、非常に使いやすい。実際に遊んでみるとわかるが、この機能があるだけで、野良で遊んでいてもしっかりとチームとして戦っているという感覚がかなり増す。開発陣もボイスチャットオフの状態で野良プレイした際にしっかりとコミュニケーションを取れるよう、あえてボイスチャットをオフにして偽名を使って遊ぶといったプレイテストを繰り返したとコメントしている。

同じくバトルロイヤルゲームにおけるチームメイトとのコミュニケーションという意味では、マッチ開始時にみんなが明後日の方向に飛んでいくためチームとして行動できないという“野良バトロワあるある”が存在する。この問題に関しても、チームのうち1人が「ジャンプマスター」としてチーム全体の戦場降下フェーズをコントロールできるため、チームとして同じ場所に着地しやすくなっている。ジャンプマスターのコントロール下から離れて単独降下するオプションもあるため、依然として不本意にバラバラになってしまう可能性はあるのだが、野良パーティーとして遊ぶストレスは緩和されている。

またこちらはコミュニケーションというよりゲームバランスに関わってくる部分ではあるが、3人という小規模のチーム戦においてメンバーの一部が早期離脱してしまうと、マッチに勝利する可能性がグッと下がってしまう。その点、本作は寛容な蘇生/リスポーンシステムが取り入れられており、一度チームが崩壊しかけても態勢を整え直しやすくなっている。体力が無くなればまずダウン状態になり、この段階ではチームメイトが医療措置を施すことで復活可能。さらに完全に死亡した後も、死亡したレジェンドが落とすバナーを拾ってマップに点在するリスポーンビーコンに運ぶことで、リスポーンできる。ゆえに終盤まで「3人フルチーム対単身生存者たち」といった構図にはならず、3人チーム同士のバトルにもつれ込みやすい。最後まで緊張感のあるマッチが生まれやすくなっているのだ。

Apex Legends』は『タイタンフォール』の関連作品だからこそ、サプライズ発表ながらここまで注目を集めることに成功していると思われる。しかしながら、『タイタンフォール』のネームバリュー抜きにして、バトルロイヤルゲームとしての完成度が高く、プレイヤーのストレスを軽減するための工夫もふんだんに取り入れられている。この先はAAA級タイトルのリリースが続くため、話題性は徐々に減っていくとは思うが、F2Pタイトルということもあり、これまでリーチできなかった層にまでRespawn Entertainmentの名と開発力を広める機会になるだろう。なお販売元Electronic Arts2019年後期に別の『タイタンフォール』作品をリリースすることを発表しており(関連作品)、従来の『タイタンフォール』作品への期待も高まる。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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