PC版『Metro Exodus(メトロ エクソダス)』の配信プラットフォームが、発売直前のタイミングでSteamからEpic Gamesストア(1年間の時限独占販売)に変更されたことを受けて、SNSやフォーラム上にて、販売元であるDeep Silverに対して不満を示すコメントが殺到。またSteamで販売されているシリーズ過去作『Metro 2033』『Metro Last Light』には抗議のため数千ものプレイヤーが一斉に低評価レビューを投稿するレビュー爆撃が仕掛けられており、海外で話題となっている(関連記事)。
そうした騒動を受けて、本作の開発元である4A Gamesのスタッフを名乗るユーザーが海外フォーラムGameinaterにて、彼自身の感想とスタジオ内の反応を投稿。『Metro』シリーズのファンであれば、Epic Gamesランチャーをインストールすることを嫌がりはしないはずだとし、もしもPCゲーマーが本作の購入をボイコットするようであれば、次回作のPC対応は見送る可能性があるだろうとコメントした(Gearnuke)。
この攻撃的とも読み取れる発言にはコミュニティ内で注目が集まり、販売元のDeep Silver(Koch Mediaのゲーム部門)がSNS上に釈明文を掲載する事態に至った。PC版の配信先をSteamからEpic Gamesストアに変更するという判断は、販売元Koch Media/ Deep Silverが下したものだと前置きした上で、4A Games開発メンバーの発言はDeep Silverおよび4A Gamesの企業としての展望を反映するものではないと説明。『Metro』シリーズの今後の販売戦略については、4A GamesではなくKoch Media/ Deep Silverが判断するものであり、次回作以降もPC版は販売計画の中核に置き続ける意向であると伝えている。またEpic Gamesと手を組んだ意図は、『Metro』フランチャイズと開発スタジオ4A Gamesの未来に投資するためであると、改めて説明している。そしてそれらが結果的に、ファンにとってのメリットになるという考えだ。
ただ今回のビジネス判断により、情熱を持って開発に取り組んできたメンバーが苦しむことになった点には理解を示し、Epic Gamesストア時限独占販売に関するフィードバックは4A Gamesではなく販売元のKoch Media/Deep Silverに向けて送ってほしいと、ユーザーに向けて伝えている。
デベロッパー/パブリッシャー目線では、SteamよりもEpic Gamesストアの方がレベニューシェアが高いというメリットがあるものの、いろいろな事情があるとはいえ、プレイヤー目線で考えると今回の判断は批判されても仕方がない内容であった。リリース2週間前というあまりに急な発表であったこと、一部のPCパッケージ版の予約キャンセル期限ギリギリでの商品内容変更であったこと。さらには、そもそもSteamと比べてEpic Gamesストア/ゲームランチャー自体の機能が不足していることからEpic Gamesストアで購入したくないといった理由まで、さまざまな不満の声があげられている(北米圏ではSteamでの販売価格から10ドル安い49.99ドルで販売されるが、値下げはUSDのみであり、価格面で恩恵を得られるユーザーは限られている)。
本件に関しては、ユーザーからだけでなく、Deep Silver/Koch Mediaと同じグループ会社のTHQ Nordic GmbH(親会社THQ Nordic ABとは別会社)からも、時限独占販売化はあくまでDeep Silver/Koch Mediaの判断であり、THQ Nordic GmbHとしては自社のポートフォリオを少しでも多くのプラットフォームに届けられるようにしたいと、距離を置いた声明を出されている。
Epic Gamesストア時限独占販売がアナウンスされるまでは、継続的な情報発信やファンからの期待の高さもあり、ポジティブな反応が続いてきた『Metro Exodus』。ここにきてビジネス判断に対するユーザーからの反発や、開発陣の発言への事後対応に追われることになった。そうした意味でも、発売直前でのアナウンスは好手とはいいづらいものだっただろう。
『Metro Exodus』は2月15日発売予定。日本語版は同日PlayStation 4/Xbox One向けに発売される。Epic Gamesストアで販売されるPC版は日本語非対応。なお同ストア上では『Metro Exodus』の日本語ページが一時的に404エラーで表示されない状態が続いていたが、本稿執筆時点では復活している。