Steamでゲームを販売し成功させた開発者、Patreonでもらった支援金を「倍」にしてユーザーに返す

個人開発者Raymond Doerr氏は2月2日、個人支援型クラウドファンディングPatreonでの活動を終了すると発表した。ただ終了するだけでなく、これまでもらった支援金をなんと「倍」にしてユーザーに返すのだという。

個人開発者Raymond Doerr氏は2月2日、個人支援型クラウドファンディングPatreonでの活動を終了すると発表した。あわせて、これまでPatreonにて寄せられた支援額の「倍」のお金を、PayPalを通じて返すとも告知した。なお、PayPalアカウントを持たないユーザーもSteamウォレットなど別の形で返金を受けられるという。

Patreonより

Raymond Doerr氏は、SixtyGig GamesとしてひとりでSteam早期アクセス販売中のタイトル『Rise to Ruins』の開発に励んでいる。しかし同作の売上から得られる収入に頼っている関係で、生活が不安定になる可能性も存在する。不安定に陥った時のための「備え」としてPatreonにて支援を求めており、月に175ドル(2万円弱)の支援金を受けとっていた。氏を支援すれば、Discordの公式サーバーで特別な役割が与えられたり、『Rise to Ruins』ゲーム内で村人として名前が出たりとさまざまな特典がある。しかしながら、Doerr氏はもはやこの支援を必要としなくなったようだ。

というのも、Steam早期アクセス販売中の『Rise to Ruins』による収益は、この半年で著しく増加したという。「容易に」生計を立てられるようになり、備えのための貯蓄もできるようになったそうだ。そうした状況でお金をもらい続けるのは正しくないとし、熟慮を重ねた結果、Patreonでのサポートの要望を打ち切るという決断に至ったとのこと。

しかしながら、支援に対して深く感謝するDoerr氏は、ただPatreonを終了するだけでは満足できなかった。氏は支援をしてくれたユーザーに、これまで支援してくれた額の「倍」を返すと発表したわけだ。たとえば、月額1ドルの支援を選び、6か月サポートしていたユーザーは、トータルの支援の倍である12ドルが返ってくる。トータルで10ドルを支援していれば、20ドル返ってくる。合計の月額支援が175ドルとそう大きくなく、最大支援額は月10ドル。小規模なPatreonだかからこそできることであるが、支援者に支援金の倍額を返すというのは異例である。

『Rise to Ruins』は村運営シミュレーションゲーム。有志翻訳によって、日本語にも対応している。神視点で、村を繁栄させながら外敵を排除するという、『RimWorld』タイプのサバイバルシミューションゲームである。2014年10月から開発が続けられており、一定の評価を得ていたが、昨年のSteamサマーセールを皮切りにセールスが上昇し、そこから年末にかけて好調な売り上げが続いていた。

Doerr氏は「これ(支援金の倍額を受け取れること)をネガティブには受け取らないでほしい、『Rise to Ruins』がそれだけ成功したというハッピーなニュースなんだ。支援者のすべてに感謝してるよ!」と終始感謝のコメントを並べている。支援者も、まさかお金が倍になって戻ってくるとは思っていなかっただろう。「情けは人のためならず」といったところだろうか。

Patreonはあくまでクリエイターを支援するサイトであり、 見返りはクリエイターの提供するリワードに留まるものである。とはいえ、今回のDoerr氏の対応は、支援者でなくともどこか嬉しくなるのではないだろうか。この対応を受けて、氏の人柄に対する評価も高まっており、良い連鎖はさらに続いていくかもしれない。『Rise to Ruins』は、Steamにて980円で早期アクセス販売中だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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