『スマブラSP』本日公開された“BGM無し”新映像がすでにネットミームとして流行中。好きな曲を挿入し自分なりに映像を演出

任天堂は11月12日、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の新映像を公開した。映像の名前は「駆け抜ける篇」。順送りと逆再生のふたつのバージョンが用意された珍しい映像であるが、この『スマブラSP』の映像にBGMがないことに、ネットユーザーは注目しているのだ。

任天堂は11月12日、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(以下、スマブラSP)』の新映像を公開した。今回公開された映像は「駆け抜ける篇」。同作に登場するファイターが描かれる力の入ったトレイラーだ。ちょうど1分の映像であるが、単にファイターたちの姿を描くというだけでは終わらない。この映像は、順送りと逆再生のふたつのバージョンが用意されており、通常版とされる「駆け抜ける篇」は逆再生版で、順送り版はアポストロフィマークをつけた「駆け抜ける篇’」と名付けられている。順送り時でも迫力ある映像が楽しめるが、逆再生をすることでまた違った角度から堪能できる。二度おいしいトレイラーであるといえるだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=QrhEN1zXSNM

こうした逆再生における違和感をなくすためか、同映像においてはBGMが用意されていない。静かな戦場にて、ファイターたちが戦う際に出た音のみが響き渡る演出となっている。この静けさもまた映像の魅力を引き立てているのだが、この点に注目し、同映像にBGMを挿入する遊びがTwitterなどで流行している。もっとも注目を集めているのは、QUEENの「Don’t Stop Me Now」を組み合わせた映像だ。1970年代後半に発表されたQUEENの人気曲は、日本のCMやテレビ番組でも使われることが多く、馴染み深い曲だろう。この「Don’t Stop Me Now」と順送りの「駆け抜ける篇’」をかけ合わせた映像は、マリオの登場シーンとともにボルテージが上がっていくという粋な演出になっている。

特筆すべきは、この映像はどんなジャンルの音楽と組み合わせても“さま”になる点だ。たとえば、初代『スマブラ』のCMに用いられたThe Turtlesの「Happy Together」と組み合わせてポップに仕上げるのもあり。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のBGMと組み合わせることで、重厚な戦場を描くことができる。「タイタニック」のテーマであるセリーヌ・ディオンの「My Heart Will Go On」をかけあわせれば、美しい旋律により“聖戦”感を感じさせつつ、どこかコミカルさ漂うトレイラーに。『スマブラDX』の評価の高いオープニングBGMを組み合わせるという、ファンにとっても感慨深いファン映像も投稿されている。

https://twitter.com/GGaiKingDGreat/status/1061706594822561792

どんなBGMと組み合わせても面白くなる映像素材のよさや、期待作であるという話題性の高さが相まって、すでにこのBGMを入れる遊びは人気を博しており、ネットミームの仲間入りを果たしている。CNETといった海外メディアもこの現象を注意深く見守っており、しばらくはこの映像を見る機会が多くなるだろう。

任天堂がこうした拡散を狙ってBGM無し映像を公開したかは不明であるが、一部ユーザーからはマーケティング戦略として称賛されている。この拡散のされ方を見れば、その称賛はあながち的外れではないだろう。BGMがないゆえに「物足りない」という声も見受けられるが、その物足りない気持ちをもたせることこそBGMを入れるきっかけになる。不満を抱かせることもまたある意味では、今回の拡散の上では重要な要素かもしれない。前述したように任天堂の意図は不明であるが、結果的にはBGM無しの映像の公開は、通常の映像公開以上の宣伝効果をもたらしているようだ。

さまざまな方面で盛り上がりを見せる『スマブラSP』は、Nintendo Switch向けに12月7日に発売予定だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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