Nintendo Switch向けニンテンドーeショップのアメリカ市場は、低価格ゲームが席巻。DL版トップ10のうち5本が1ドル以下

ニンテンドーeショップでは、全世界で大規模な年末セールが実施中。それにともない、eショップのダウンロードランキングに異変が起きている。日本およびイギリスは、普段とそう変わりないのだが、アメリカのニンテンドーeショップはやや異様な光景になっている。

ニンテンドーeショップでは、全世界で大規模な年末セールが実施されている。大ヒットタイトルからインディー作品までお安く販売中。それにともない、eショップのダウンロードランキングに異変が起きている。日本およびイギリスのニンテンドーeショップは、普段とそう変わりないのだが、アメリカのニンテンドーeショップはやや異様な光景になっている。

 

結論からいうと、アメリカのNintendo Switch向けニンテンドーeショップは低価格タイトルが席巻している。具体的にいうと、ダウンロード版のチャート上位10位のうち5タイトルが1ドル以下である。トップに君臨する『Bouncy Bob』は定価1ドルから99%オフの1セント。5位の『NoReload Heroes』は90%オフの99セント。『Astro Bears Party』は90%オフの49セント。『The Way Remastered』は、93%オフの99セント。10位の『NO THING』は90%オフの19セント。いずれも90%オフ以上で、1ドル以下の格安価格。こうした値段設定の作品が存在感を見せている。

興味深いことに、これらのタイトルはSteamでも発売されているが、Nintendo Switch版のみ特に安く販売している。『Bouncy Bob』のSteam版は1.49ドル。Nintendo Switch版はわずか1セントであると考えると、大きな価格差がある。『NoReload Heroes』に至っては、ウィンターセール中にもかかわらずSteam版は値引きなし。『The Way』もSteam版は2.99ドル。やはり、Nintendo Switch版のみ極めて安く販売されているという傾向がある。Nintendo Switchユーザーが、Steam版と価格を比較して購入しているわけではないかと思われるが、少なくともパブリッシャーが同ハード向けに特別な価格設定をしており、それが功を奏していることは間違いないだろう。

『NoReload Heroes』

またもうひとつ共通点としてあげられるのは、複数人でプレイできる作品が多いこと。『The Way Remastered』『NO THING』以外の3本はいわゆるパーティー寄りのゲームとなっている。Nintendo Switchはやはり、家族と遊べるハードウェアとしての強みがある。買いやすく、複数人でプレイできるゲームは手に取りやすいのではないだろうか。

低価格ゲームが一時的にチャートの上位に出るということは珍しくないが、上位にこれほど並ぶというのは、今のアメリカにおけるNintendo Switchのeショップの市場の状態をひとつ表しているといえそうだ。Steamなどでは低価格のアセットフリップ(素材のコピペ)作品が出回っており危惧されているが、今回低価格で販売されているゲームは、どれもアセットフリップとは言えない作品として開発されており、評価が極めて悪いというわけではない。粗製乱造された作品が上位を独占しているというわけではなく、普段目立たないタイトルが、戦略的展開で存在感を見せていると表現するほうが妥当かもしれない。

『Astro Bears Party』

Nintendo Switch市場における成功例はこれまで数多く報告されている一方で、タイトルの数は日を追うごとに増え続けている。多くのゲームがリリースされる中で、どのように存在感を示すか、出す側にとっても悩むところだろう。特別価格にすることでゲームがチャート上位に顔を出しても、売上1本ごとの利益が低ければトータルでマイナスになることもありえる。そこに、正解はない。同プラットフォームでゲームを出していくパブリッシャーは、これまで以上にマーケティングや宣伝における工夫が求められそうだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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