中国において、ゲーム発売の「ライセンス発行」が再開される。9か月の時を経て、発売認可プロセスが再び始まる

 

昨日12月21日、中国ゲーム産業年会(中国語:中国游戏产业年会)が中国海南省にて開催された。中国中央宣伝部出版局の副局長が「最初に送られたゲームの審査がすでに完了し、ライセンスの発行も早めに準備しているところです。しかし送られたゲームの量がかなりあるため、すべて審査を終えるには時間がかかります。しばらくの間待つ必要があります。」と発表し、事実上およそ9が月間停止されていたライセンス発行が再開されることがわかった。この発表を受け、テンセントの株価が一時4.2%も上昇した。テンセントをはじめ、中国のゲーム関連企業の株価がほぼすべて大幅に上昇している。

中国では、中国共産党の設置機関の審査を受け、認可されライセンスを発行することで初めてゲームを発売することが可能となる。ライセンスがなければ、ゲームをリリースしても収益を得ることができない。このライセンスは、中国国内にて書籍、映画、TV番組と同じく、文化的な出版物のひとつとして法的に認定されており、審査が必要である。審査が止まっていたことによりゲームを新たに発売しづらい状態にあったが、動きがあったようだ。

株価の上昇とあわせて確認したいのは、中国ゲーム会社の今年度の決算発表だ。『荒野行動』でお馴染みのNetEaseは今年Q2の決算発表で収入が-6.66%、収益が-58.52%の結果になったと報告しており、テンセントはQ3の決算で収益が前年と比べて-4%の結果になったと伝えている。去年から大人気のタイトル『PUBG』のモバイル版も、中国では未だに課金を導入しないまま運営をし続けている。中国ゲーム市場の90%以上を占めているこの二社が不況という状況を見れば、ほかの中小ゲーム企業の財政状況も想像がつくであろう。中国中央テレビ局の調査によると、51社の上場企業のうち、21社(42%の割合)の利益が前年と比べて減っている。

中国国内のゲーム市場は、ライセンスの発行が9か月停止されていることが原因で不況が続き、国内のゲーム会社が海外に向けてゲームをリリースすることに転じているという傾向も見えた。App Annieの調査によると、2018年上半期中国ゲーム会社が海外においての収入がすでに40%も上がり、160億ドルに及んでいる。中国政府からゲームへの審査と規制がまだ続く中、いつどのようにまた、今年のようにライセンスを予告なし停止されるのかわからない。テンセント、NetEaseだけでなく、中小企業も海外でチャンスを求めざるを得ないだろう。

実際、中国当局もこのような動きを認識している。先月、中国共産党の機関紙「人民日報」の海外版に、「国産ゲームの海外リリースが加速」というタイトルの記事が掲載された。記事内容は、中国のゲーム会社が海外展開に勢い付いており、素晴らしい結果を残したというもの。「ゲームを通じて、海外のユーザーにも中国文化を体験させた」と褒める一方だ。このような記事を受けて、中国国内のユーザーの多くが「よくもそんなことを言えるね。ゲームライセンスを勝手に止めたから、ゲーム会社が海外リリースをしなければいけないのだ。それを褒めるのは図々しすぎるのではありませんか?」と反発のコメントを残している。

このゲームは、ライセンス発行再開がされてからライセンスを得た、はじめてのゲームであるとインターネットで噂されている。実際にはじめてのゲームであるかどうかはわからないが、ゲームは中国共産党を謳歌する内容である。

もう一つ注意してほしいのは、今回中国中央宣伝部出版局がゲームライセンス発行再開を発表する際、「時間がかかる」と告知したという点である。筆者が関係者に聞いた話によると、ゲームライセンス発行が停止された時期が今年3月であったことは、実際に発行が止まってから数か月が経ってはじめて発覚したものであり、政府からの通知など一切なかったのである。つまり、その間に提出された審査のための資料とゲームが溜まっており、来年中処理しきれるかどうか、わからないほどの量になっていると推測される。しかし、ゲームのブームは審査を待てない。ゲームの発行本数を制限するという政府の発表をあわせて見ると、来年の中国ゲーム市場がいかなるものになるのかはまた不明瞭であろう。

中国版の『フォートナイト』はライセンスがないので、いまだにベータテストの状態だ。