ホバーバイクで疾走するSTGレース『Desert Child』Nintendo Switch/PS4/Xbox One/Steam国内発売。レースやバイトに勤しみラーメンをすすれ
パブリッシャーのAkupara Gamesは12月11日、インディー開発者のOscar Brittain氏が開発したシューティング・レースゲーム『Desert Child』を国内発売した。プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PlayStation 4/Xbox Oneで、価格は1280円(Xbox One版のみ1296円、いずれも税込)。なお、ゲーム内は日本語表示に対応している。
『Desert Child』の主人公は、ホバーバイクを駆る若きレーサーだ。彼が暮らす地球では、住める場所が少なくなり暮らしづらくなってきたとして、火星へと移住する人が相次いでおり、主人公はその火星で開催される宇宙最大のグランプリレースに参戦することを夢見ている。そんな折、地球政府は火星への移住許可を2週間後に打ち切ると発表。そして残り少ない火星行きのチケットの価格は、日々跳ね上がっていった。主人公は、レーサーとしての才能はあるものの、お金はない。グランプリレースに出場するためには、急いでお金を稼がなくてはならない。
本作のゲームプレイは、ホバーバイクでのレースと、街を散策してショッピングなどをおこなう2つのパートに大きく分けられる。お金を稼ぐメインの手段は、もちろんレースだ。レースは1対1でおこなわれ、ブロックや樹木などの障害物が配置された、砂漠や草原、水上などの直線コースを強制横スクロールで進み、先にゴールラインを通過した方が勝利だ。プレイヤーの操作は左右のコース取りと、前方および左右へのブースト。相手よりも前に出るためにはブーストは欠かせないが、ゲージを消費するため使いどころが重要だろう(ブーストゲージは時間経過でリチャージされる)。また、コースの背景は変化に乏しく、ミニマップも存在しないため突然ゴールラインが現れる形になるが、実はコースの長さはBGMの長さとリンクしているため、曲を覚えると最後にブーストして勝利をかっさらうことが容易になる。
ホバーバイクには、武器としてマグナム・マシンガン・ショットガン・レールガンのいずれかを搭載する。それぞれ性能と使い勝手がトレードオフの関係になっており、ゲーム開始時に自由に選択する形となる。レース中に対戦相手を後ろから撃てば減速させることができるが、破壊することはできない。武器はむしろ、コース内のドローンを破壊する用途がメインとなる。コースにはTVの形をしたドローンが数多く配置されており、障害物と同じく衝突すると減速してしまう。また、弾を撃って攻撃してくるドローンもいるため、武器で破壊していくのだ。中にはお金をドロップするドローンもおり、もしレースに負けたとしても、道中で拾ったお金はそのまま収入となるため貴重である。
武器の弾数は有限で、撃ち尽くすと補給トラックがやって来る。ただ、トラックが来るまでには少し時間がかかるため、やはり無駄撃ちはしたくない。そこで、ダッシュをうまく活用するテクニックが重要になる。ドローンはダッシュで体当たりすると減速せずに破壊可能で、TV画面に赤い丸が映ったドローンの場合、ダッシュで破壊すると少しではあるが銃弾をドロップするのだ。また、この赤いドローンを撃って破壊した場合はブーストゲージが少し回復する。ハイスピードでレースが展開するなか、的確な状況判断をおこなうことで有利に進めることができる仕組みとなっている。
そしてゴールすると、ドローンを破壊した数や、障害物に衝突するなどしてホバーバイクが負ったダメージ量、対戦相手よりもリードして走っていた合計時間などによりレース評価が下される。もちろん勝利していれば賞金が手に入り、同時にホバーバイクのカスタマイズアイテムなどを獲得できることもある。
レースが終わると街に戻り、次のレースに備える。気に留めるべきは、ホバーバイクのダメージと、主人公の空腹度だ。ホバーバイクはダメージが蓄積するに従って、レース中のブーストゲージが短くなっていく。ダメージ量が最大の状態でもレースには出場できるが、勝利はほぼ不可能なためガレージに行って修理してもらおう。そして主人公が腹ペコになるに従って、ブーストゲージのリチャージが遅くなる。空腹度MAXになると、ブーストできず銃弾の補給トラックに追いつけない羽目になるため、ラーメンをすすって腹を満たすのだ。
これらの行動にはもちろんお金が必要である。ただ、当面の目的はあくまで火星行きのチケットを買うこと。時間が限られているなか、無駄遣いしてもたもたしているとチケットの価格はどんどん高騰していってしまう。ホバーバイクに多少ダメージが残っており、腹が減っていたとしても、我慢してレースに戻ることも必要だろう。いざとなれば、報酬のアイテムを換金してくれる店もある。地球にいる間は、とにかくレースをこなすことが重要である。
見事チケットを購入し、火星にやって来たとしてもそれで終わりではない。次はグランプリレースの出場にかかる費用、しかも火星行きチケットよりもはるかに高額な目標が待っている。もちろん、これまでと同じようにレースをこなして稼ぐのも良いが、火星は地球よりも発展しており、プレイヤーが散策できる街も巨大。その中には食べ物屋やバイクの修理工房のほかにもさまざまな施設があり、お金を稼ぐ手段も豊富である。たとえば、ホバーバイクのコーチとして若造とレースをしたり、ピザ配達や放牧のカンガルー追いのバイトをしたり。あるいは繁華街で出会えるヤバそうな男から、レースの八百長や銀行のハッキングなどを持ちかけられることもある。ちなみに銀行にお金を預けておくと、1日あたり3パーセントの利子がつく。
一方で、火星はお金の使い道もさまざま用意されている。市場に行けば主人公のステータスに良くも悪くも影響を与える謎の豆が売っており、道端で子供から新聞を買ってニュースを読んだり、釣り人のオッサンから魚を買ったり。火星の街は複数のエリアの組み合わせで成り立っており、散策することでそうした人々に出会える。お金を稼ぐという最終的な目標があるものの、あくせくレースに勤しんだ地球とは異なり、この世界での生活を楽しめる要素が用意されている。
また火星では、ホバーバイクのカスタマイズも可能となる。カスタマイズアイテムはレースなどの報酬として獲得できるほか、路上に停めてある他人のホバーバイクから盗むことも可能。ただし悪事を重ねると悪名のステータスが貯まり、最終的には警察のお世話になり所持金がゼロになってしまうためほどほどに。
カスタマイズアイテムの効果としては、たとえば武器の弾丸を大きくしたり装弾数をアップさせたり、あるいはドローンが落とすお金を増やしたり。特定の食べ物屋での飲み食いが割引になる広告看板なんてものもある。これらのアイテムは、複雑な形をしたグリッドの中に配置し、バッテリーに接続することで有効となる。カスタマイズアイテム自体もそれぞれ特徴のある形をしているため、より多くの機能を同時に搭載するにはパズルを解くような上手い配置が求められる。そうしてホバーバイクを強化し、さらにレースやバイトに励んでお金を稼ぐのだ。
『Desert Child』は、2017年に実施したKickstarterキャンペーンの成功を受けて制作された。日本のアニメ作品から多くの影響を受けており、冒頭に掲載したローンチトレイラーが「カウボーイビバップ」風であることに気づいた人もいるだろう。本作では同アニメの世界観や、「REDLINE」の圧倒的なスピード感、「AKIRA」に登場するような10代の若者の姿をミックスしているのだという。ハイスピードで展開するレースや、2Dグラフィックで描かれる独特の世界観、そしてローファイなヒップホップサウンドもまた本作の魅力となっている。