奇妙な「インターネット世界」を歩く3D ADV『Broken Reality』Steamにて配信開始。日本語まじるサイケなバーチャル空間を探索

Digital Tribeは11月30日、『Broken Reality』をSteamにて配信開始した。『Broken Reality』は、「インターネット」を題材にした一人称視点のアドベンチャーゲーム。プレイヤーは大企業が管理する仮想世界で、Likeを集めてイケてるプレイヤーになることを目指す。

インディースタジオDigital Tribeは11月30日、『Broken Reality』をSteamにて配信開始した。価格は1520円で、12月7日までは10%オフの1368円で購入できる。公式サイトなどを通じて先行販売されていたが、このたびSteamで配信開始された形だ。

『Broken Reality』は、「インターネット」を題材にした一人称視点のアドベンチャーゲームだ。舞台となるのは、近未来。本作の世界は、巨大企業NATEMがすべてのデジタルサービスを管理していた。NATEMは、「インターネット」とテーマとしたバーチャル世界を作り出し、人々をそこに招待していた。プレイヤーは、NATEMに招待されたユーザーのひとり。ユートピアとされている仮想世界を探索していく。

プレイヤーは、新参者としてこのバーチャル世界を冒険する。『Broken Reality』の世界ではLike(イイネ)が重要な要素となっており、このLikeを集めて“イケてる(trendy)”プレイヤーになることを目指す。Likeは道端に多く落ちているほか、電子広告にインタラクションしたり、世界の人々の願いを聞いたりしながら集めていく。世界でできることは単なる探索だけではない。プレイヤーはLikeアクションによってさまざまなオブジェクトに干渉したり、ブックマークをつけて指定場所へとワープしたり、イカした写真を撮ったり、カタナで悪質な広告をぶった切ったり。さまざまな手段を使って世界で存在感を示し、流行の最先端になるのだ。奇妙な日本語もしばし散見される、パロディ豊かな世界を歩いていこう。

Likeを集めてイケてるプレイヤーになったり、新たなアイテムを入手することで、行けるエリアやワールドが徐々に増えていく。イケてるプレイヤーは、管理者に会うことも可能になる。また今作の世界には、一癖も二癖もある住人がプレイヤーを頼ってくる。そうした人々と関わり絆を深める中で、華やかな世界の謎に迫っていくことになる。

本作はテーマこそ個性的であるが、アドベンチャーゲームとしてはかなり丁寧に作られている。というのも、Like集めを中心としつつも、ある程度のクエストラインが存在するからだ。それでいて、マップは迷子にならないように設計されている。段階的にエリアが開放されるので、何をすればいいのか迷うこともさほどないだろう。「マクロスMACROSS 82-99」「NxxxxxS」「猫 シ corp.」といったアーティストのサウンドを聞きながらうろつくだけでも、中々新鮮な体験ができる。英語表現もかなりシンプルなので、Steamのストア説明などの英語を理解できる人ならば、本作のテキストも比較的読みやすいだろう。暴力表現やホラー要素もほとんどないので、リラックスした気持ちでプレイすることもできる。

『Broken Reality』開発元はKickstarterでクラウドファンディングキャンペーンを実施するも、目標額3万5000ドルを達成できず失敗。しかしその後、目標額を引き下げてもう一度キャンペーンを実施し、約1万5000ドルを獲得した。一度目のKickstarterキャンペーンでは「平均の死亡統計からすると、このゲームの開発中に1人のチームメンバーが死んでしまうかもしれない。だが本作は情熱で作り上げてきたプロジェクトだ。もしチームのメンバーが1人死んでしまったとしても、本作は無限のインターネットから消滅したりはしない」とジョークか本音かわからない際どい発言をするなど、今作の完成への情熱を示してきた。

PS1時代の作品の雰囲気や、90年代インターネットのパロディなどが仕込まれており、インターネットに親しんだユーザーにとって懐かしさもまた感じられる一人称アドベンチャーゲームに仕上げられた『Broken Reality』。本作においてはSteamでデモが配信されており、デモの内容は製品版の序盤とほぼ同一なので、世界観に魅入られ方はそちらから始めてみてもいいだろう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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