『Fallout 76』新作としては異例の大幅値引きを受けて一部ユーザーに個別補償。一方で返金対応には応じず

『Fallout 76』は海外小売店にて、11月14日の発売からわずか2週間で30%~40%オフという異例の低価格で販売されている。ゆえにフルプライスでゲームを購入したユーザーの一部からはBethesdaあてにクレームが寄せられており、中には個別補償に応じてくれたという報告があがっている。

オープンワールド型オンラインRPG『Fallout 76』は11月14日に発売されたばかりであるが、すでに海外小売店や配信プラットフォームにて30%~40%オフという、新作としては破格とも言える低価格で販売されている(本稿執筆時点では、海外AmazonにてPS4パッケージ版が42%オフの34.99ドルで販売中)。『Fallout』シリーズの新作とは思えないほどの低評価をメディア/ユーザーから受けていることも、少なからず影響していると考えられる。

当然、本作をフルプライスで購入したプレイヤーの中には、発売からわずか数週間でゲームの価格が大幅に下がることについて、事情を理解できるにしても複雑な心境に陥った方もいることだろう。そうした不満を抱えてゲームのカスタマーサポートに問い合わせたのが、redditユーザーのIzaakGoldbaum氏。問い合わせたところ、価格が落ちる前に『Fallout 76』を購入してくれたお礼という形で、ゲーム内通貨500アトムが付与されたという(reddit)。参考として、北米では500アトムが4.99ドルで販売されている。

これは問い合わせ主であるIzaakGoldbaum氏への個別補償であり、礼儀正しくクレームを入れた結果の回答であるとのことだ。同スレッドでは、似たようにBethesdaのカスタマーサポートに問い合わせてアトムでの補償を受けたという報告が複数あがっている。とはいえブラックフライデーの時期に価格が下がることは、程度の違いこそあれ想定できていたことでもあり、補償を求めるのは筋ではないと思いとどまっているユーザーもいるようだ(redditユーザーAdonisBatheus氏)。

一方、明確に返金対応を求めた別のredditユーザーZPKane氏に関しては、カスタマーサポートより、対応できないとの返答があった模様。こうした動向から、現状は返金には対応しておらず、あくまでもゲーム内通貨による補償のみ対応しているものと思われる。またユーザーの中には、技術的な問題によりゲームを遊べないという理由により返金対応を求める者もいる。そうした消費者の声を集めてBethesdaに対する集団訴訟を起こそうと調査を進めているのが、米国の法律事務所Migliaccio & Rathod LLP。同事務所はBethesdaに対し、不公正または欺瞞的な取引慣習の疑いで調査および集団訴訟の検討を進めているとブログ上で綴っている(Gearnuke)。

具体的には、『Fallout 76』のPC版を購入したものの技術的な問題によりゲームを遊べないプレイヤーに対し、Bethesdaが返金対応に応じないことが懸念視されている(本作のPC版は、Steamのような条件付きでの返金に応じている配信プラットフォームではなく、自社プラットフォームのBethesda.netでのみ販売されている)。近年のゲーム作品においてリリース時に不具合が残っていることはある程度想定される事態であるが、『Fallout 76』は異例のケースであると指摘。大量のバグが原因でまともにプレイできないプレイヤーについては、開発元が修正パッチを配信するまで、ただひたすら待つしかない状態であると、Migliaccio & Rathod LLPのブログ上で述べられている。

リリース初月からトラブルが続いている『Fallout 76』。今後の対応およびゲーム運営により、シリーズファンの多くに愛されるタイトルへと成長していくことに期待したい。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

記事本文: 1953