『サイバーパンク2077』は『RDR2』のような洗練度を追及。大作に囲まれたゲーマーの時間を確保するためにも、最高品質のゲームを目指す

 

CD PROJEKT Capital Groupは11月14日、2018年第3四半期の決算説明会を実施(PDFリンク)。内容は決算資料の説明および質疑応答となっており、その中ではCD PROJEKT REDが開発中の『Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)』も話題にあがっている。

『Cyberpunk 2077』といえば、E3 2018にて公開されたトレイラーおよび今夏に公開された48分におよぶゲームプレイ映像が話題になった。今回の決算資料では、『Cyberpunk 2077』と『ウィッチャー3』のプロモーション動画の視聴者数データを比較し、前者の注目度が後者よりもはるかに高いことを提示。『Cyberpunk 2077』はスタジオの期待に応えるだけの高い成果をおさめられるだろうと強い自信をのぞかせている。

Q3 2018 CD PROJEKT Capital Group – presentation

スタジオの未来に大きくかかわる期待作というだけあって、投資家との質疑応答でも『Cyberpunk 2077』の質問があがっていた。特に多くの言葉が費やされたのが、大作オープンワールドゲームという共通項を持つ『Red Dead Redemption 2』(以下、RDR2)から何か学んだことはあるか、という、ポーランドの投資銀行Pekao Investment BankingのアナリストŁukasz Kosiarski氏からの問いかけである。

Kosiarski氏は上記の質問に続けて、『ウィッチャー3』ではバグ修正がひととおり完了するまで、およそ3か月もの時間を要したのに対し、『RDR2』はローンチ時点でMetacriticスコア97/100を獲得できるほど洗練されていたと補足(『ウィッチャー3』のMetacriticスコアは、PC版93点/PS4版92点/XBO版91点)。質問の意図には、『Cyberpunk 2077』も『RDR2』並みに磨き上げられた状態でリリースすることを優先するのか、それとも発売スケジュールを優先するのか、という別の問いが絡んでいる。

たしかに『RDR2』では、不可思議なグリッチやバグ、一部クエストの進行が止まる問題(クエストのリトライにより解決する類のもの)が報告されているものの、少なくとも海外メディアによるレビュースコアに影響するほどのものではなかった(それがセールス面でも幸いした)というのが、質問者であるKosiarski氏の考えとしてあるのだろう。

この問いに対しCEOのAdam Kiciński氏は、高品質のゲームを届けることはスタジオにとっての最重要事項であり、『RDR2』および近年のRockstar Games開発タイトル全般にあてはまるような、洗練されたゲームを販売していけるよう努めていると回答。また失敗が許されない超大作『RDR2』が前評判どおりの大成功をおさめたことがCD PROJEKTグループにとって何を意味するのか、という点についても以下のとおり触れている:

Kiciński氏
「『RDR2』が私たちに何を教えてくれたかというと、最高級のゲームを届けなければいけないということです。そしてそれは、まさしく私たちが目指しているところでもあります。ゲーマーたちの注目は、以前にも増してヒット作品に集中していく傾向にあるようです。ゲーミングコミュニティが拡大しているとはいえ、1人のゲーマーがゲームに割ける時間は限られています。ゲーマーの数が増えても、ゲーマーがゲームに割ける時間を引き伸ばすことはできないのです。ゲーム市場には――氾濫しているというほどではないかもしれないですが――優れたゲームが数多く出回っています。そしてそれらをプレイするには長い時間を要します。そうした市場の中で最高級のゲームを届けることは、大きなパイを獲得することに直接つながっていくのです」

長く遊べる高品質のゲームは数多く存在するが、1人のゲーマーがゲームに費やせる時間は限られている。そうした傾向が強まりつつある現代のゲーム市場においては、最高級のゲームを届け、ゲーマーの優先度を高めるということが、パイを奪い合うAAA級タイトルの開発・販売元として、以前にも増して重要視されるのだろう。

なお10月に発売された『RDR2』のセールスは極めて好調であり、発売からわずか1週間で米国でのセールスは年間2位にまでのぼり詰めている(10月末時点での年間1位は、10月に『RDR2』よりも先に発売された『CoD:BO4』)。世界規模の話でいうと、『RDR2』の発売から3日間での全世界累計収益は7億2500万ドル(エンターテインメント業界全般での記録としては『GTA V』に次ぐ歴代2位)、発売から約1週間での出荷本数は1700万本。また調査会社SuperDataの推測値によると、ダウンロード版だけで初週400万本のセールスを記録しているという。

『RDR2』のような最注目タイトルが下馬評どおり順調に売り上げを伸ばしていく様子というのは、同じく超大作として期待される『Cyberpunk 2077』を手がけるCD PROJEKTグループとしても良い傾向であると捉えているのだろう。

ちなみに『Cyberpunk 2077』の開発は順調に進んでいるとのこと。プロモーションコンテンツが次に公開されるのはいつごろになるのか、という問いに対しては、プロモーションキャンペーンは現在進行形で進んでおり、今後さらなるコンテンツが公開されていくと期待してよいと語られた。またCD PROJEKTグループのこれまでのプロモーション活動と同じように、新情報をいつアナウンスするのか事前に告知することはなく、そのときが来たらわかるだろうとだけ伝えている。