末期がんの少年に『Fallout 76』を発売前にプレイする機会を提供したBethesda。そしてその話には続きがあった

今年9月、アメリカ・バージニア州に暮らす末期がんの少年Wes君のもとに、Bethesdaのスタッフが訪れ発売前に『Fallout 76』を遊ばせてあげるという粋な計らいがあった。そして、そのお話にはまだ続きがあったようだ。

Bethesda Softworksは現在、マイクロソフトやオンラインマガジンHYPEBEASTと協力し、『Fallout』シリーズでおなじみパワーアーマーのヘルメットの、さまざまなバリエーションのレプリカを製作して販売するチャリティオークションを実施している。得られた収益は、住環境や衛生設備の支援などに取り組む国際NGOのHabitat for Humanityに寄付されるとのこと。そして同社は、こうした大きな取り組みとは別に、最近ある家族に独自に寄付をおこなっていたことが明らかになった。海外メディアComicBook.comが報じている。

今年9月、アメリカ・バージニア州に暮らす少年Wes君について弊誌はお伝えした。あらためてそのあらましをおさらいすると、Wes君は5歳の頃に神経芽腫と呼ばれる小児がんを患い、病院に通いながら放射線治療を続けていたが、その負担に身体が耐えきれなくなったことから主治医の提案により治療を中断する。『Fallout』シリーズの大ファンだったWes君は末期がんの状態で、彼に残された時間は少なく、最新作『Fallout 76』をプレイすることは叶わないかもしれなかった。そのことを聞きつけたBethesdaは、同作の限定版に同梱される予定の、パワーアーマーのヘルメットのレプリカなどのグッズをWes君の自宅まで持参しプレゼント。そしてわずかな時間ではあったが、彼は家族と、BethesdaのアシスタントディレクターMatt Grandstaff氏と一緒に『Fallout 76』を発売前にプレイすることができたのだ(関連記事)。

Wes君と、BethesdaのMatt Grandstaff氏 Image Credit: Wes’ Fight Against Neuroblastoma

あれから1か月余りが過ぎた11月3日、Wes君は家族に見守られながら息を引き取ったという。彼の家族は、高額な医療費や生活費のためにクラウドファンディングサイトGoFundMeにて寄付を募っていた。Wes君が亡くなった後は、同じような病気と闘う子供のための活動をおこなっており、その支援を募っている。そして先週、家族のGoFundMeページに1万ドル(約114万円)という飛び抜けて高額な寄付が寄せられた。寄付をおこなったのはBethesda Softworksだった。そして同社は、「Wes君の存在はFalloutのコミュニティに、そしてBethesdaのスタッフ全員にインスピレーションを与えてくれました。君にもう会えないことを寂しく思います」とのコメントを寄せている。

実は海外のゲーム業界では、先週からさまざまなチャリティ活動が一斉におこなわれており、ゲームメーカーやメディア、著名配信者などがゲームプレイ配信を通じて視聴者から寄付金を集め、たとえばExtra Lifeという団体を通じて小児専門病院の支援をおこなう非営利団体Children’s Miracle Network Hospitalsへと寄付をしている。冒頭で紹介したBethesdaのチャリティオークションも、『Fallout 76』の発売を控えてという意味もあるが、この気運の盛り上がるタイミングで実施されているわけだ。そして時期を同じくして、同社として自ら公にすることはなかったが、『Fallout』シリーズを愛してくれたひとりのファンのためにも寄付をしていたことが明らかになった形だ。

先週はちょうど『Fallout 76』のベータテストがおこなわれていた時期でもある。参加したプレイヤーの中には、Wes君に敬意を評してゲーム内で21発の礼砲を撃つ人たちや、前述したWes君の家族が現在おこなっている支援のための非営利団体への寄付を募るゲームプレイ配信をおこなう人もいたという。Wes君の家族は、残念ながらWes君は『Fallout 76』の続きをプレイすることは叶わなかったが、彼に影響を受けて行動を起こしてくれたコミュニティに感謝の意を表している。『Fallout 76』は11月15日にいよいよ発売を迎える。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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