「実在する英国の屋敷」から影響を受けたサバイバルホラー『Maid of Sker』、屋敷所有者の怒りを買い訴訟に発展する恐れ
イギリスのゲームデベロッパー/パブリッシャーWales Interactiveが10月末に発表した『Maid of Sker』。同作は英国ウェールズ地方に実在する屋敷Sker Houseおよび、その屋敷を題材にした小説「Maid of Sker」から影響を受けて開発されている一人称視点のサバイバルホラーゲームだ。主人公Thomas Evansは最愛の女性を救うため、その不気味な屋敷内に足を踏み入れることとなる(関連記事)。
上のアナウンストレイラーに登場する屋敷の入口部分には「Sker House」と書かれており、実在するSker Houseを想起させる。本件について報じている海外メディアEurogamerがSker Houseの不動産管理者にコンタクトを取ったところによると、開発陣から彼らのもとには事前連絡がなされておらず、所有者は先日のゲーム発表によって初めてプロジェクトの存在を知ったとのこと。『Maid of Sker』はSker Houseを呪われた屋敷として描写していることもあり、やはり良い印象は受けておらず、法的措置を検討している段階だという。
一方、開発元のWales Interactiveとしては、あくまでも公表されている情報をもとにSker Houseを描いているのであって、権利侵害に至るものではないとコメント。不動産管理者の反応については、「ゲームの発表がきっかけで不法侵入者やゴーストハンターが敷地内に忍び込むようになって、いらいらしているのだと思います」と述べている。
同屋敷は古くから呪われた屋敷として知られており、先述したように小説の題材になることもある。ただゲーム内で描かれるのは、実在するSker Houseと同名の屋敷で描かれるフィクション上の物語であり、実在するSker Houseを描くものではない。とはいえ、本作のプレスリリースでは何度も実在するSker HouseおよびSker Houseに住んでいたというElizabeth Williamsにまつわるエピソードが言及されており、ゲームの宣伝にあたりSker Houseの知名度を利用している形にはなっている。なお現在は屋敷関係者からの連絡を受けて、Sker Houseへの言及を薄めるようプレスリリースの文面が一部変更されている。
良からぬ形で再度注目を浴びることとなった『Maid of Sker』。訴訟に発展する前に当事者間で和解に至ることを願いたい。本作のリリース時期は2019年Q3で、対応プラットフォームはPlayStation 4/Nintendo Switch/Xbox OneおよびPC(Steam)。日本語字幕・インターフェイスにも対応する予定だ。