『レッド・デッド・リデンプション2』の情報を発売前にリークしたメディアが、販売元に謝罪。約1.4億円を寄付すると発表
ゲームメディアTrustedReviewsを運営するTI Mediaは11月1日、『レッド・デッド・リデンプション2』の情報を発売前にリークしたとして、同作を発売するRockstar Gamesの親会社であるTake-Two Interactive(以下、Take-Two)に謝罪し、100万ポンド(約1.4億円)以上の額を指定団体に寄付することを発表した。Varietyなどが詳細を報じている。
【UPDATE 2018/11/3 18:50】
記事初版にて、「donate」を「募金」と訳していましたが、正しくは「寄付」でした。修正いたしました。
TrustedReviewsは今年2月、内部情報を得たとし『レッド・デッド・リデンプション2』の情報を発売前にリークした。具体的なものとしては、ゲームが最初から一人称視点でプレイできること、またオンラインコンテンツとしてバトルロイヤルモードが用意される予定であることなど。いずれの要素もサプライズというものではなく、大きく話題になることはなかった。しかしTake-Twoとしては見逃せない点があったようだ。というのは、情報源が会社の機密書類から得たものであったことだ。Take-Two は、Varietyに対し「弊社はセキュリティを重要視しており、機密情報を流出させた人やそれを公開する人に対し、法的措置をとります」とコメントしている。なお一方で、どのような法律の違反や契約違反があったのかは、具体的に言及されていない。
TrustedReviewsは、Take-Twoのアクションを受け、掲載していた記事の記述を削除し、謝罪をおこなっている。機密書類から得た情報をもとに記事を作成するべきではなかったとし、Take-Twoに真摯に謝罪するとコメント。このような行為は二度と起こさないとし、Take-Twoが指定する団体へ100万ポンド以上の寄付をするとしている。つまり、寄付を介して和解した形であるといえるだろう。TrustedReviewの親会社であるTI Mediaは、1963年から運営されている英国メディア企業。40近いメディアやサービスを提供しており、広告や宣伝をおこなっている。1億円規模の寄付をできるのは、企業体力があるからかもしれない。
ゲームメディアがリークするというのはそう珍しいことではないが、リークを公開したメディアが謝罪し、寄付をするというのは極めて珍しい例である。リークをした場合に、法的措置の対象となるのは情報を流出させた本人であることが多い。企業との契約を反故しリークをおこなった人に対し、訴えを起こすという形だ。最近では、Epic Gamesが『フォートナイト』のアップデート情報をリークした、同社の元QAテスターとして勤務していたThomas Hannah氏を、営業秘密保護法およびEpic Gamesとの秘密保持契約(NDA)違反で提訴していた(関連記事)。Take-Twoがどのような切り口でTI Mediaを責めたのかは不明であるが、多額の寄付をするということは、なんらかの正当な理由があったと推測できる。
『レッド・デッド・リデンプション2』は8年以上をかけ開発されている超巨大プロジェクトであり、40以上のPVが用意されるなどプロモーションも特大規模。情報公開ひとつも、綿密に計画が練られ、段階的に発表されているだろう。そうした宣伝計画を台無しにしたリークを許容できないという主張は、もっともな話である。ゲームメディアは、基本的には自由に記事を発信することが許容されている。しかし、ゲームに対する意見を述べる批評とは異なり、リークは契約なども絡んでくる複雑な問題である。リークをおこなうメディアは“ページビュー”という名の一時的な甘い蜜を得られることになるが、その代償は、思ったよりも大きなものになるかもしれない。