PS4『ゴッド・オブ・ウォー』の開発中に発生した“災難級のバグ映像”をソニーが公開。それは開発を影で支えるスタッフの努力の証

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは10月23日、現在販売中のPlayStation 4向けアクションアドベンチャーゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』の新たな映像を公開した。「Midgard Mishaps」と題された映像には、本作に開発中に発生したさまざまなバグの様子が収められている。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは10月23日、現在販売中のPlayStation 4向けアクションアドベンチャーゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』の新たな映像を公開した。「Midgard Mishaps(ミズガルズの災難)」と題されたこの映像には、本作に開発中に発生したさまざまなバグの様子が収められている。

映像ではいくつかのカテゴリ別に紹介されており、まずは主人公クレイトスの息子アトレウスにまつわるバグが映し出されている。アトレウスの顔がいびつに歪んだり変顔をしたり、場にそぐわないセリフを連呼したり、あるいは敵の周りを高速でぐるぐる周回したり。本作の開発元であるSIE Santa Monica Studioのクリエイティブ・ディレクターCory Barlog氏は、冒頭のアトレウスの顔はバグの典型的な例だとして、映画「ヘル・レイザー」のようだとコメントしている。

次のコンバット編では、バトル中にクレイトスが異常なモーションを見せたり、攻撃をヒットさせた敵がはるか遠くへ吹っ飛んでいく様子などを紹介。キャラクターの意図しないアニメーションのバグは、もはや踊っているようでもあり挿入されたダンスミュージックとの相性も抜群である。最後のシネマティクス編では、カットシーンでのバグを紹介。体はクレイトスのまま首だけすげ変わったり、巨像がひとりでに空へと飛んで行ったり、また床に伏せて本来は喋ることのないシーンでアトレウスが言葉を発したり。本作はSIEを代表するAAAタイトルとして非常に高いクオリティで制作されているが故に、こうした不自然な描写とのギャップが大きく、時に笑いをも誘う映像となっている。なお、これらのバグはもちろん製品版では修正されている。

今回こうした映像を公開した趣旨は、面白いバグを笑い飛ばそうということだけではなく、難しいゲーム開発の裏側を伝えることにあるようだ。Santa Monica StudioにてQA Leadを務めるCurt Markwardt氏は米国PlayStation.Blogにて、ハードウェアの限界に挑み、凄まじい没入感を作り出す『ゴッド・オブ・ウォー』のような巨大タイトルの開発は特に難しいと語る。数百人単位のスタッフが携わり、制作されたコンテンツを同時に実装していく過程では、多くのバグが発生するのはもはや約束されたことであり、解決すべき試練が次々にもたらされる。そのため開発スタッフはみな、クレイトスが本作の中で口にする「We must be better(乗り越えるのだ)」という言葉を心に留めて働いていたという。

Markwardt氏が所属するQA(品質管理)部門にはおよそ40名のスタッフがおり、ほかの各部門と協力しながらゲーム内のすべてのコンテンツに目を通す。そしてバグを見つけ出しては報告してゲームの改善につなげており、その仕事は、スタジオ全体に利益をもたらすものだと期待されているそうだ。今回公開された映像は、そうした作業の中で記録として残していたもの。まさに災難とも呼べるバグの数々をユーモアを交えて編集しているが、それはすべてのプレイヤーに本作を楽しんでもらうために、QAチームひとりひとりが取り組んだ努力の証でもあるとしている。

またCurt Markwardt氏は、QAの仕事は、ミスをすると目も当てられない結果を生むが、良い仕事をしたとしても、プレイヤーからはその存在に気づいてもらえず皮肉なものだとも述べている。今回公開された映像は、こうした人たちの努力があってこそ素晴らしいゲーム体験は生まれるものだということを気づかせてくれるものでもある。

ちなみに、Remedy Entertainmentもかつて『Quantum Break』の開発中のバグを、ユーモアたっぷりの映像で公開していた。こちらもやはりゲーム開発は難しいものであるということを示しており、ぜひ一緒に働こうじゃないかと開発者の募集につなげていた。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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