Jade Raymond氏がEAを退社。3年前にUbisoftからEAに移った『アサシン クリード』シリーズ成功の立役者

 

Electronic Arts(以下、EA)傘下のMotive Studiosを率いていたJade Raymond氏が、同社を退社したことが10月22日に明らかとなった。Jade Raymond氏はかつてUbisoftにて初代『アサシン クリード』のプロデューサー、『アサシン クリード II』『ウォッチドッグス』『スプリンターセル ブラックリスト』などのエグゼクティブ・プロデューサーを担当した人物であり、2009年に設立されたUbisoft Torontoのトップを務めていた。

2014年10月には10年間在籍したUbisoftを退社し、2015年7月EAに入社。以降はモントリオールに拠点を置くMotive Studiosの設立者としてスタジオを率いてきた。これまでには『Star Wars バトルフロント II』のシングルプレイキャンペーンや、未発表の新規IPアクションゲームに着手。そのほか2017年に閉鎖したVisceral Gamesが手がけていた「Star Wars」プロジェクト(プロジェクトRagtag)では、Raymond氏がゲームデザイナー・ライターとして参加していた。なおRagtagプロジェクトは、2017年10月に発表されたVisceral Games閉鎖にともない、Motive Studios主導で再出発を切っている。

※ストーリーテリングの未来について語るRaymond氏

未発表の新規IPタイトルに関しては、これまでにないゲームプレイを含むアクションゲーム大作として2021年発売予定と伝えられていた(GamesIndustry.biz)。EAはFPSやスポーツゲーム、シミュレーションゲームを多く取り扱ってきたが、近年ではBioWareが開発中の『Anthem』のように、アクションゲーム大作に力を入れ始めている。

Raymond氏がMotive Studiosに着任した当時には、EA Worldwide Studiosの元トップPatrick Söderlund氏が「EAは『アサシン クリード』『バットマン』『グランド・セフト・オート』のようなアクションゲーム大作で知られている会社ではありません。ですが私たちの現在の戦略的な方向性としては、そうしたアクションゲームの分野にまでポートフォリオを拡大していけるよう舵を切っています」と語っており(PC Gamer)、Ubisoftにて数々のシングルプレイ・アクションゲーム大作を手がけてきたRaymond氏の手腕には期待が寄せられていた。だが先述したようにリニアなシングルプレイ作品として開発されていたVisceral Gamesの「Star Wars」プロジェクトは、方向性の変更にともないノンリニアな作品として仕切り直されている。

2016年に公開されたプロジェクトRagtagのコンセプトアート

Raymond氏の後任を務めるのは、Monolithの元CEOであり、Warner Bros、BioWareにて重役を務め、現在はEAのモバイルゲーム開発スタジオEA MobileやMaxis、BioWareのシニア・バイス・プレジデントとして活躍しているSamantha Ryan氏。今回の人事異動に関しては声明文にて、Samantha Ryan氏のポートフォリオ拡大にともなう就任という形で説明されており、Ryan氏のスタジオトップ就任を受けてJade Raymond氏が退社を決断したと記されている。

今回の人事異動は、今年8月にEAを去ったPatrick Söderlund氏(での発表)の後任Laura Miele氏のもとで行われたもの。これまでEAのチーフ・スタジオ・オフィサーとして、またグローバル・パブリッシングのトップとして長年貢献してきた人物である。人事異動の理由としては、よりクリエイティブなタイトル・コンテンツをプレイヤーに届けるというEAの目的を達成すべく、開発陣をより良くサポートするためであると説明されている。なおMotive Studiosにて進行中のプロジェクトについては、体制変更後も継続されるとのことだ。