Madmind Studioは10月21日、地獄巡り一人称視点サバイバルホラー『Agony』からレーティング審査規制を取り除く『Agony UNRATED』を10月31日にリリースすることを正式に発表した。Steamストアページはオープン済み、通常販売価格は『Agony』の半額となる14.99ドル。既に『Agony』を所有しているプレイヤーは90%オフで購入可能となり、Kickstarterキャンペーン出資者向けには2日早い10月29日より無料配布される。オリジナル版『Agony』と同様に日本語字幕・インターフェイスにも対応予定。以下はエログロ表現の過激さが増した『Agony UNRATED』の公式トレイラーである。
『Agony』は亡者や悪魔に憑依しながら地獄を彷徨う一人称視点のサバイバルホラーゲーム。今年5月にPCおよび海外PlayStation 4/Xbox One向けに配信が開始された。プレイヤーは記憶を無くした人間の魂として、地獄からの帰還を果たすべく、その術を知っているという赤い女神(Red Goddess)を探す旅に出る。ステルス行動で悪魔から逃れたり、捧げ物や魔力印といったキーアイテムを探してパズルを解いたりしながら、肉片と血の海で覆われた猟奇世界を巡るのだ。
オリジナル版『Agony』に関しては、作品の目玉である地獄描写には力が入っているものの、地獄描写・雰囲気以外のステルスやパズル、悪魔への憑依アクションといったゲームプレイ部分が酷評され、レビュー集積サイトMetacriticではメタスコア46/100点、ユーザースコア4.3/10点と振るわぬ結果を残している。またレーティング審査通過のため一部シーンの表現を緩和したことも、過激表現に期待していたファンにとっては評価を下げる要因のひとつとなっていた。
Madmind Studioはこのたび、Kickstarterキャンペーンのアップデートページにて、オリジナル版『Agony』のローンチが多くのプレイヤーを失望させてしまったことに言及。技術的な不具合や規制表現の数々がゲーム体験を阻害してしまったことへのお詫び、そして埋め合わせとして『Agony UNRATED』を低価格で配信する旨、説明している。
またMadmind Studioは、パブリッシングとレーティングの契約上の理由により、『Agony』自体から規制箇所を取り除くことは禁じられているため、『Agony UNRATED』という別タイトルとして配信することになったと改めて説明。契約上の理由から、あえて一旦開発中止を発表して(関連記事)、姿をくらませてから開発を継続するという道を選んだという。現在はリリースから数か月が経ち、契約上のしがらみから解き放たれたことから、再び『Agony UNRATED』に関する情報発信が可能になったとのことだ。
『Agony UNRATED』には規制されたシーンの追加だけでなく、高解像度化したキャラクターモデル・テキスチャー、新しい脅威として罠や敵の追加、刷新されたキャラクター成長システム、ボリュームライト表現の使用、敵や謎解きを増やしたノーマル・ハードモード、自動生成マップを攻略するAgonyモード用の新しい環境(森林)、ストーリーモードへのエンディング追加、サキュバスとしてストーリーモードをプレイするオプション、赤黒のイメージフィルター、ワールドマップとミニマップなど、さまざまな変更点が盛り込まれている。単なる表現規制の解除というだけでなく、より完成度の高い状態で『Agony』を遊べるようになるはずだ。
『Agony UNRATED』はレーティング審査を行っていないバージョンとなることから、小売店・オンラインストア販売にあたりレーティング審査が実質上必須となるコンソール版での配信は予定されておらず、現状はPC版のみの配信を予定している。ただし『Agony UNRATED』が成功をおさめた場合にはパブリッシャーを探し、アダルトオンリーのレーティングにてPS4/XBOパッケージ版の数量限定生産を検討すると述べている。なおNintendo Switch版『Agony』(UNRATEDではなくオリジナル版)に関しては、Madmind Studioと同じポーランドに拠点を置くパブリッシャーUltimate Gamesと組み、2018年末にリリース予定となっている。