『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の思い切ったセールが波紋を呼ぶ。中国ユーザーから不評相次ぐ
本日10月16日より、Steamにて『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』のセールが開始された。今回のセールでは、34%オフの値引きがされており、シーズンパスや追加コンテンツ、サントラなどを含むクロフトエディションにいたっては、47%オフとなっている。大作とあり定価はお高いものの、比較的手頃な価格で『トゥームレイダー』最新作を手に入れる良いチャンス。しかしセールを受け入れがたいと感じているユーザーは少なくないようだ。問題のひとつとしてあげられるのは、本作の発売日である。
『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の発売日は、日本時間の2018年9月14日。つまり、約1か月前である。同作は発売前から予約を大々的に受け付けていた。定価は59ドルと大作級でありつつ、クロフトエディションは89.99ドルと高価。購入したユーザーの中には、発売1か月で大幅に値引きされていることが受け入れがたいと感じているようだ。
すでにSteamストアでは、予約および発売後購入した中国人ユーザーからの“不満アタック”が始まっている。10月16日18時現在、発売直後の票数を上回る74件以上の不評レビューが寄せられており、そのうちのほとんどが価格に関するものである。なぜ中国人ユーザーばかりが不満を漏らしているのかというと、セールが開始されたのは日本時間の明け方。多くの欧米のメディアはこのセールに気付いておらず、取り上げていない。それゆえに、ユーザーもまたセールされていることを認識していない。一方、中国は時差の関係もあり、WeiboなどSNSやメディアがこの問題を取り上げている。かつSteamユーザーも非常に多いということで、こうした活発な動きを見られるのではないかと推測できる。
ただし、『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の思いきった値下げは今回が初ではない。10月10日時点で、欧州のPSNではすでにPS4版の27%オフのセールが期間限定で開催されており、“セールの波”は感じさせていた(Push Square)。ただし、Steamセールはグローバルなものであり、34%オフとこの段階における公式セールにおいては破格である。Steamでは発売後数か月後の大幅値下げは珍しくないものの、定価が高いこと、人気フランチャイズであること、そして発売1か月後だったというのが、ショックを与えてしまったのかもしれない。
『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』は、リブートした『トゥームレイダー』三部作の完結編であり、開発には80億から110億円費やされ、マーケティングには40億円投じられている。Crystal DynamicsとEidos Montrealの共同で開発されており、制作には多くのコストが費やされている(関連記事)。早期のセールが販売不振に必ずしも結びつくわけではないが、売上の好調な作品は安売りしない傾向にあるだろう。“急ぐように”34%オフで販売されている背景には、こうした開発費用が関連しているかもしれないが、憶測の域は出ない。いずれにせよ、本日投下されている不評レビューのほとんどが、ゲームの評価に関連したものではないことを留意しておきたい。
『トゥームレイダー』シリーズに長きに渡り携わってきたCrystal Dynamicsは、今年8月に新スタジオCrystal Northwestを設立。『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズのリードシステムデザイナーとして務めてきたVincent Napoli氏などを招聘し、マーベルとスクウェア・エニックス、そしてEidos Montrealとともに「THE AVENGERS PROJECT」に取り組んでいる。根強い人気を持つ、三部作が完結した『トゥームレイダー』シリーズの今後についても、気になるところだ。