大規模なオンラインマルチプレイを導入できる「SpatialOS」Unity向けのGDKが配信開始。200人対戦FPSをテンプレートに用意
イギリスに拠点を置くテクノロジー企業Improbableは10月10日、同社が提供するクラウドベースのゲーム開発プラットフォーム「SpatialOS」のUnity向けGame Development Kitを公開したと発表した。SpatialOSは、これまでにもベータ版としてUnityと組み合わせて利用することができたが、今回正式に対応した形だ。なお、Unreal Engine向けにも提供されており、こちらは現在プレアルファ段階である。
SpatialOSは、オンラインマルチプレイゲームの開発と運用をおこなうための分散オペレーティングシステムで、ゲームエンジンと組み合わせて大規模で複雑なゲーム世界を構築することを可能にする。ひとつのサーバーごとにゲーム世界を構築・運用する一般的な手法に対して、SpatialOSでは複数のサーバーを連携させることが特徴で、Workerと呼ばれる独自の概念のプログラムを利用し、ゲーム世界を分割してシミュレートしながらシームレスに連携させる。開発における素早いイテレーションや軽い動作を強みとし、Unityにネイティブ対応したことでユーザーの利便性の向上も見込まれる。また開発タイトルの運営においては、Webベースのリアルタイム監視ツールが用意され、デバッグに活かすことが可能となっている。
今回リリースされたUnity向けGDKには、スタータープロジェクトとしてオープンソースのFPSゲームが収録されており、ユーザーはこれをテンプレートとして利用して自らのゲームを構築可能。SpatialOSの特性を活かし、最大200人でのオンラインマルチプレイを実現できる。また、このFPSゲームにはCharacter movement・Health・Player lifecycle・Shootable weapons・Transform synchronisationといったゲームを構成する要素モジュールが使われており、これらも利用可能である。モジュールは今後さらに追加配信されていくとのこと。
開発元のImprobableは、Googleと提携し、ソフトバンクなどから多額の出資を受けるなど大きな期待を集めているスタートアップ企業である。SpatialOSは、Bossa StudiosのMMOサンドボックスゲーム『Worlds Adrift』や、『Halo』シリーズ開発者が手がけるサバイバルシューター『Scavengers』、1000人対戦バトルロイヤルゲーム『Mavericks: Proving Grounds』などの開発中タイトルに採用されている。いずれもスケールの大きさを特徴としながら、手がけているのは比較的小規模なインディースタジオということで、SpatialOSとこうした作品との相性の良さがうかがえる。SpatialOSは、転送データ量や帯域幅などユーザーの使用量によって料金がかかるビジネスモデルを採用しているが、まずは無料でダウンロードして試すことが可能なので、興味のあるUnityユーザーの方はチェックしてみてはいかがだろうか。