『CoD』シリーズを手がけるInfinity Wardは、すでに「次世代コンソール向け新作」を開発中。次世代の足音が迫る

 

『Call of Duty』シリーズの開発元として知られるInfinity Wardが、未発表の次世代タイトル(unannounced next gen title)の開発に取り組んでいることが明らかになった。同社は先週、ビジネスSNSのLinkedInにAssociate Game Designerの求人を出し、その業務内容を説明する中で次世代タイトルに携わることに言及している。また、経験豊富なデザイナーらと協力して新たなゲーム要素を構築・導入させていく業務だとし、応募者に求める条件としてはFPSゲームへの強い関心と熱意や、最近のゲームのレベルデザインについて分析・議論できる能力などを挙げている。

Infinity Wardは昨年、ポーランド・クラクフに研究開発スタジオを新設しており、親会社のActivisionの公式サイトではここで働くRendering Engineerの求人をおこなっている。同スタジオ代表のMichal Drobot氏も、有能なRendering Engineerを探していると以前述べていた。その求人内容によると、次なるAAAタイトル向けの最先端のレンダリング技術を、次世代コンソール(next-gen console)にて実現するためだとしており、これらの情報を合わせると、Infinity Wardが開発している次世代タイトルとは、次世代コンソール向けという意味で間違いなさそうだ。また、今年7月に出されていたInfinity Wardの求人では、複数の次世代プラットフォーム(multiple next gen platforms)が対象だとも言及されていた(Wccftech)。

次世代コンソールとは、つまりPS4やXbox One(あるいはNintendo Switch)の次の世代のコンソールのことであるが、その計画の具体的なことについては現時点では各社なにも明らかにしていない。ただ、ソニー社長兼CEOの吉田健一郎氏は10月9日、経済紙Financial Timesに対して次世代機は必要だと述べ、準備を進めていることを示唆している。またソニー・インタラクティブエンタテインメント社長兼CEOの小寺剛氏は今年5月、PS4はライフサイクルの終盤に入っているとの認識を示し、これからの3年間は次世代機のための準備期間であることをほのめかしていた(The Wall Street Journal)。

一方のマイクロソフトは、E3 2018のプレスカンファレンスにてXbox事業責任者のPhil Spencer氏が、すでに次世代機の開発に取り組んでいることを表明。Xbox One Xを手がけたチームによる、コンソールゲーミングにおける新たな基準となるようなコンソールを目指しているという。また同時に、クラウドゲーミングやゲームAIの開発にも取り組んでいるとしていた。クラウドについては、ストリーミングゲームサービス「Project xCloud」として10月8日に正式発表している(関連記事)。

Infinity Wardは2003年に発売された初代『Call of Duty』を開発し、その後は同じActivision傘下にあるスタジオと交互に同シリーズを手掛けている。直近の作品は2016年リリースの『Call of Duty: Infinite Warfare』で、昨年の『Call of Duty: WWII』はSledgehammer Gamesが、そして今月10月12日に発売を迎える『Call of Duty: Black Ops 4』はTreyarchが開発を担当した。順当にいけば、次なるシリーズ新作はInfinity Wardによるものとなるだろう。ただ、シリーズ新作は早ければ来年にも発売されると見られている。次世代コンソールが来年にローンチを迎えているとは考えにくいため、現行機とのマルチプラットフォームとなるのかもしれない。それともInfinity Wardの前にほかのスタジオによる新作が控えているのか、あるいは“未発表の次世代タイトル”とはInfinity Wardのさらに次の作品のことを指しているのかもしれない。

Infinity Wardの新作の内容はどのようなものになるのかは分からないが、まずは時代設定が気になるところ。前回手がけた『Call of Duty: Infinite Warfare』では、シリーズにて近未来の設定が続く中さらに継続したことで、発表トレイラーはYouTube史上3番目に多い370万件以上の不評を得る結果となってしまった。同作は、アメリカにて発売月の売り上げトップタイトルに輝き、イギリスでは初週180万本を販売したものの、結果的にActivisionの予想を下回る売れ行きとなり、同社CEOは同作はファンの心に響かなかったと振り返っている(Kotaku)。

今回明らかになった求人でInfinity Wardは、Associate Game Designerにはマルチプレイとシングルプレイの両方に関する広範な知識を求めている。さらに、前述の7月の求人ではNarrative Scripterを募集していた。『Call of Duty: Black Ops 4』ではシングルプレイのキャンペーンモードを廃し、オンラインマルチプレイに特化するという大きな転換を見せ話題となったが、Infinity Wardが手がける新作では伝統的なキャンペーンモードを収録することが予想される。なお今年5月には、Infinity Wardを去り『Titanfall』シリーズを手がけるRespawn Entertainmentに加わった複数のスタッフが、ふたたびInfinity Wardに戻っていることが報告されている(Reddit)。

次世代コンソールを巡る動きとしてはほかに、『トゥームレイダー』シリーズの開発元として知られ、現在「アベンジャーズ」のゲーム版にも携わっているCrystal Dynamicsが、次世代コンソールとPC向けタイトル開発のためのExternal Senior ProducerをLinkedInにて募集している。また、『Warframe』などで知られるDigital Extremesも、次世代ゲームプラットフォーム(next-gen video game platforms)への移植に携わるプログラマーを募集している。各社が準備を始めている次世代コンソールそのものの全貌と共に、Infinity Wardの次なる作品に注目が集まる。