Googleが、Chrome上でゲームをストリーミングプレイする技術をテスト運用。『アサシン クリード オデッセイ』をブラウザで遊ぶ
GoogleとUbisoftは10月1日、Googleが開発中のストリーミング技術Project Streamのテスト運用として、『アサシン クリード オデッセイ』をGoogle Chrome上でプレイするユーザーテストを実施する旨を発表した。米国内かつ人数限定で、17歳以上・25mbps以上という条件下でテスト参加希望者を募っている。以下の映像では、操作環境は不明ながら1080p/60fpsを保った状態で『アサシン クリード オデッセイ』をプレイする様子が確認できる。
Ubisoftは公式ブログにて「ビデオゲームは、アートとテクノロジーの接合点として、新しい表現方法が技術的革新を牽引する場所として、常に存在してきました。そして新しい跳躍のたびに技術的ブレイクスルーが生まれ、業界内外をかき乱します」と語っている。
こうした考えを踏まえ、帯域幅、コンピューティング・パワー、ストレージなどの進歩にともない、次に業界内外をかき乱すとUbisoftが考えているのが、ストリーミング技術というわけだ。ゲームのストリーミングプレイがスタンダードになれば、遊び方だけでなくゲームの作り方まで変わっていく。
Googleの目標は、既存のストリーミング技術が抱える問題をProject Streamによって解消することである。その目標達成に近づくため、AAA級タイトルの高品質なビジュアル、インプット/アプトプット量が多くプレイヤーの操作に対し即座のレスポンスが求められる複雑なゲームメカニック、そしてUbisoftが抱え持つプラットフォーム・インフラという好材料がそろった『アサシン クリード オデッセイ』がテスト対象として選ばれたわけだ。
ただ、事前にバッファーを設けられる音楽・映像のストリーミングとは異なり、ゲームのストリーミングプレイにおいてはグラフィックを劣化させることなく、レイテンシーを最小限に抑える必要がある。今回のテスト運用でも、ブラウザ上のストリーミングでそうした点をクリアできるのかどうかが確認されていくのだろう。
クラウドサーバー上のゲームを動かすというクラウドゲーミング/ストリーミングサービスは、プレイヤー側に安定・高速のインターネットインフラが求められるという条件がついてまわるが、ハードウェアのスペックが低くてもハイエンドなゲームにアクセスし得るという大きなメリットも存在する。そうした理由もあってストリーミング技術の可能性については他の大手企業も目をつけており、E3 2018ではマイクロソフトとElectronic Artsがそれぞれ独自のストリーミングサービスの開発に取り組んでいることを発表していた。
今回Googleとのパートナーシップを発表したUbisoftのCEO Yves Guillemot氏は今年9月、GameSpotとのインタビューにてストリーミング技術が秘めているポテンシャルの高さに言及。まだまだクリアせねばならない課題は多いものの、AAA級タイトルをより多くのプレイヤーに遊んでもらえるようになるだけでなく、より高度で新しいゲーム体験を届けられるようになるだろうと語っていた。またTake TwoのCEO Strauss Zelnick氏も、今年9月gameindustry.bizに対し、近い将来ゲーム分野においてストリーミングサービスが本格的に台頭し始めるだろうとコメントしている。今回のProject Streamもまた、ストリーミング技術の発展と普及に向けた大きな一歩となり得るだろう。
PlayStation 4/Xbox One/PC向けに10月5日リリース予定の『アサシン クリード オデッセイ』。国内Nintendo Switch向けには、クラウドゲームとして『アサシン クリード オデッセイ – CLOUD VERSION』が同日配信される予定であり(関連記事)、同作はクラウドゲーミング/ストリーミング技術を推し進めた一作としてもその名を残しそうだ。