『スーパーマリオブラザーズ』の最速クリア記録が4分55秒台に突入。“人間には無理”とされていた壁を超え、TAS級の記録に到達

今月9月24日に、『スーパーマリオブラザーズ』の最速クリア記録が更新されたことが海外で話題を集めている。タイムは4分55秒913。ファミリーコンピュータの実機を使い、付属のコントローラーで叩き出した記録であるという。特筆すべきは、『スーパーマリオブラザーズ』の世界記録が初めて4分55秒の大台に突入したことだ。

今月9月24日に、『スーパーマリオブラザーズ』の最速クリア記録が更新されたことが海外で話題を集めている。今回記録を樹立したのはKosmicことKosmicd12氏で、タイムは4分55秒913。ファミリーコンピュータ(NES)の実機を使い、付属のコントローラーで叩き出した記録であるという。特筆すべきは、今回世界記録が初めて4分55秒の大台に突入したことだ。

『スーパーマリオブラザーズ』のany%(クリア率は問わない)を競うRTA(スピードラン)では、熾烈な競争が長きに渡り繰り広げられていた。Speedrun.comを見ると世界5位までは4分56秒台で、そこから26位までは57秒台。さらにそこから56位までは58秒台がひしめく。コンマ数秒の違いが順位を分ける、極めてハイレベルな戦いが繰り広げられていた。しかし一方で、55秒の壁はあまりにも高く、人間にとっては難しい領域ではないかとも噂されていた。研究は進み理論値は短縮されども、TAS(Tool-Assisted Superplay)でも4分54秒や4分55秒といったタイムを残しており多くのランナーたちが苦労をしていた。しかしながら、今回Kosmic氏が人間離れした技を見せ、TASに迫る世界記録を人力で打ち立てたというわけだ。氏自身も今回の記録について「まさしくTASと同程度(literally tied with the TAS.)」と評している。

プレイ映像では、数々の熟達した技を確認できる。マリオがゴールであるポールに飛び込んだ際に、上から降りてくる演出を省略する旗らけ(flagpole glitch)や、スプライトとヒットボックスの関係性を利用したパックンのすり抜け、21フレームルールを巧みに利用した4-2のショートカットなど数々の高難易度のテクニックを、Kosmic氏は“人の手”で正確に繰り出し続けたのだ。数々のテクニックの概要については、氏の動画のコメント欄にすべて記載されているので、そちらをチェックしてほしい。

難所である4-2(2分20秒近辺)をクリアしたあたりから、氏の表情はこわばり始める。これまでのRTAで最速の記録であると何度もつぶやき、8-2をクリア時点で緊張しながらも、プレイ中とは思えないほどの喜びを見せる。最終ステージの8-4に入ってからはその集中力は最高潮。「クリアさせてくれ」と願いをこめながら、クッパを溶岩に落としゲームをクリア。「信じられない!」と狂喜乱舞し、その記録の余韻を1分以上にわたり噛み締め続けた。

somewes氏の記録を破り世界のトップに立ち、そして何より4分55秒の大台に突入したKosmic氏を全世界のユーザーが熱烈に祝福。その記録と祝福に喜びながらも、氏は「秒単位の更新は困難だが、まだタイムは改善できる」とさらなる記録の樹立に意欲を見せている。『スーパーマリオブラザーズ』をめぐる極めてハイレベルなチャレンジは、新たな次元に突入しつつある。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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