買収を重ね成長続けるTHQ Nordicが、新たに『Kingdoms of Amalur』の権利を獲得。多くのファンから支持を得たオープンワールドRPG
パブリッシャーのTHQ Nordicは9月6日、2012年に倒産したインディースタジオ38 Studiosが保有していた『Kingdoms of Amalur』の権利を買収したと発表した。買収価格については明らかにされていないが、この取引には同作に関連するアセットや、38 Studiosが「Project Copernicus」として開発していたMMORPG『Amalur』の権利も含まれているとのこと。
38 Studiosは、MLBで活躍したカート・シリング投手が設立したスタジオで、『The Elder Scrolls』シリーズのリードデザイナーを務めたKen Rolston氏らベテラン開発者を擁するBig Huge Gamesを買収し、『Kingdoms of Amalur: Reckoning(キングダムズ オブ アマラー:レコニング)』を共同開発した。2012年にPC/PlayStation 3/Xbox 360向けにリリースされ、日本でもスパイク・チュンソフトから日本語版が発売されている。
同作は、1万年以上の歴史を持つ広大なファンタジー世界Amalurを舞台に、戦乱の世を生きるオープンワールドRPGだ。Amalurには人間やエルフなど4つの種族が暮らしており、誰しもが滅びの運命を持っている。しかし、その運命により命を落とした者が、人智を越えた力によって蘇るという異変が起こり、プレイヤーは運命の縛りから解かれた存在として、自らの死に隠された秘密を探るため冒険をおこなう。同作は発売から90日で120万本を売り上げるヒットとなるが、間も無く38 Studiosは倒産。当時、同作の損益分岐点は300万本だと報じられていた(Shacknews)。
38 Studiosの倒産後、保有していた作品の権利やアセットなどがオークションにかけられ、Big Huge Gamesが手がけた『Rise of Nations』などは落札されたことが発表されたものの、『Kingdoms of Amalur』の権利の行方についてははっきりしなかった。それから5年もの月日が流れたが、今回THQ Nordicが獲得する結果となった。
THQ Nordicは、前身のNordic Games時代に、倒産した大手パブリッシャーTHQのブランドを買収してTHQ Nordicに改名。THQ Nordicの設立者でCEOのLars Wingefors氏は、個人で投資会社も運営している資産家で、THQ Nordicだけでなく幅広い分野に投資をおこなっている。その豊富な資金力を背景に、これまでにたとえば『Darksiders』や『Red Faction』、『TimeSplitters』などの有力タイトルから、『Sine Mora』などインディーゲームの権利を次々に獲得。また、Deep Silverを傘下に持つKoch Mediaや、『BIOMUTANT』を手がけるExperiment 101などのスタジオの買収も重ねて急激な成長を見せている。
THQ Nordicは買収した作品については、たとえば『Red Faction Guerrilla Re-Mars-tered』などのようにリマスター版として再リリースしたり、『Darksiders III』や『Desperados III』のようにシリーズの新作を制作するなどして積極的に活用している。今回の買収により、『Kingdoms of Amalur: Reckoning』のリマスターや、『Amalur』の開発続行、そして将来的には新作も登場するかもしれない。