ローグヴァニアACT『Dead Cells』Nintendo Switch版はPS4版の4倍売れていると報告。今後のアップデート計画も明らかに
今年8月7日にNintendo Switch/PlayStation 4および海外Xbox One向けに発売され、同時にSteamにて正式リリースを迎えた“ローグヴァニア”アクションゲーム『Dead Cells』。そのコンソール版の売り上げについて海外メディアDestructoidが、本作のマーケティング担当者の話として、Nintendo Switch版が特に好調だと報じている。具体的な数字は明らかにされていないが、PS4版の4倍のペースで売れているという。
本作のNintendo Switch版は、ニンテンドーeショップのダウンロードランキングにて、日本や米国ではトップ10圏内を維持しており、発売から1か月経った今も好調であることがうかがえる。一方のPS4版は、PlayStation Storeの国内ランキングではトップ10内に位置しているものの、米国では現在60位(ちなみにXbox One版も米国ストアにて60位近辺)。また、米国Amazonのベストセラーランキングを見ても、Nintendo Switch版はパッケージ版がトップ10、ダウンロードコード版がトップ30に入っているが(予約タイトルを除いた場合)、PS4版はトップ100圏内にも入っていない状況である。プラットフォームごとにタイトルラインナップが異なるという事情はあるが、本作のNintendo Switch版が特に売れ行きが良いというのは確かなようだ。
マルチプラットフォームのインディーゲームにおいて、Nintendo Switch版が他機種よりも売れている例は、これまでにも数多くの開発者から報告されている。たとえば、DotEmu/Lizardcubeが手がけた『ワンダーボーイ ドラゴンの罠』では他機種の合計よりも売れ、Raw Fury/Art in Heartの『GoNNER』は、先行発売されたPC版よりも売れているという。また、『Dead Cells』の開発元Motion Twin自身も、今年8月にRedditにて実施したAMAにて、Nintendo Switch版は他機種よりもはるかに良い売れ行き(muuuch better)だと報告していた(ただし、早期アクセス販売を約1年間おこなっていたPC版は“別のレベル”だとも)。
調査会社NPDは今年8月、アメリカではNintendo Switchユーザーの約70パーセントが、PS4もしくはXbox Oneも所有しているという調査結果を明らかにしている(関連記事)。つまり、マルチプラットフォームタイトルであれば、どの機種でプレイするか選択できるユーザーが多いということ。そこで本作の場合は、Nintendo Switch版が積極的に選ばれ、上述の各ストアのランキングのような結果となったのだろう。インディーゲームのNintendo Switch版がより売れやすい理由としては、パブリッシャーのtinyBuildが弊誌に対して、新しいハードであることや、任天堂プラットフォームが抱える熱心なファンの存在、そして据置機としても携帯機としても遊べるハードの独自性を挙げていた(関連記事)。『Dead Cells』のNintendo Switch版も、こうした要素にうまく合致して売り上げを伸ばしたのかもしれない。
『Dead Cells』は、処刑され醜い細胞の塊となった主人公が、行き倒れた戦士の死体の身体を乗っ取り、牢獄や墓所、古城などを探索する2Dアクションゲームである。探索を通じてさまざまな武器やスキルを入手しながら、敵やボスと戦う。死ぬとすべての装備を失い最初からやり直しとなり、ステージ構成も自動生成により組み替えられるが、武器などのアンロック状況は受け継がれる仕組みだ。複数の攻略ルートがあり、また探索要素も多く、リプレイ性の高い作品である。日本語にも対応している(関連記事)。
本作の今後の計画については、開発元Motion TwinのゲームデザイナーSébastien Bénard氏が9月5日、YouTubeメディアThe Game Gurusのインタビューにて答えている。それによると、現在2つの無料アップデートを予定していて、ひとつはゲームバランスの調整に焦点を置き、もうひとつはストーリーを追加するものになるという。前者は今後1〜2か月の間に配信したいとのこと。また、Nintendo Switch版の携帯モードプレイ時に確認されているフレームレートの低下など、パフォーマンスの改善にも取り組んでいる。
https://www.youtube.com/watch?v=M_GHR-cg8RQ
ゲームバランスの調整については、アイテムのアンロック要素が例に挙げられている。本作では、武器などのアイテムはまず設計図を入手し、そして敵がドロップするセルを消費してアンロックすれば使用可能になる。ただし、アンロックしたアイテムはランダムでゲーム内に登場するため、気に入った武器を使いたいと思うと、ほかのアイテムはなるべくアンロックしない方が出現率が上がる。Bénard氏は、これは使い勝手の悪いアイテムが存在することがそもそもの問題だとし、プレイヤーがどんどんアンロックしたいと思えるようにアイテムの調整をおこなうと述べている。たとえば、まったく人気がなくBénard氏自身も気に入っていないという「前線の盾」は調整候補だそうだ。一方で、「スパルタのサンダル」のようなプレイヤーの中で賛否両論あるアイテムについては、使って楽しいものである限りはそのままにしておく方針だとのこと。
追加ストーリーについては、本作の舞台である島を治める王の死去を受ける形で、複数のボスを追加し、本作の世界で何が起こったのかを掘り下げる内容になるとのこと。これまでとはまた異なる環境のステージも2つ追加する予定だ。ひとつは、あるエリアから落下すると別のエリアへと繋がるようなオープンな環境になるそうで、探索のスタイルはこれまでとは異なるものになるという。そしてもうひとつは、今後さらに追加するかもしれないロケーションを示唆するような環境になるそうだ。こちらのアップデートは、2019年の早い時期の配信を予定している。
このほか、どちらのアップデートに含まれるのかは不明だが、8つの新たな武器やアイテムの追加も計画されている。射程が短いが連射できるマシンボウガンや、パワフルだがマナを消費する盾が挙げられている。また、ペットシステムの追加も検討しているとのこと。本作ではTwitch連携により、視聴者が鳥のキャラクターとなってプレイヤーと共に行動し、回復アイテムを使用させるか否かをコントロールできる。詳細は不明だが、これに似たシステムとなるのかもしれない。また前述のAMAにて開発元Motion Twinは、本作の売れ行きによっては無料アップデートだけでなく、有料DLCも将来配信できるかもしれないとしていた。今回Nintendo Switch版の好調が伝えられたことで、本作のコンテンツのさらなる発展に期待がかかる。