エミネム新アルバム収録曲は『キングダムハーツ』ではなく、「東京喰種」の曲をサンプリングしていた。ただし別の『KH』サンプリング曲が新たに公開

 

エミネムの新アルバム「Kamikaze」の収録曲「Good Guy」を共同プロデュースしたIlladaproducer氏は、Rolling Stone紙に対し、同曲は『キングダムハーツ』のテーマソングをサンプリングしたものだと語っていた(関連記事)。『キングダムハーツ』の原曲にフィルターをかけて、チョップ(サンプリング箇所をさらに分解して再構成すること)して、プロセシングをおこなったという。『キングダムハーツ』のテーマソングといえば、「Simple and Clean」。同曲のGenius.comの欄にもカバーされた曲として「Good Guy」が記載された(現在は訂正済み)ことから、 日本では「光」として発売された曲が、サンプリングされたものであると見られていた。

一方で、コミュニティではチョップしたとしてもあまりにも「Simple and Clean」からかけ離れているという指摘や、別のクレジットから同曲のサンプリングではないのではないかという議論が交わされつつあった。そして昨日9月4日、IGNなどに寄稿するJordan Oloman氏は、TwitterにてIlladaproducer氏に直接この疑問を問いかけた。この問いに対してIlladaproducer氏は、インタビューで話した内容は誤りであり、正しくはアニメ「東京喰種」で流れる「Glassy Sky」をサンプリングしたものであると訂正した。『キングダムハーツ』のテーマソングのサンプリングについては、別の曲と勘違いしていたと茶目っ気たっぷりに語った。

「Glassy Sky」は、やまだ豊氏が作曲し、ドナ・バーク氏が歌うアニメ2期で使われる挿入歌だ。「TVアニメ『東京喰種』ORIGINAL SOUNDTRACK」にも収録されているほか、iTunesなどで購入や試聴ができる。ピアノの旋律とバーク氏が響き渡る、儚くも美しい楽曲が「Good Guy」にてサンプリングされていたようだ。

※実はドナ・バーク氏はこっそり、弊誌のツイートに対し、自分の曲がサンプリングされたことを示唆していた。大変失礼いたしました。

なおIlladaproducer氏が「Glassy Sky」がサンプリング曲であると明かす前には、ファンの間では同じくアニメ「東京喰種」にて使用された、ルシュカ氏が歌う楽曲「Wanderers」がサンプリングされたのではないかとも噂されていたという(IGN)。最終的には「Glassy Sky」が該当曲であったが、「東京喰種」に使用される美しいBGMが改めて注目されることとなった。Illadaproducer氏は前出のインタビューにて、日本のアニメから影響を受けているとも言及していたが、それを裏付ける結果であるだろう。

こうして事実関係ははっきりしたわけだが、Illadaproducer氏が言及した『キングダムハーツ』をサンプリングした別の楽曲の存在については謎のまま。『キングダムハーツ』の曲が使われたとの報せを聞いたファンにとっては、少々落胆する結果であっただろう。こうした声を聞いたIlladaproducer氏は、『キングダムハーツ』のファンに向けた“贈り物”と称して、楽曲「Kingdom」を公開した。サンプリングとして「Simple and Clean」とはっきり記載されているこの曲は、原曲や宇多田ヒカル氏の声を感じさせる楽曲に仕上がっている。落胆した『キングダムハーツ』ファンに向けて、思わぬプレゼントが贈られた。

『キングダムハーツ』の曲をサンプリングした楽曲といえば、Marcus Dが「Kairi I」を使った「Starfruit」、Xavier Wulf が「Hollow Bastion」を使った「The Report」、Boobaが「Organization XIII」を使用した「Izi Monnaie」などを製作しており、ヒップホップ界で根強い人気がある。Illadaproducer氏の「Kingdom」を聞いて魅力を感じた方は、サンプリングの世界を探求してみるのもいいかもしれない。