ヨーロッパ35か国以上で流通するゲームのレーティング審査をおこなっている団体PEGI(Pan European Game Information)は8月30日、ゲーム内に含まれる表現・コンテンツを示すアイコンに「In-game purchases(ゲーム内課金)」を追加すると発表した。これにより、ゲーム内課金要素のあるゲームのパッケージには以下に掲載したアイコンが必ず印刷され、消費者がゲームを購入する際に事前に確認できるようになる。なお、ダウンロード専売のゲームについては、PEGIも加盟するIARCを通じて審査を受けた作品を対象に、すでにゲーム内課金要素の記述が実施されている(関連記事)。
今回、ゲーム内課金のコンテンツアイコンを追加した理由についてPEGIは、調査会社Ipsosが今年5月にイギリス・フランス・ドイツ・スペインで実施した消費者調査の結果について言及している。その調査結果によると、ゲームをプレイする親の4割が、自身の子供がゲーム内課金をおこなっていると回答。そして、その内60パーセントが購入前に承諾を得ることを求めており、31パーセントは1週間あるいは1か月に費やす金額の上限を取り決め、28パーセントはペアレンタルコントロールを使用している。そして、25パーセントがクレジットカードの利用状況を監視し、20パーセントはプリペイドカードを使用しているとのこと。一方、子供のゲーム内課金について関知していないと回答したのは、わずか2パーセントだった。
子供が親のクレジットカードを使って、親の知らないうちに何万円も課金していたといったニュースも時折聞くため、このように子供がおこなうゲーム内課金について注意を払っている親が多いのだろう。そこでPEGIは、コンテンツアイコンとしてゲームパッケージにて事前に確認できるようにしたという。またゲームに疎い親であっても、子供にゲームを買い与える際にこのコンテンツアイコンを確認すれば、子供がどのようにゲームに接しているか目を向けるきっかけになるだろうとしている。コンテンツアイコンは、基本的にゲームの対象年齢を決定した根拠を示しているが、こうした背景からゲーム内課金アイコンについては純粋に収録コンテンツの明示に利用されるようだ。またPEGIの公式サイトでは、ゲーム内課金とはどういうものかなどについての案内もおこなっている。
ゲームパッケージへの、ゲーム内課金の有無に関する表記については、主に北米で流通するゲームを審査しているレーティング団体ESRB(Entertainment Software Rating Board)が、今年2月から先行して導入している(関連記事)。こちらはアイコンではなく文字での表記だが目的は同じで、今回のPEGIの決定はESRBと歩調を合わせた形だ。ちなみに、日本のレーティング団体CERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)は、このようなコンテンツ表記は用意していない。
このゲーム内課金要素の明記に関連しては、ルートボックスについての対応もレーティング団体に求める声がかねてから一部に存在するが、これを見送ったのもESRBと同様の対応となった。ルートボックスについてはギャンブルか否かという議論もあり、その判断を下すのは各国の機関であるため、レーティング団体側の対応はそれを待ってからということになりそうだ。