暴れ狂う牛に8秒間乗り続けることができるか?「猛牛乗りのプロ」になる『8 to Glory』海外PS4/Xbox One向けに発売


スウェーデンに拠点を置くデベロッパーThree Gatesは7月31日、『8 to Glory – The Official Game of the PBR』を北米地域にて発売した。本作は、そのタイトルにあるとおりPBR(Professional Bull Riders)の公式ゲームで、PBRはロデオ競技の種目ブル・ライディング、いわゆる牛乗りのプロツアーを運営しているアメリカの団体である。アメリカのほかプラジルやオーストラリアなど主に畜産国出身のプロ・ブルライダーが参戦しており、日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、北米では非常に人気のあるスポーツのひとつだという。本作の対応プラットフォームはPS4/Xbox Oneで、日本から入手するには一手間かかるが、コンソール向けにブル・ライディングがゲーム化されるのは珍しいので紹介したい。

まずはPBRのブル・ライディングのルールを簡単に触れておこう。ブル・ライディングは採点競技で、ジャッジは数百キロもの巨体の猛牛と、それにまたがるブルライダーの両方を各50点満点で評価する。牛の方は、後ろ足を蹴り上げたり身体をひねったりなど、どれだけ激しく身体を動かしているか、つまりどれだけ乗りこなすことが難しい動きをしているかが評価される。一方のブルライダーは、その牛の動きに合わせていかに姿勢を安定させているかや、足を牛の身体から離すような技などが評価される。この2つの評価の合計がスコアとなる。

ただし、ブルライダーはスタートしてから8秒間牛の上に乗り続けなければならず、8秒未満で振り落とされてしまうと点数はつかない。たった8秒ではあるが、実際の競技映像を見ると、それがいかに大変なことかがうかがえる。ブル・ライディングで使用される牛はもともと気性が荒い血統であるうえ、腰に巻かれたフランク・ストラップと呼ばれる紐を嫌がってなおさら激しく後ろ足を蹴り上げる。ブルライダーはその激しい動きに耐えながらも、片手は牛の胴に巻かれたブルロープを掴み、もう一方の手は宙に掲げておかなければならない。ちなみに牛は選手の所有物ではなく、試合ごとにランダムに選手に割り当てられるという。

さてゲームの方であるが、本作にはPBRに参戦するトッププロ選手40名および、トップ猛牛30頭が実名で収録されている。ブル・ライディングでは牛も評価されるため、平均スコアなどでランキングされているようだ。選手と牛には、それぞれバランス・冷静さ・力強さのステータスが設定されている。ゲームモードは、PBRのシーズンイベントを再現するキャンペーンモードと、シンプルにブル・ライディングを1試合プレイできるアーケードモード、そしてどれだけ長い間牛に乗り続けていられるかを競う、ローカル2人対戦のバーサスモードがある。

試合では、まずゲートが開く前の待機場所にて、ブルロープを掴むグリップ力を決定する。これはゴルフゲームの要領で、動くラインがゲージの中央にきた時にボタンを押す形だ。これを3回おこない、うまくいかなかった場合は、スタートまでの残り時間が許す限りリトライできる。そしていざ競技がスタートすると、後ろ足を蹴り上げて暴れまわる牛に対処する。牛が足を蹴り上げるたびに、径が小さくなっていく光る細い輪と、帯状の輪が周囲に表示され、細い輪が帯状の輪の範囲内に入った際にボタンを押すと姿勢を保つことができる。また、牛が身体をひねるなどした際は、同じ方向にアナログスティックを入力。牛は激しく暴れまわるため、それぞれの入力はかなり忙しい。グリップ力を決める時と同じゲージ式のボタン入力が、この合間に求められる場合もある。

そして試合が進み8秒まで目前となった時に、牛の興奮度が最高潮に達して画面はスローに。ここでは、画面上から4つのボタン表示が降ってくるので、ガイドに合わせて対応するボタンを押すQTEをおこなう。それまでのライディングにより降ってくるボタンの数やその間隔が異なり、次々に連続して降ってくるとかなり難易度は高い。こうした操作でミスを重ねると落下して失格となり、逆に8秒間耐え続けると、それぞれの入力の正確さなどからスコアが算出される。

なお、キャンペーンモードではアメリカを横断するツアーをおこない、各都市で4ラウンド制の試合をする。各ラウンドでは異なる牛が割り当てられ、試合での成績に応じてシーズンランキングに反映されるほか、新たなプロ・ブルライダーのアンロックや賞金を獲得。賞金はブースターパックの購入に使用でき、ブルライダーのステータスを上げるハットやブルロープなどのアイテム、ライダーレベルを上げるカードが入手できる。重複したり不要なアイテムは売却も可能だ。そうしてブルライダーを強化して、シーズンチャンピオンを目指すのだ。

本作はUnityで開発されており、猛牛などのグラフィックはまずまずのクオリティである。PBRファンにとっては、公式大会の再現や、あのプロ・ブルライダーやあの牛が登場というあたりで盛り上がるのかもしれない。一方で、操作については牛を乗りこなしているという感覚はあまりなく、どちらかというと作業感が強い。もちろん、スポーツゲームにおいてゲームパッドに操作を置き換えるのは難しい作業であることは理解できるが、この点をファンはどう感じているのか興味深い。

とはいえ、日本ではメジャーとは言えないスポーツに触れることができるのがゲームの良いところ。たとえばハンドボールやクリケット、ペタンクなどもコンソール向けに発売されている。たいていは一部の国でしか発売されないため知る機会もあまりないが、試してみれば実際の競技への興味に繋がるきっかけになるだろう。