インディーデベロッパーHubblegumは7月26日、ハンドジェスチャーだけで意思疎通を図る左手シミュレーション兼アドベンチャーゲーム『Helping Hand』をリリースした。対応プラットフォームはWindows/Mac(Steam)で、販売価格は930円となっている(日本語非対応)。
本作の主人公は交通事故により左手以外の骨という骨が折れ、筋肉という筋肉に損傷を負った男性。顔面の筋肉も動かすことができず、唯一まともに使えるのは左手だけ。なんとかハンドジェスチャーを使ってコミュニケーションを取らねばならない。キーボードの1〜4で小指・薬指・中指・人差指、スペースバーで親指を動かして、ピースサイン、OKサイン、ホーンサイン(メロイック・サイン)、サムスダウン、もしくは中指を立て、周囲の人々に自分の意思を伝えるのだ。
物語冒頭、主人公は脇見運転をしている最中に前方から向かってきたトラックと衝突。内臓が飛び出るほどの大怪我を負い、救急車で集中治療室まで運ばれる。なんとか一命を取り留めたものの、先述したように動かせるのは左手だけ。看護師からは「こんな醜い生き物の相手なんてしたくない」と嫌われるし、母親はマニキュアを塗らなきゃいけないからと言ってなかなかお見舞いに来てくれない。入院中には魂の救済を謳う怪しい宗教団体に勧誘されるし、事故を起こしたトラックの運転手は事故の責任を主人公に押し付けようとしてくる。厄介ごとだらけだ。しかも全身を怪我した非力な主人公にとっては、ジェスチャーひとつが命取りとなりかねない。どんな合図を送るのか慎重に選んでいこう。
もちろん、ところかまわず中指を立てまくる挑発的な男としてロールプレイを試してみてもよい。現実世界での日々の生活においては、中指を立てたくてもなかなか立てられない、そんな鬱憤が溜まっている方もいるのではないだろうか。本作なら、好きなだけ中指を立てて鬱憤を晴らせる。ただし、牧師に中指を立てると「内なる悪魔を除霊せねばならない」という理由で殺されてしまうし、トラックの運転手を怒らせると息絶えるまでボコボコに殴られる。母親に歯向かうと医療費を払えず生命を維持できなくなる。命が惜しいのであれば、アナーキーな振る舞いはほどほどにとどめておいた方がよい。
『Helping Hand』の物語は、手ぶり手ぶりで意思を伝えていくことで分岐していく。交通事故について無実の主張が通らなければ刑務所に送られるし、話が噛み合わないジェスチャーを送り続けていると心神喪失により責任能力無しと見なされ精神病院に収容される。無実の主張が通れば、無事に普段の生活に戻れる。そしてこの社会復帰ルートに進んだ場合、主人公の正体が明かされる。人々に嫌われ法廷ではプッシー野郎と貶されるこの男は一体何者なのだろうか。気になった方は本作をチェックしてみよう。