サイバーパンク世界を歩くキツネアクション『The End』Steamにて発売。幼い子ギツネをくわえ、サイボーグの街から逃れる


フランスに拠点を置くインディースタジオMataは7月24日、『The End』をSteamにて発売した。価格は1010円で、8月1日までは20パーセントオフの808円で購入可能。以前弊誌でも紹介した本作は、サイバーパンク世界に生きるキツネが主人公のアクションゲームだ(関連記事)。

本作の舞台は、ネオン輝く猥雑な街。主人公のキツネは檻に閉じ込められていたが、女神稲荷の力によって解放される。この世界はサイボーグであふれており、生身の人間はもうほとんど存在しない。稲荷は、その最後の人間を探すために力を貸して欲しいとキツネの心に呼びかけ、この街から脱出して緑あふれる禁じられた地に向かうよう促す。

ゲームは、どこかの施設内の細い通路から始まる。薄暗く、所々に機械の配線やパイプが露出した、いかにもサイバーパンクらしい雰囲気である。ごく限られたエリアで、パズルを解いて次のエリアへの扉をアンロックし、さらに行動範囲を広げ進んでいくというのが本作の基本的な流れだ。ほかのエリアには、路地裏や地下鉄構内、トンネルなどがある。

マップ内には人型のサイボーグが敵として存在する。動きは遅いが視界に入ると追ってくるものや、一定範囲内に近づくと捕まえようと手を伸ばしてくるものなどさまざまおり、捕らえられるとミスとなって指定ポイントからやり直しになる。背後から足を狙って攻撃すれば怯ませることもできるが、成功率は高くなく無用に狙うものではないだろう。そのほか、警察のドローンが警戒に当たっているエリアもあり、追ってくることはないが、飛行経路の真下にいると捕まってしまう。ただし、“死んだふり”をすることでドローンをやり過ごすことが可能だ。3回ミスするとゲームオーバーになるが、小さな神社のような場所で寝ることでライフを回復できる。

本作のパズル要素には、こうしたサイボーグなどを利用しなければならないこともあり、たとえばスイッチを押させるためにサイボーグにあえて身を晒して誘導してきたり、あるいはサイボーグ自身が鍵となるアイテムを持っており、それを奪う必要があったり。シンプルながら頭を使う必要がある。

本作にはもうひとつ大事な要素がある。幼い子ギツネの存在だ。ゲームの序盤にて、生まれたばかりと思しき檻に入れられたキツネに遭遇し、こちらも稲荷によって解放される。この街にはネズミが多く生息しており、放っておけば格好の餌食となる。この世界では種としてのキツネも数少ないため、くわえて一緒に連れていくのだ。しかし、子ギツネをくわえたままの状態ではパズル用のアイテムをくわえて運ぶことはできないし、サイボーグへの攻撃もおこなえない。ゲームを進めるなかでは、子ギツネを一旦床に置いて行動しなければならない場面がやってくる。安全地帯などはなく、子ギツネがネズミに襲われると画面が白黒になるため、急いで助けに戻るのだ。子ギツネが殺されてしまうとゲームオーバーとなってしまう。

本作は、今年1月に実施したKickstarterキャンペーンにて資金を獲得して開発された。Unreal Engine 4を利用し、音楽を除きたった1人で制作したという。『Oni』や『HK project』、また「アキラ」「攻殻機動隊」「ブレードランナー」といった漫画・映像作品から影響を受けているそうで、サイバーパンクらしい環境の表現はなかなかクオリティである。一方で、キツネの操作性やアニメーションの繋がりはあまりスムーズとは言えず、サイボーグのアニメーションも単調で、もう少し作り込まれていればと感じさせる。本作はエピソード形式で提供される予定だそうなので、今後調整されていくことを期待したい