『レインボーシックス シージ』誹謗中傷・人種差別を行うユーザーに対し宣戦布告。突如BANされたユーザーたちから相次ぐ不平
Ubisoftは13日、タクティカルFPS『Tom Clancy’s Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)』のコミュニティにおける不正行為監視の一環として、テキストチャットにて誹謗中傷の言葉を使用したプレイヤーをBANするシステムを実装したことを、SNSなどを通し公表した。さらに、同作品に多く蔓延る誹謗中傷、人種差別的な発言は、チート行為には該当しないが、フェアプレイを大きく損なう行為として、コミュニティは全面的に取り締まる姿勢を改めて示した。この姿勢に対し、「自分はチートを使用していないから」と油断していたであろう、突如BANされたユーザー達の悲鳴がSNSを中心に相次ぎ物議を醸し出している。
Good.
— Rainbow Six Siege (@Rainbow6Game) July 13, 2018
無慈悲で容赦ないBAN
事の発端は、とあるユーザーがTwitter上で漏らした「おいふざけるな!人種差別的なテキストを送信しただけでBANされたぞ!」という内容の不平だった。この発言に対し、『レインボーシックス シージ』の公式アカウントから「Good」との短い返答が返っている。このユーザーを煽るような対応が火種となり、SNS上では、「非常に喜ばしい対応だ」「人種差別は悪でこれは公平な処罰だ」といった賞賛の声が相次ぐ中、突如BANされたユーザーからは「公式に発表していないことでBANすることはあまりに無慈悲ではないか」といった内容の書き込みも目立った。騒動の最中、同ゲーム公式アカウントは、BANを賞賛したユーザーに対し、「誹謗中傷、人種差別と戦い、ゲーム環境をより清く正しいものにする。これは私達にとって重要なことです」と返答している。
これまでUbisoftは、違法行為を行うアカウントに対し、常習有無に関わらず永久停止措置を処することを明確にしてきた(関連記事)。時を同じくして同社は今年4月、同ゲームにおけるプレイヤーの言動を管理する新たな規制プラン概要を公表しており、不正行為使用者だけが規約違反の対象ではないことを明確にしている。この概要によれば、「脅し、罵倒、卑猥下品かつ中傷的、人種差別、継続的なハラスメントと思われる言葉や内容」を含むテキストチャットを送ったユーザーを規約違反と皆し、処罰の対象にするとのこと。
Hello, you can find more information about this here > https://t.co/L4OZBWf3Od
— Rainbow Six Siege (@Rainbow6Game) July 13, 2018
今回、突如BANされ怒りを露わにした一部ユーザーの発言に対し、『レインボーシックス シージ』Twitter公式アカウントは、4月に公表した新たな規制プランを持ち出し、このBANはこれらの新しいプランの結果であることを伝え、さらにこれらの規制が正式に実装されたことを理解させるような内容であった。
公式ブログによれば、規約に反する言葉を使用したユーザーには、その内容、常習に応じてペナルティーが課せられるとのこと。初犯のユーザーには27分間、カスタムゲームを含め『レインボーシックス シージ』をプレイ不可となる。規約違反が2度を超えた場合は2時間、3度目を超えた場合は、公式の調査が開始される。プレイが禁止される期間は2日、7日、15日間にわたり、最悪の場合、永久追放もあり得るとのこと。また、「これらの処罰の手順は絶対ではない」としており、あまりに悪質なユーザーに対しては、警告なしに永久追放することも匂わせる内容であった。
オンライン対戦型ゲームにおいて、チーム内での粗暴な煽り合いや、故意のチームキルは後を絶たない。些細なことで怒りを露わにするプレイヤーや、暴言を吐き捨てるプレイヤーも少なくないのが現状だ。この違法行為、誹謗中傷に対し容赦ない措置を施してきた、チーム対戦型FPS『Overwatch』などで有名なBlizzard Entertainmentは、「Play Nice Play Fair」といったフェアプレイを企業理念に置いている。その理念に反するユーザーに対し、容赦ないBANを行う姿勢を保ち続け、コミュニティの秩序を守ってきた。同じくコミュニティ運営において、フェアプレイの理念を全面に掲げるUbisoftは、違法行為を行うユーザーに対し、永久追放に処するという対応方針を徹底してきた。
不正行為や誹謗中傷といったモラルの持たない行為は、ゲームのプレイヤーのプレイ意欲を削ぐ側面もある。またそうしたユーザーを徹底的に取り締まろうとする企業の姿勢には、反発を物申すユーザーも少なくない。今回の騒動に関しても、SNS上では「禁止の対象となるワードを公開していないのに、BANを行うことはおかしい。私は今回BANの対象となったワードは人種差別ではないと思う」との発言も散見される。その発言に対し、「彼らは自由に規制をすることができる。あなたがゲームを作ってるんですか?」との発言を投げかけたユーザーもいた。
プレイヤーは普段何気なくゲームを遊んでいるが、それは制作会社の方針に必然的に同意をしていることとなる。公式の方針として、誹謗中傷、人種差別的な発言を規制することを明確にしている以上、どのような理不尽と思える処罰を受け、それを抗議したとしても、処罰に対する免罪符にはならないのかもしれない。コミュニティから違法行為や暴言がなくなる訳ではないにしても、このような徹底されたフェアプレイ方針に対し、ユーザーがコミュニティの発展を促すと共に、静かにその行く末を見守りたい。