『スーパーマリオ64』スター0枚クリアの最速記録が約3年ぶり更新、6分41秒に。ミスなく“ケツワープ”を繰り出し続け頂点に

 
Image Credit : Drozdowsky

『スーパーマリオ64』のスター0枚クリア(any%=クリア率を問わない)の最速記録が3秒更新された。Twin Galaxiesなどが報じている。更新者はDrozdowsky氏で、タイムは6分41秒760。これまでの最速記録はアキラ(Akira)氏が2015年8月に叩き出した6分44秒230であり、約3年ぶりに3秒タイムが早まったことになる。ゲームとしては、NTSCとPALの違いによるテキストの表示速度の関係で、日本語版が使用されているとのこと。

『スーパーマリオ64』のany%は、いわゆる制限なしのプレイとなる。ジュゲムを避けて城に入ったのち、ありとあらゆる手段を使い天空で待ち受けるクッパの最速討伐を目指す。特に重要になるのは“ケツワープ”ことBackwards Long Jump(BLJ)だ。幅跳びを重ねられる階段などで後ろ方向へ幅跳びを使い、高速で壁抜けなどをして豪快にワープするというテクニック。このBLJをさまざまな場所で駆使してクッパのもとへたどり着くのだ。

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any%においては、ルートの研究が長年重ねられていることもあり、道順などは定まっており、ここ数年で劇的なショートカットなどが見つかったわけではない。にも関わらずDrozdowsky氏が世界記録を更新できたのは、難易度の高いテクニックをほぼミスなくこなしたことと関係している。数々のシチュエーションにて、幾度となくBLJ(ケツワープ)を正確に繰り出すことも難易度が高いが、世界記録の壁をしばしば阻むのはDDDskipだ。DDDとは、ワールド「ウォーターランド」の英語名のDire, Dire Docksの略語にあたる。通常のプレイでは、まず「ウォーターランド」をクリアしてからでないと「ほのおのうみのクッパ」へたどり着けない。

しかし、手前の小さな階段にてBLJ(SBLJ)を繰り出し勢いをつけ、そのまま幅跳びを重ねることで「ウォーターランド」をクリアせず、ほのおのうみへと突入できる。速度や乱数などさまざまな要素が絡んでおり、極めて難易度の高いテクニックだ。これを見事短時間で成功させたことにより素早いクリアが実現できたのだ(アキラ氏も同様に成功させている)。Tool-Assisted Speedrun(TAS)の場合でも、このテクニックを成功させる上では予習が必須な上に難易度が高いと表現すれば、その難しさがわかるだろう。つまり、高い難易度を求められる一連のルートを正確に辿ったことが、更新へとつながったようだ。

*YouTube版

この様子はTwitchにて配信されており、DDDskipを成功させた後熱気が高まっていく。「てんくうのたたかい」のクッパにたどり着く直前で一度ミスを見せたものの、緊張感とテンションを高めたままクッパを撃破。Drozdowsky氏は何度も何度も喜びをあげながら、「夢を見ているようだ」と興奮冷め止まない様子を見せる。3年間変わらなかったページに新たな記録が刻まれたと考えられると、大きな意味を持つ3秒だろう。

『スーパーマリオ64』は、RTA(スピードラン)では非常に多くのレギュレーションが存在するほか、Aボタンを押す回数を最小でクリアするといった研究も進んでおり、多くのスピードランナーやスーパープレイヤーから未だに親しまれる作品だ。Twin Galaxiesは、新たなルートが開拓されない限り記録は更新されないだろうと分析しているが、何が起こるかわからないのもRTAの世界。研究され尽くした『スーパーマリオ64』が、今後どこまでさらに研究されるかが楽しみだ。