マイクロソフトが「AIによる機械学習を用いたチート検出技術」の特許をアメリカで出願。行動パターンを監視しあぶり出し狙う
マルチプレイゲームの増加に比例して、チート行為が蔓延しつつある。後を絶たないゲームでのチート行為に対して、ゲームメーカー各社はさまざまな対策を講じている。そんな中、マイクロソフトが「DETECTING CHEATING IN GAMES WITH MACHINE LEARNING」と名付けられた、AIによる機械学習を利用したチート検出技術の特許をアメリカで出願していたことが明らかになった。海外メディアDigital Trendsなどが報じている。
今回の特許出願書類にてマイクロソフトは、まずオンラインゲームの普及が世界規模で広まっている状況や、オンラインゲームにおいては、特定の目標を達成することで何らかのアイテムを獲得できたり、ランキングに反映されたりなど、プレイヤーのモチベーションを高める要素が存在することを説明。しかし、プレイヤーの中には実際のゲームプレイではなく、ゲームをハックするなどのチート行為によってステータスを高め、不正にアイテムなどを得ている状況があると述べる。
こうしたチート行為に対しては、それを検出するメカニズムをゲーム側に導入する対策がとられることがある。しかし、たとえばXbox Liveの実績はゲームプラットフォーム側がゲームおよびプレイヤーに提供している機能だが、プラットフォームに関与しない「ゲーム内」で完結するチート対策の場合、不正な形で実績が解除されたとしても、プラットフォーム側はそれがチートであるかどうかは知る由もない。実績解除がアイテム獲得などに結びついている場合もあるため、マイクロソフトはゲームプラットフォーム側も関与するチート対策を考案したというわけだ。
この仕組みの基本的な考えは、オンラインゲーム側とプラットフォーム側とでやり取りされるさまざまな情報をもとに、AIに学習させてチート行為を検出することにある。情報とは、たとえば目標を達成した際の通知であったり、プラットフォーム側に送信されるゲーム内での獲得スコア、あるいはゲームのプレイ状況をもとにしたプラットフォーム側が提供するプレイヤーランク機能や、前述したアイテムの獲得状況など。AIはこうした情報を学習し、それぞれのプレイヤーについて通常のパターンであるのか、そうではないのかを監視。異常であるとタグ付けされたプレイヤーに関しては、さらなる分析がおこなわれてチーターかどうかの判断がなされる。ゲームをハックするチート行為を直接検出する技術ではないが、結果的にそういったプレイヤーをあぶり出すことができるということなのだろう。
AIが学習する情報について、スコアを例にもう少し詳しく見てみよう。プラットフォーム側はプレイヤーごとのさまざまなスコア情報を保持しており、たとえばトータルスコアや一定期間内に獲得したスコア、個別のゲームでのハイスコアや1試合で倒した人数、あるいはオンラインコミュニティに参加するなどのアクティビティに関連して提供されるポイントなどがある。こういった情報は、プラットフォーム側と各オンラインゲーム側とで日々大量にやり取りされるため、手作業で分類するのは現実的ではなく、AIに向いた作業だといえる。
AIの機械学習を用いたチート対策は、たとえばValveが熟練のプレイヤーとチーターの違いを検出するために、同社のAnti-Cheat Systemに導入していることを明らかにしている(関連記事)。今回マイクロソフトが出願した特許はまだ登録されておらず、また登録されたとしても実際に運用するのかどうかはまだ分からない。ただ同社は、プラットフォームホルダーとしてXbox OneやWindows 10でXbox Liveを運営している同社としては、こうした対策も求められるところだろう。