インディースタジオMega Crit Gamesは6月29日、Steam向け『Slay the Spire』のプレイヤー数が100万人を突破したと発表した。100万「プレイヤー」とされているように、厳密には売上が100万本というわけではないようだが、4月時点では77万人を超える所有者がいたことを考えると(SteamDB)、このプレイヤー数は売上本数にかなり近いと考えてよさそうだ。
『Slay the Spire』は2017年11月よりSteamにて配信されているローグライクRPGだ(公式は、カードとローグライクの融合と紹介している)。昨年12月より日本語に試験的に対応しており、丁寧な日本語で同作を遊ぶことができる。プレイヤーは、自動生成されるダンジョンに潜り、カードを集めて敵を倒していくのだが、基本的にダンジョン探索はランダムに生まれた道をたどるのみ(分岐あり)。イベントマスにたどり着けばランダムイベントが発生したり、商人との買い物や休息をするといったシーンも出てくるものの、プレイの時間のほとんどを戦闘に費やすことになる。
戦闘はというと、手持ちのデッキからカードを複数枚ドローし、与えられたエネルギーを消費して戦うカードバトルだ。類似ゲームとしては、ボードゲーム「ドミニオン」に共通する点が多いと言われており、同作をプレイされた方はそちらを想像するといいだろう。ルール自体はカードゲームとしてオーソドックスなもので、自分のターンと相手のターン交互に行動を選択し、カードを組み合わせて敵のHPを削きりきることを目指す。敵を倒せば新たなカードやレリック、ポーションなどを入手することができ、プレイヤーを強化できる。ダンジョンの奥深くへ進みながら、自分だけのオリジナルのデッキや戦略を練り上げるのだ。
『Slay the Spire』の魅力は、わかりやすさと奥深さを両立するゲーム性だろう。システム自体は比較的シンプルだが、状態異常やステータス変化の種類が豊富で、戦略性に富んでいる。一方、本作はUIが直感的であることに加えて、マウスを該当箇所に当てると現在のステータスやその効果、敵の次の行動が何かを日本語で丁寧に説明してくれる。また、次にドローするカードについても可視できる。わかりやすいつくりが心がけられており、ストレスなく遊べるわけだ。
一方で、デッキ作りを中心とした戦闘における奥深さも両存している。戦い方は、選ぶ初期キャラクターによって大きく変化する。そこからどのようなカードやレリックを取得するかはプレイヤー次第。いらないカードを一度入手してしまうと、そう簡単に捨てることもできない。取得できるカードは基本的に複数から選ぶことができるので、柔軟にデッキを作り上げていく必要があるわけだ。そこにイベントや敵のドロップといった、ランダム性が絡んでくる。わかりやすさについて十分配慮しつつ、運とデッキ構築(戦略性)の両方を求める奥深い作品となっている。プレイをしていれば、気がつけばあっという間に時間が経過しているだろう。
早期アクセス版配信以来、このゲーム性が人気を呼んでおり、Steamストアのステータスは「圧倒的好評」となっている。Steamのプレイヤー数ランキングの常連にもなりつつあり、たとえば7月1日時点では、シングルプレイのインディー作品ながら『The Forest』や『War Thunder』と並ぶプレイヤー数を誇る。近年における新規のインディータイトルとしては、ホットなタイトルのひとつといえる。100万人というマイルストーンの到達は、人気の現れだろう。
なお、先日のアップデートでは「ノーマル」「デイリー」に次ぐ「カスタム」モードが実装された。デイリーをクリアした経験のある上級者たちは、よりユニークな設定でゲームをプレイできる。ウィークリーアップデートにも力を入れており、毎週新たなコンテンツが追加される。現在Steamサマーセール期間中ということもあり、37%オフの995円で販売中。早期アクセスは佳境に差しかかっており、早期アクセス終了後は定価の値上げが予定されている。同作を購入するに絶好の機会なので、手を出してみてはいかがだろうか。