地獄を彷徨う一人称視点ホラー『Agony』無規制版の開発が中止に。リリースから1か月、開発スタジオが財政難に陥る

Madmind Studioは6月26日、『Agony』の無規制版にあたる『Agony Unrated』の開発を中止したことを発表した。『Agony』は亡者や悪魔に憑依しながら地獄を彷徨う一人称視点のサバイバル・ホラーゲーム。5月29日に日本語字幕/インターフェイス対応のPC、および海外PlayStation 4/Xbox One向けに配信された（関連記事）。

発売前から残虐な暴力・性的描写に期待が集まっていた本作。これまでの経緯を振り返ると、まず発売前の5月、レーティング審査による成人指定を避けるためゲーム内の一部表現を緩和することを発表。代わりに規制を解除する任意パッチを配布する予定であったが、法的理由により規制解除パッチの配布が取り止めになった旨が発売直前にアナウンスされた（関連記事）。

※5月29日に公開されたローンチトレイラー

代替案として、発売後の5月31日に規制されたシーンを収録した動画を公開。公式動画は現在削除されているものの、開発陣は「“agony deleted scenes”でググってね」とコメントを残している。規制対象となったのは、7種類あるエンディングのうち2種類、ゲームクリア後にアンロックされるサキュバスモードの数シーンなどで、いずれもエログロ表現満載の映像となっている。

その後、Madmind Studioは6月7日に『Agony』の無規制版『Agony Unrated』を発表。『Agony』のパブリッシャーを担当していたPlayWayではなく、Madmind Studioのセルフパブリッシュ作品として3か月後を目処に配信される予定であった。『Agony Unrated』には規制されたシーンだけでなく、よりエロチックなキャラクターアニメーション、高解像度の無規制テキスチャー・モデリングなどが盛り込まれるということでファンから期待されていた。しかしながら『Agony Unrated』の開発は中止に。今回の発表によると、現在スタジオは財政難に陥っており、技術的・法的理由から『Agony Unrated』を断念せざるを得なくなったという。

「ゲーム市場もっとも恐ろしい地獄」を目指した『Agony』は、その表現・雰囲気以外のゲームプレイ部分が酷評され、レビュー集積サイトMetacriticではメタスコア45/100点、ユーザースコア4.5/10点と振るわぬ結果を残している。リリース後には敵の数を減らしたり、パズルを簡単にしたりとプレイヤーにストレスを感じさせないようなバランス調整が続いたが、Steamのユーザーレビューも賛否両論のまま。財政難と語っているように、セールスが思うように伸びなかったのだろう。なお『Agony』の今後については、開発チームの一部が『Agony』のサポートを続けると説明している。