『Death Stranding』解読班が「E3 2018」トレイラーに登場する謎の女性のネックレスに注目。とあるミュージックビデオにたどり着く
新しいトレイラーが公開されるたびに謎が増えていく『Death Stranding(デス・ストランディング)』。ファンにとっては考察する楽しみが増えるということでもあり、新情報の公開後は毎回コミュニティが盛り上がりを見せる。そして現在話題となっているのが、E3 2018で公開された8分超の最新トレイラーである(関連記事)。ノーマン・リーダス扮する主人公サム・ブリッジズが2人のヒロインキャラクターと交流するシーンが印象的だ。トレイラーから少しでも多くの情報を引き出したい方には、ルビ振りのある日本語字幕トレイラーの視聴をオススメしたい。
コミュニティが注目しているのは、トレイラーの最後に登場した女優リンゼイ・ワグナー扮するキャラクターである。特殊な形状をした彼女のネックレスは目を引くものであり、何か物語のヒントが隠されているだろうとの推測が始まった。トレイラーに登場する彼女のネックレスと、公式ポスターに写る彼女のネックレスが鏡映しになっているというのも気になるところ。なお過去のトレイラーでは、主人公サム(ノーマン・リーダス)が首にかけているドッグタグがファンの考察材料となった。謎の女性に関しても、装飾品に何か意味が込められているだろうと推理しているわけだ。
まずredditコミュニティでは、彼女のネックレスがキープ(Quipu)と呼ばれるインカ帝国で使われていた記号の記述方法をモチーフとしているとの説が持ち出された(reddit)。紐の結び目の形で数を示す結縄文字である。実は小島秀夫監督自身、2017年10月に国立科学博物館の「古代アンデス文明展」の展示を鑑賞した際、キープについて「インカのキープもあった」とピンポイントで言及している。
「古代アンデス文明展」に行った。ラッキーなことにかなり空いてたので、久々にゆっくりと張り付きで観ることが出来て嬉しい。インカのキープもあった。 pic.twitter.com/eyydwprvJ0
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) November 25, 2017
コジマプロダクションは予てから『Death Stranding』は「棒と縄」がキーワードとなり、棒ではなく縄を使って人や世界とどう繋がるかを、みんなで遊びながら考えるゲームであると説明してきた。ゆえにリンゼイ・ワグナー女史のネックレスもまた、結縄文字という縄を使って作品そのものと作品のファンを接続する道具なのかもしれないのだ。ただ、仮にネックレスが結縄文字だとして、それが何を意味しているのか解読するには至っていない。
(11)棒と縄がキーワードです。新作でも棒は使います。でもそれだけじゃないんです。縄を使って人や世界とどうつながるか。棒だけじゃなく、縄で何ができるのか。それをみんなで遊びながら考えるゲームになります。
— KOJIMA PRODUCTIONS (@KojiPro2015) June 16, 2016
一方、ネックレスを文字ではなくオルゴールの譜面に見立てるファンも現れた。TwitterユーザーNik Ambors氏は、それがバンド「Low Roar」の「Give Me An Answer」という曲のコーラスと一致すると主張している。「Low Roar」は、2016年に公開された『Death Stranding』のお披露目トレイラーにて楽曲が使用されたアイスランドのバンドである。このAmbors氏の発見は、海外メディアのPolygon、IGN、Nerdistなどに取り上げられている。
https://twitter.com/NikolsaNNN/status/1006932950817091585
しかし、ネックレスの形状をオルゴールの譜面とみなした場合、本当に「Give Me An Answer」のメロディと一致するのだろうか。Nik Ambors氏は証拠として音声動画をアップロードしたが、2つの音色を同じメロディとみなすには無理があるという声も多い(reddit)。判断するには実際に聴き比べてもらうしかないだろう(サビは0分58秒から)。
https://twitter.com/NikolsaNNN/status/1007025294040076288
※譜面の再現はこちらのTwitchユーザーXeptixの動画でも同様のものが確認できる。
『Death Stranding』のトレイラーで提示されたヒントらしきものが、すでに同作と関わりのある「Low Roar」の楽曲に繋がっているというのはもっともらしい説である。だがNik Ambors氏の解釈が正しいかどうかは、音源を聴く限りでは明白ではない。まだまだ議論の余地があるだろう。
なお、だからといって2017年7月に公開された「Give Me An Answer」のミュージックビデオが『Death Stranding』と無縁かというと、そうではない。ミュージックビデオのディレクターを務めたDylan Marko Bell氏は当時のインタビューにて、撮影にあたり『Death Stranding』から強く影響を受けたと語っている。「『Death Stranding』が発売される前に、同作のファンが物理的にゲームの中に入り込めるような世界を作れたら面白いだろうなと思ったんだ」(Paper Mag)。こうしたBell氏の発言もあって『Death Stranding』のredditコミュニティでは、当時から「Give Me An Answer」はちょっとした話題になっていた。
「Give Me An Answer」のミュージックビデオは、『Death Stranding』のトレイラーのように一度見ただけでは内容が理解できない奇妙な構成となっている。また無数の黒いコードが伸びたデバイスや、黒い泥のような液体に身が包まれていくシーンなど、類似点がいくつか確認できる。肝心のネックレスの謎についてはまだ明確な答えが出ていないが、これを機に『Death Stranding』から影響を受けたという「Give Me An Answer」のミュージックビデオをチェックしてみるのもよいだろう。そこから新たな発見が生まれるかもしれない。