溶岩に覆われた世界から脱出するアクション『Hot Lava』有料オープンベータ版配信開始。『Don’t Starve』などで知られるKleiの最新作

ゲームパブリッシャーKlei Entertainmentは、最新作『Hot Lava』のオープンベータPublic Test BranchをSteamにて開始した。『Hot Lava』は「幼少期の妄想の具現化」をコンセプトにした一人称視点のアクションゲーム。「もし床が溶岩だったら?」という子供の妄想をビジュアル化した作品だ。

カナダのゲームパブリッシャーKlei Entertainmentは、最新作『Hot Lava』のオープンベータPublic Test BranchをSteamにて開始した。Klei Entertainmentは『Don’t Starve』や『Mark of the Ninja』、『Invisible, Inc.』などゲームを開発・発売で知られるインディーゲーム会社だ。ゲームは1010円で販売中(2つのキーを同梱)。購入し、特定の手順を踏むことでゲームがプレイできる。早期アクセスでも無料ベータでもない馴染みのない販売形態だが、これについては後述する。

オープンベータへの参加方法だが、やや手順が複雑だ。まずはSteamのライブラリから『Hot Lava』を見つけて右クリックし、プロパティを開く必要がある。次にプロパティのウィンドウ上にある「ベータ」タブを開いて「プライベートベータをアンロックするためにベータアクセスコードを入力」の欄に、コード「participationaward」を入力。「コードを確認」をクリックしたのち、最後に「参加希望のベータを選択してください」から「public_test_branch – Public Test Branch」を選択する。選択後は自動的にSteamで新たなコンテンツのダウンロード、インストールが開始される。

『Hot Lava』は「幼少期の妄想の具現化」をコンセプトにした一人称視点のアクションゲーム。「もし床が溶岩だったら?」という子供の妄想をビジュアル化し、溶岩の上に点在する足場をジャンプしながらステージクリアを目指すゲームだ。ステージには体育館や会社のオフィス、自宅の子供部屋などがあり、開発が進むにつれて随時追加されていく予定とのこと。スピード感あふれるパルクール・アクションが売りなだけに一見すると『Mirror’s Edge』風に見えるが、筆者がプレイした印象では(マウス&キーボードでの操作のせいかもしれないが)『Portal』や『Half-Life』で不安定な足場をジャンプしていく感覚に近いと感じられた。

Kleiらしい情け容赦ないゲームになっており、足を踏み外せば即死となる。しかし瞬時に直前の場所からプレイ再開できるため、ストレスはまったく感じられない。スピードランに挑戦するためには正確な操作も欠かせないが、足場の高さや、足場と足場の距離を常に意識する必要がある。攻略ルートは必ずしも一通りではないようなので、何度もトライする価値があるだろう。パルクール・アクションを採用した一人称視点のゲームはしばしば登場するが、本作ではマウス操作が鍵を握る点が特徴となっている。

邪魔な壁や柱を回り込む際に、マウスをぐるっと回すアクションが必要になったり、着地点に常にカーソルを合わせておかないと足場を踏み外してしまうのだ。マウス操作に慣れるまでは、文字通り手に汗握る緊張感がある。もちろん壁を走ったり、雲梯を飛び回る『プリンス・オブ・ペルシャ』の時代からおなじみのアクションも用意されている。イメージどおりにジャンプして進めた時には爽快感があり、ゲームのコンセプトさながらに童心に帰って遊ぶことができる。まだ序盤をプレイしただけであるが、既存ジャンルに独自の捻りをくわえながら、高い評価を受けてきたKlei Entertainmentだけに、正式リリース時にはより洗練されたゲームになっていることが期待される。

じつは筆者が評論をやや控えているのには理由がある。Klei Entertainmentが今回のオープンベータについて次のように語っているからだ。

「私たちはまだ早期アクセスの激しい洗礼に対して十分な準備ができていません。ゲームが早期アクセスになるとキュレーターやレビュー、バナー・ローテーションや売り上げ上位リストなど、Steamエコシステムの一部に組み込まれてしまいます。私たちが早期アクセスへの準備が整うまでは、目立たないようにしていたいのです」(Open Beta Begins Today!より)

Klei EntertainmentはSteamのストアページ上でも、本作があくまでオープンベータであり完全ではないことを強調しており「現状のゲームでも待ち遠しくて仕方がないというのでなければ、ゲームがどのように完成していくのか待つべきです」と警告している。E3 2018におけるBethesda Game StudiosのTodd Howard氏の言葉を借りれば「(ことベータテストにおいては)オンラインゲームでは、常にバグや問題が発生するもの」ということだ。

事実、筆者のプレイ中にもフリーズする不具合があったことを付記しておく。Klei Entertainmentは今回のベータテストに関して、「ゲームを売りたいのは山々だが、ゲームが不完全な状態でレビューを書かれたり話題になるのは避けたい」というジレンマを赤裸々に語っており、早期アクセスという仕組みについてデベロッパーが神経質になっていることがうかがえる。なおKlei Entertainmentは、今回のリリース方法は過去作の『Don’t Starve』や『Invisible, Inc.』、『Oxygen Not Included』でのやり方と同じもので、特別なものではないとしている。

また、「オープンベータ=無料ベータテスト」であると一部で混乱を招いた、オープンベータの定義について、

クローズドベータ:招待のみ。(開催)時間にサインアップしない限りプレイすることは出来なかった。
オープンベータ:すべての人がゲームを購入し、プレイすることができる。

と説明している。「一部のゲームにおいて公開前にサーバーテストのため無料のオープンベータを行っていることは知っている」としたものの、今回はそういった趣旨のテストではないと理解を求めている。(Note about “Open Beta“)

本作はKlei Entertainment初の本格的3Dアクションタイトルとなるが、ゲームのオープニングでは「80年代のUSAっぽさ全開」のアニメーションが楽しめたり、Kleiらしさはそこかしこに散りばめられている。オープンベータを経て、どのようなゲームに仕上がるか楽しみに待ちたい。なお、ゲームは正式リリース時には12.99ドルとなる予定だが、現在は9.99ドル(1010円)で販売中。正式リリース日は未定。現在のところ日本語には未対応となっている。また記事執筆現在、SteamではKlei Entertainmentの過去作を対象にした週末セール「Klei WEEKEND DEAL」も行われている。

Masahiro Yonehara
Masahiro Yonehara

ゲーム世界の散策とスクリーンショット撮影を趣味にしています。コア、カジュアルを問わず、ハードルが低く奥が深いゲームに惹かれます。

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