『Battlefield V』公式発表トレイラーをめぐる不評にEAがコメント。「歴史修正主義的な意図はない」
Electronic Artsと傘下のDICEが手がける『Battlefield V』について、5月24日に公開された公式発表トレイラーには、多くの不評が集まっていることを先日お伝えした(関連記事)。このトレイラーに投じられる評価数はその後も増え続けているものの、全体に占める不評の割合はほぼ変わらず、およそ半数のまま推移している状況だ。この不評の背景には、本作が第二次世界大戦をテーマとしているにもかかわらず、その時代にそぐわない表現が描かれているということがある。こうした意見に対して、EAやDICE関係者がコメントしている。
不評を買った要素はさまざまあるものの、象徴的なのは、このトレイラーに登場する女性兵士の存在だ。第二次世界大戦当時、国によっては女性兵士が戦場に赴くということは実際にあった。ただ、この映像では女性兵士はイギリス軍に所属しており、かつ最前線に出ている描写は史実に反しているというのが不満を示すファンの主張である。また、この女性兵士は左腕を失い義手をしている。この義手自体は、当時実際に使われていたものをイメージしているようだが(Reddit)、このような負傷あるいは障害を持つ人物が前線に送り込まれるということも奇妙だとしている。同じ分隊のほかのキャラクターについても、それぞれ個性的な出で立ちであることがトレイラーにて確認できる。
DICEは本作について「これまでにない没入感の第二次世界大戦」だとコメントしたこともあり、トレイラーでのこういった表現が際立ってしまい、期待していた一部ファンの目についたのだろう。また、近年はポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的な公正さや中立性)があらゆる分野において重視されることから、批判するファンの一部には、歴史を歪めてでもそれに配慮したのではないかという疑念が根底にあるようだ。
We treat history with great respect, as we did before with Battlefield 1942 and Battlefield 1. With that, we also wanted to empower player choice, diversity and inclusion, so our players can fully customize the way that they want their soldiers look and play.
— Battlefield (@Battlefield) May 23, 2018
こうした批判の声に対して、EAは『バトルフィールド』公式Twitterアカウントにてコメントした。同社はまず、『バトルフィールド 1942』や『バトルフィールド 1』で見られるように、歴史については大きなリスペクトを持って取り扱っていると述べる。そのうえで、本作ではプレイヤーは使用キャラクターの見た目やプレイスタイルを自由にカスタマイズ可能で、そのための選択肢や多様性、受容性をゲームに取り入れたという。そのカスタマイズオプションは、体形や性別、フェイスペイントなど多岐にわたるとのこと。公式発表トレイラーは、第二次世界大戦をどれだけリアルに再現したかではなく、あくまでこういった新要素を紹介することに主眼を置いていたようだ。
DICEのゼネラルマネージャーOskar Gabrielson氏もTwitterにて、同スタジオには多様性や受容性のあるゲームを開発するためにベストを尽くす責任があるとし、プレイヤーには女性キャラクターを含む選択肢を提供するとコメント。また『Battlefield V』では、人類史におけるもっとも素晴らしいドラマを形作った人々を描きたいとし、そしてなにより楽しいゲームにしなければならないと述べる。
The Battlefield sandbox has always been about playing the way you want. Like attempting to fit three players on a galloping horse, with flamethrowers. With BFV you also get the chance to play as who you want. This is #everyonesbattlefield. pic.twitter.com/jZkzSRjIwL
— Oskar Gabrielson (@ogabrielson) May 25, 2018
*Gabrielson氏は『バトルフィールド 1』での一コマを引用し、同シリーズはいつも自由なサンドボックスで、『Battlefield V』でも同様だとコメント。この映像は、本件を巡って批判する人たちが高く評価する『バトルフィールド 1』でさえ“ありえない”描写は存在するとして、痛快な皮肉だと広く共有されていた。
批判の声はDICEのエグゼクティブ・プロデューサーAleksander Grøndal氏のTwitterアカウントにも届けられており、同氏はいくつかコメントを返している。Grøndal氏は、DICEはリアルであることよりも楽しさを常に優先しているとし、『バトルフィールド』シリーズはエンターテイメント作品であることを強調。そして先に挙げた歴史の扱いに関連しては、宣伝文句でファンに誤解を与えるつもりはなく、修正主義的な意見を持っているわけでもないと説明している。また、今回のトレイラーで見せたのは『Battlefield V』全体からするとほんの一部分で、近く披露するゲームプレイを見て判断してほしいと述べている。
First, let me be clear about one thing. Player choice and female playable characters are here to stay. pic.twitter.com/fvi9riUZDM
— Oskar Gabrielson (@ogabrielson) May 25, 2018
『バトルフィールド』シリーズなどのようなタイトルのお披露目には、キャンペーンモードはそのゲームの“顔”として欠かせない存在だった。しかし、今回の初披露に選ばれたのは分隊でのマルチプレイをイメージしたトレイラーである。キャンペーンモードをプレイし、クリアするユーザーの割合は必ずしも多くはないという現状を受けて、ライブサービスとしてより長く多くのユーザーと付き合うことになるマルチプレイを選択したのか、あるいは別の狙いがあったのだろうか。
いずれにせよGrøndal氏の言葉からは、近日公開されるというゲームプレイ映像への自信がうかがえる。また、来月開催されるE3 2018の直前のイベントEA PLAYでは、本作のマルチプレイに関してさらなる詳細が届けられるという。本作の発売を迎える頃には、いま巻き起こっている批判は過去のものとなっているだろうか。『Battlefield V』は、PC/PlayStation 4/Xbox One向けに10月19日発売予定だ。