『Battlefield V』公式発表トレイラーに多くの不評が投じられる。前線で活躍する女性兵士の存在に「これは第二次世界大戦ではない」

Electronic Artsは本日5月24日、『Battlefield V』の初公開イベントを実施し、公式発表トレイラーを披露した。迫力のある映像表現が詰まったトレイラーであるが、『Battlefield V』の舞台になる第二次世界大戦というテーマにおいて「史実に基づいているか」という観点で見ると芳しくない評価が下されている。

Electronic Artsは本日5月24日、『Battlefield V』の初公開イベントを実施。シリーズの起源である第二次世界大戦に回帰することや、ゲームモードなどゲームの概要を伝えると共に、公式発表トレイラーを披露した。その映像は、開発元DICEのゲームエンジンFrostbiteによって構築された迫力ある戦闘が描かれているが、どうも一部ファンの反応が芳しくない。YouTubeに投稿されたトレイラーには、本稿執筆時点で25万件以上の評価が投じられ、その内の半数近くが不評としている状況だ。

YouTubeのコメント欄のほかコミュニティサイトRedditでも、このトレイラーに対する不満を露にするトピックがいくつも立てられている。それぞれ指摘している部分はさまざまあるものの、根底に共通してあるのは「これは私が求めていた第二次世界大戦ゲームではない」という主張である。その象徴として取り上げられている要素のひとつは、映像の中に登場する女性兵士の存在だ。冒頭の家屋に突入する場面から最後のシーンまで幾度も登場し、4人分隊の一員という以上の存在感を放っている。

本作は、第二次世界大戦をテーマにするゲームとして、これまでに描かれることのなかった戦線を取り上げる中で、女性兵士の活躍も描くという。その姿勢は、本作のパッケージにも使用されているキーアート(下の画像)のメインに女性兵士をあてていることからもうかがえる。ただ、このトレイラーは実際のゲームプレイ映像ではないが、イギリス軍とドイツ軍とのマルチプレイをイメージしたHUDがあり、その表示や喋っている言葉からこの女性兵士はイギリス軍側に所属していることが分かる。しかし、第二次世界大戦当時のイギリス軍女性部隊は前線に立つことはなかったため、トレイラーで描かれたような表現は史実に反している、というのが不満を示すファンの主張だ。この分隊のほかのキャラクターについても、時代にそぐわないという声が聞かれる。

このほかにも、義手を付けた女性兵士がクリケットのバットで敵を殴っていたり、同じ分隊の男性兵士が日本刀のような武器を背に携えていたりなど、“ありえない”状況は指摘するときりがない。ただ、これはおそらく意図された演出だろう。本作ではキャラクターのカスタマイズが可能で、装備や見た目を自由に変更できる。また、コスメティックアイテムを報酬として獲得したり、お金で購入することも可能だ。4人分隊での協力プレイミッションも本作での新要素の一つで、映像ではこういった要素を凝縮して紹介する目的があったと考えられ、新作ゲームのトレイラーとしては一般的な手法だといえる。

とはいえ、その映像に数多くの不評が集まっているのが現状である。それはひとえにEA側の狙いと、一部のファンの期待の食い違いの現れだろう。ファンの議論の中では、前作『バトルフィールド 1』の発表トレイラーの方が遥かに素晴らしかったと振り返るコメントも多く見られる。それは第一次世界大戦の雰囲気をうまく表現していたというだけではなく、過酷な戦場を表すかのようにダークで重厚なトーンで描いたことも評価のポイントだったようだ。開発元のDICEは今回のイベントにて、『Battlefield V』では「これまでにない没入感で第二次世界大戦の戦場を体験できる」とコメントしたが、その後で披露された映像が、前述した史実と異なる要素に加え、派手なアクションが中心だったことでチグハグな印象を与え、「これは第二次世界大戦ではない」という批判に繋がってしまったようだ。

そもそもゲームにおいては、実際の出来事をどれだけリアルに描いたものであっても、何かしら事実と異なる点が存在することは当たり前で、それは今回不満を漏らしているファンも理解しているはず。ただ今回のイベントでは、『バトルフィールド』シリーズが第二次世界大戦に回帰し、その映像が初披露されるとあってファンの期待が最高潮に達していた。その本作の第一印象をもたらすこの場面で、“第二次世界大戦要素が薄い”映像を公開することは、はたしてベストな選択だったのかどうかは議論の余地がありそうだ。

もちろんEAおよびDICEはそういった期待を承知で、「ゲームの体験の歴史が変わる」というスローガンのもと、あえて今回の新要素の映像を先にファンに示す価値があると判断した可能性はある。新たな施策の中には、プレミアムパスやバトルパック(ルートボックス)の廃止といった、プレイヤー目線に立った変更もあり、またイベントではキャンペーンモードについてはあまり多くは語られなかったため、こちらではファンも納得の第二次世界大戦を堪能できるかもしれない。ゲームのさらなる詳細はE3およびその直前に開催されるイベントEA PLAYなどで明らかにされていくだろう。『Battlefield V』は、PC/PlayStation 4/Xbox One向けに10月19日発売予定だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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