極寒の街作りシミュレーション『Frostpunk』配信開始。市民を守るために“何”を犠牲にするか?極限状態で決断を繰り返すサバイバル

ポーランドのパブリッシャー11 bit studiosは、4月24日に『Frostpunk』をSteam/GOG.com/Humble Storeにて配信開始した。価格は3090円。『Frostpunk』は、降雪が続く世界にて街を運営するシミュレーションゲームだ。開発には『This War of Mine』のチームが携わっている。

ポーランドのパブリッシャー11 bit studiosは、4月24日に『Frostpunk』をSteam/GOG.com/Humble Storeにて配信開始した。価格は3090円。『Frostpunk』は、降雪が続く世界にて、街を運営するシミュレーションゲームだ。開発には『This War of Mine』のチームが携わっている。

舞台となるのは、雪が降り積もった世界。穏やかな日常は異常な降雪に歪められ、多くの人々が死に絶えた。残された人類はジェネレーターの近くに身を寄せ、明日を迎えるために奮闘する。プレイヤーはこのグループとリーダーとなり、彼らを明日に導くのだ。

プレイヤーがすべきことは、街の運営だ。人々が生活できるように、うまく運営していかなければならない。本作においてもっとも重要となるのは、暖を提供するジェネレーターの稼働だ。これがなければたちまち人々は凍え死ぬ。住民らを近隣の石炭のある場所に送り込み、採掘させることで持ち帰り、ジェネレーターを稼働させる。そしてジェネレーターの周囲に施設を設置し、うまく集落を構築していくのだ。

ジェネレーターの運用のほかにも、木材を採取することで住居を建築し、夜間にハンターに狩りに行かせ(獲得したものを調理)ることで食料を獲得することができる。寒さに耐え忍びながら、うまくサイクルを回し人々に衣食住を提供する必要がある。余裕ができればワークショップにて新たな技術を研究(スキルツリー形式)することで、現在の施設の強化や新たな建物を建築できるようになる。病人のための診療所や建築のための鉄の採掘も必要になってくる。さらには、周囲のエリアにいる生き残った人々をビーコンで探すことも重要だ。基本的な生活ラインを確保しつつ、街を拡大していくことが求められる。

こう表現すると、ルーチンさえ回せればいいという容易なゲームデザインを想像するかもしれないが、本作の難易度は高い。フィールド上に設置されている資源には上限があり、たちまち枯渇してしまう。さらに、日を負うごとに寒さは深刻になっていき、病人は増える続ける一方。人を呼び込んでくれば、結果的に食糧難に陥る。街を拡大し外周を広めていけば、ジェネレーターから距離が離れていき作業できる温度ではなくなる。だらだらと運営していればたちまち住民の生活が圧迫されていく。かといって効率的に進めたとしても、なんらかの資源不足に陥る可能性が高い。

そうした時には、プレイヤーは法律を制定することができる。たとえば重篤な患者をどうするかについて、重荷ながらも看病するか、見捨てるかを法により制定できる。食糧難に陥った時は、質を落として量産できるスープを作るかなど、幅広い法を制定可能。そのほかにも、ゲーム中には現在の状況に応じてランダムなイベントが発生する。決断に応じて住民の希望値と不満値が変動する。うまくこれらの値とにらめっこしながら決断を下す必要がある。本作には昼と夜のサイクルが導入されており、昼はほとんどの人々が働き、夜は休む。もちろん、その間生産が止まる。危機的状況に陥った際には夜にも人々を働かせることができ、不満値を引き換えに資源を入手できる。そうした決断も選択肢のひとつだ。

本作をプレイしているとすぐに、すべてをうまく機能させることは不可能であるとわかるだろう。人類が生き長らえるには、何かを犠牲にしなければいけない。寒さか、住民の健康か、病人か、資源か。何かを切り捨てなければ、前進できなくなってくる。何を重視し何を犠牲にするか?プレイヤーの聡明かつ冷酷な判断が鍵を握る。うまく住民に希望をもたせながら、その裏で何かを切り捨てていく。紛れもなく本作は、『This War of Mine』開発者が手がけた作品である。

過酷さを中心にフォーカスしてきたが、本作は遊びやすさについても十分に配慮されている。チュートリアルも丁寧であるし、トラブルが発生したり施設が機能していない場合には、何が原因かもすぐに把握することができる。リソース管理に関しては、一日の消費量/生産量がわかりやすく確認できる。難易度は高いが、インターフェースがユーザーフレンドリーであるおかげで、ストレスは生まれづらい設計となっている。時間を止めることもでき、歯車が回らなくなった際は落ち着いて原因を突き止めるのが一番だ。親切設計でありながら、数々の脅威がプレイヤーを刻々と追い詰めていく。やりくりを繰り返すうちに、あっという間に時間が溶けてしまう危険な作品だ。

『Frostpunk』は現時点では全編英語ながら、シミュレーションゲームとしてはテキスト量が控えめ、かつUIが直感的で比較的遊びやすい作品だ。さらに、11 bit studiosのこれまでリリースしたタイトルの多くは、発売後のアップデートにより日本語が実装されている。本作の日本語対応にも大いに期待が持てる。この手の作品は早期アクセス作品が多いが、『Frostpunk』はフルリリースタイトルで、発売直後にして一定以上の完成度を誇る。豪華なビジュアルでありながら、価格は3090円とそれほど高価ではないので、シミュレーションゲーム好きの方はぜひ本作を手にとってみてほしい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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