ニンテンドースイッチ向けに20年前の作品の続編が発表。しかし開発元のとんだ勘違いにより、わずか一日で撤回される


ドイツに拠点を置くインディースタジオGolden Mushroom Studioは4月17日、『Glover 2』をニンテンドースイッチ向けに開発中であると発表した。本作は、1998年にNINTENDO64/PC向けに、また翌年には初代PlayStation向けにも発売された3Dアクションゲーム『Glover』の続編である。『Glover』は、手袋を擬人化したような主人公が、アイテムを回収しながらジャンプアクションでステージを進むゲームだ。ステージ内にはさまざまに性質を変化させられるクリスタルボールがあり、手で転がすようにしたり、ドリブルしたりしてボールを運び、難所を突破するゲームプレイが特徴的だった。

オリジナル版の開発元はInteractive Studios(のちにBlitz Gamesに改名)で、1999年に続編を発表したが開発中止となっていた。約20年が経ち、その続編プロジェクトが蘇ったかに思われた今回の発表だったが、Golden Mushroom Studioは、わずか1日で『Glover 2』の開発を撤回する事態となってしまった。なんと、同スタジオは『Glover』の権利を保有していないにもかかわらず、正式な続編として発表していたという。

https://www.youtube.com/watch?v=gznnDV0nKkY

Golden Mushroom Studioは2016年の設立後、他社タイトルへの開発協力を主におこなってきたとしており、あまり表に名前が出る機会はなかった。そのため、『Glover 2』の発表後は期待を寄せる声がある一方、無名のスタジオがどのようにして『Glover』の権利を取得したのかといぶかしむ声が上がっていた。そこで同スタジオはRedditにて、任天堂から承認を受けて実際にニンテンドースイッチ向けに開発中であることや、『Glover』の商標を欧州で登録申請中であることを説明した(Redditのモデレーターに示された文書より事実確認済み)。

オリジナル版の『Glover』は、大手玩具メーカーHasbroの子会社から発売され、その商標も同社が登録していたが、現在は使用されていない。そこでGolden Mushroom Studioは商標登録を申請し、『Glover 2』を発表したのだった。しかし、ここに『Glover』の権利を保有すると主張する別のゲームスタジオPiko Interactiveが現れる。同スタジオは、レトロゲームの権利を幅広く取得し、Steamなどでの再リリースをおこなっており、Hasbroからも『Glover』の権利を買い取っているという。ここでGolden Mushroom Studioは、大きなミスに気付くこととなった。つまり、商標権と版権は別だということ。たとえ『Glover』の商標を登録したとしても、そのゲームを開発して発売する権利を得たことにはならないのだ。

*Interactive Studiosが開発していた『Glover 2』のプロトタイプ映像

Golden Mushroom Studioは、『Glover 2』を開発できるようPiko Interactiveからライセンスしてもらうよう協議をおこなったが、結果的に交渉は不調に終わり、Piko Interactiveに謝罪したうえで『Glover 2』の発売を撤回することとなった。確信犯的に無許可で続編を作るファンゲームとは異なり、彼らなりに手順を踏んだつもりだったようだが、信じられないような勘違いにより、20年ぶりの続編の火はあっさりと消えた。

しかし、彼らの『Glover』への情熱は冷めてはいないようだ。ゲーム内容はそのままに、登場キャラクターを変更して『Glover』の“精神的続編”としてプロジェクトを続行させる計画だという。もちろんタイトルも変更し、新たに『Manopler』と名付けている。すでに開発はある程度進んでいるようで、Joy-Conのモーションコントロールや、マルチプレイにも対応するとのこと。そして、今年6月にアメリカで開催されるE3 2018にて披露する予定だとしている。

https://twitter.com/GMS_GER/status/986984847146135552