発売延期を繰り返していたPC版『イースVIII』Steamにてついに発売。しかしユーザーから不具合報告が相次ぎ、最適化不足が露呈


日本一ソフトウェアの米国子会社NIS Americaは4月17日、アクションRPG『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』のPC版をSteamにて発売した。価格は5980円。本作は、日本ファルコムが開発し、PlayStation Vita(2016年)およびPlayStation 4(2017年)向けに発売された『イース』シリーズ最新作の移植版だ。移植作業は日本一ソフトウェア側でおこなわれた。

このPC版はもともと昨年9月に発売予定だったが、最適化作業が難航し幾度も延期を重ねていた。そしてようやく発売までこぎ着けることができたが、Steamレビューは本稿執筆時点で75パーセント以上が不評という状況となっている。その内容の多くは、まさに最適化不足への指摘だ。

ユーザーから報告されている問題は多岐にわたるが、中でも多く報告されている問題のひとつはクラッシュ(強制終了)の頻発だ。あるユーザーは、プロローグを終えてチャプター1に入ったところで毎回クラッシュするとコメントしており、レビューでも同様の指摘が見られる。そのほかにもクラッシュを引き起こす場面が多々あるようだ。

この問題についてはNIS Americaも認識しており、すでに調査を開始しているとのこと。そして根本的な解決を見るまでの当面の対策として、Steamクライアントのコントローラー設定から、検出されたコントローラーに合った設定サポートを選択(たとえばXbox Oneコントローラーを使用しているのであれば、「Xbox設定サポート」を選択)してからプレイすることを勧めている。これで少なくともゲーム起動時にクラッシュすること(およびコントローラーに起因するフレームレートの低下)については、多くの場合で回避できるだろうとしている。またユーザーの間では、描画設定の影描写などをオフにすることで全体的にクラッシュを軽減できるという報告もある。

NIS Americaは、Steamフォーラムにて報告されている既知の問題を挙げ、今後のロードマップを明らかにしている。それによると、まずVSyncが機能していない問題については、48時間以内に修正する予定だという。そして、コントローラーの検出やアナログスティックの入力(360度ではなく8方向入力となっている)、特定の場所での画面のチラツキ、影が正しく描画されないといった問題に、クラッシュへの対策と共に取り組むとのこと。そのほか、音飛びなどの音声関連、フルスクリーン設定が機能しない、またテキスト表示に関する問題などにも続いて対応するとしている。

本作はPS4版をオリジナルとしてPCへの移植がおこなわれた。NIS Americaが今年1月に3回目の延期を発表した際には、PS4版のアーキテクチャに起因する問題があり、プログラムのコア部分に手を入れざるを得ないとし、開発会社を変更して最適化を進めるとしていた。そして先月時点ではNIS America社長の山下卓朗氏は、ほんのわずかというジェスチャーを交えて「いくつかの小さな問題が残っている」と、作業が前進していることをうかがわせるコメントを残している(関連記事)。

昨年から本作のベータテストに参加していたというあるユーザーは、画面解像度の設定が内部描画解像度に反映されていない点などを指摘し、本作はPC版『ダークソウル』の移植に匹敵する出来だと評している。同作もPCへの最適化不足が指摘された作品だ。ただ、のちにMod開発者DuranteことPeter Thoman氏らによる最適化Modなどにより評価を持ち直している。ちなみに、この『イースVIII』においても、NIS Americaは過去にDurante氏に助言を求め、一定の改善を見たことを報告している。いまユーザーから寄せられている各種不具合が、山下氏の言う小さな問題そのものかどうかは分からないが、ユーザーの反応を見る限り、ゲーム体験への影響は決して小さなものではなく、早急な改善が求められる。NIS Americaは、何か問題を発見したらフォーラムにて報告してほしいと呼びかけている。