イカダを作り大海原をゆくオープンワールドアドベンチャー『Make Sail』早期アクセス版発売。すべてを風に任せて進め
インディースタジオPopcannibalは3月31日に、Steamにて『Make Sail』の早期アクセス版を発売した。価格は2050円で、4月7日までは10%オフの1845円で購入できる。『Make Sail』は、海を舞台としたオープンワールドアドベンチャーだ。以前弊誌でも紹介したように、クラウドファンディングサイトFigにて5万8000ドルを集め開発された(紹介記事)。Popcannibalは、『Girls Like Robots』を手がけたスタジオである。
主人公は、世界に散らばる「嵐の目」を集めるという使命を遂行すべく、島々を渡ることになる。三人称視点にて、海と島の両方を探索していくのだ。世界は海に覆われており、移動する乗り物が不可欠だ。そこで、海に浮かべるイカダを作ることになる。同ジャンルの作品としては、船を緻密に設計する『The Last Leviathan』という作品が早期アクセス販売されているが、それに比べると『Make Sail』はいくらかカジュアル。重量による影響や風との相性はあるもののそこまでの緻密さは求められず、レゴブロックを作るような感覚で船を作ることができる。
しかし航海となると、ゲームプレイはやや厄介になる。というのも、作ったイカダは直接操作できないのだ。プレイヤーができるのは帆を立てるか下ろすか、そして舵を左右どちらに切るかのみ。前進/後進といった操作はできない。プレイヤーを運ぶのはあくまで「風」なのである。風に揺られながら、帆をうまくコントロールをして進む。さしずめ、風を操作できない『ゼルダの伝説 風のタクト』といったところだろう。
またこのイカダには物理演算が導入されているので、イカダと風向きの相性が悪いといとも簡単に転覆してしまう。こうした仕様もあってか、目的地にたどり着くには時間がかかることが多い。ただし、作ったイカダは壊れてもすぐに再生する。資源の損失などは生まれないので、気軽に作り変えることも壊してしまうことも可能。試行錯誤を重ねてベストのイカダを作ろう。
本作のプレイ時間の多くは、海の上で過ごすことになる。それを許容できるかが評価の分かれ目となるだろう。本作の魅力は、トゥーンレンダリングを取り入れて鮮やかなビジュアルと、アンビエントなBGMにより形成される、独特の雰囲気だ。こうした雰囲気に浸りつつ、のんびりと航海をしたいというプレイヤーには満足できる作品になりえる。一方で、島を積極的に渡っていきたいという探索願望を持つプレイヤーは、航海の要素にフラストレーションを感じるだろう。
早期アクセス期間は1年で、島や船のパーツが追加されていく予定だ。船を組み立てることが目的ではなく、イカダに乗り島を渡り「嵐の目」を集めることが目的であるので、アドベンチャーゲームに近い。現時点ではチグハグな点も多いが、自分のイカダを作り美しい世界を冒険できるという魅力は、本作ならではのものだろう。ゲームの成熟やコンテンツの追加次第では大きく化ける可能性もある。気になる方は購入せずとも、ウィッシュリストに入れてみてはいかがだろうか。