ゲームエンジン「CRYENGINE」バージョン5.5へのアップデートに合わせて、5パーセントのロイヤリティベースモデルに変更
Crytekは3月20日、同社が提供しているゲームエンジン「CRYENGINE」について、新たにロイヤリティベースモデルを導入し、ユーザーに提供すると発表した。同社は2016年に現行バージョンであるCRYENGINE Vをリリースし、同時に「Pay What You Want」、つまりユーザーが利用料を0ドルから自由に決めることができる方式を採用していたが、CRYENGINE 5.5へのバージョンアップに合わせて見直しを計った形だ。
CrytekがCRYENGINEユーザーに求めるロイヤリティは、総収益の5パーセントである。ただし、個々のプロジェクト単位で年間収益の最初の5000ドルについては除外される。つまり、年間5000ドル以上の収益を上げたゲームがあれば、それに対して5パーセントのロイヤリティをCrytekに支払い、5000ドル以下であれば利用料は無料ということになる。
なお、現在Pay What You Wantモデルを利用してゲームを開発中のユーザーは、CRYENGINE 5.5以降にバージョンアップするためには、そのプロジェクトをロイヤリティベースモデルに切り替える必要がある。また、今年6月30日を過ぎれば、進行中のすべてのプロジェクトはロイヤリティベースに自動的に移行するとのこと。ただし、もしPay What You Wantモデルのまま続行させたいプロジェクトがある場合は、6月30日までにCrytekに届け出てほしいとしている。そのほかの利用条件などの詳細は、公式FAQを参照してほしい。
Crytekは同日、最新バージョンであるCRYENGINE 5.5のプレビュービルドの提供を開始している。このバージョンはCRYENGINEコミュニティからの意見に加え、Crytekが手がける『Hunt: Showdown』の開発チームからのフィードバックをもとに開発されたという。ユーザーはエディターソースコードへのフルアクセスが可能なほか、新要素としてはコンソールでのSVOGI(Sparse Voxel Octree Global Illumination)のサポートや、Terrain(地形)システムにおける複数の物質の重量やブレンドへの対応、サンドボックスUI/UXの改善などが挙げられる。また、ゲーム開発経験のない初心者が段階を追って学べる10項目のビギナーコースも用意されている。
サードパーティのゲームエンジンとして、CRYENGINEは自社の『Hunt: Showdown』のほか、『Kingdom Come: Deliverance』や『Prey(2017)』などの注目作でも採用されているものの、近年報じられることの多いCrytek自身の経営難もあってか、成長著しいUnityやUnreal Engineとは水をあけられた格好だ。今回のバージョンアップやビジネスモデルの変更は、新たなユーザーの獲得に繋がるだろうか。