『龍が如く6 命の詩。』海外版本編が誤って無料で配信される。体験版として配信されるがアンロックが機能せず、現在は取り下げ
『龍が如く6 命の詩。』の海外版のゲーム本編が、PlayStation Storeにて誤って無料で配信されていたようだ。国内向けには『龍が如く6 命の詩。』として2016年12月に発売された同作は、海外向けには『Yakuza 6: The Song of Life』として、2018年4月の発売が予定されている。そして発売に先駆け、現地時間の2月27日に、欧米のPlayStation Storeにて『Yakuza 6: The Song of Life』の体験版が配信された。しかし、体験版と名付けられ配信されたこの作品は、実は体験版ではなく本編だったのだ。
この事件が公になったのは英語のセガアカウントによる告知だ。セガは『Yakuza 6: The Song of Life』の体験版の配信を取り下げたことを発表し、謝罪。その理由として、ゲーム本編をアンロックできてしまうことを発見したことをあげている。あわせて、問題が解決するまで再配信を見直すことも発表された。早急に配信をとりやめることで、情報が共有され、多数の本編がダウンロードされてしまう事態を避けようとしたのだろう。
We apologize, but have had to remove the Yakuza 6: The Song of Life demo from the PlayStation Store. We are as upset as you are, and had hoped to have this demo available for everyone today. We discovered that some were able to use the demo to unlock the full game. 1/2
— SEGA (@SEGA) February 27, 2018
ではなぜ本編がアンロックされるという事態になったのだろうか。『Yakuza 6: The Song of Life』においては、体験版の配信前からそのファイルサイズの大きさが海外メディアでも取り上げられていた。そのファイルサイズは約36GB。『龍が如く6 命の詩。』の体験版は国内向けに配信されており、そのサイズはやはり約33GBと膨大だ。ゲーム本編のファイルサイズは約36GB。つまり、多少のファイルのサイズ差はあるものの、本編のコンテンツを含めた体験版を配信していたことが予想される。体験版は1章の途中までを遊べるという限定的なものながら、コンテンツを本編から切り出し体験版向けにパッケージを作るのではなく、本編をそのまま配信しアンロックするという形式を採用していたことが、今回のような事態を呼んだわけだ。
また本編をアンロックするのも、いたって容易であったと海外ユーザーから報告されている。体験版に存在するはずの“バリアー”が存在せず、進めることができた。不正な手段を使っておらず、ただプレイするだけで終盤まで進めることができているとも報告されている。つまり、体験版がアンロックされたというより、そもそも本編が配信されていたという表現が妥当だろう。
セガはPlayStation Storeから体験版を取り下げ、かつオンラインを介してすでにダウンロードされたユーザーの体験版をロックし遊べない状態にしている。こうしたロックを回避しようとしてか、ネット上では「オフラインのままなら、ゲーム本編を最後まで遊ぶことができる」との投稿も見受けられる。セガもこうした強行停止による反応を見据えて、Twitter上であらかじめ謝罪したのだろう。セガのスタッフはredditにて、ダウンロードされた体験版のロックはおこなっているものの、体験版を遊んでいるユーザーにペナルティを課すことはないとも語っている。
誤って無料にて本編が配信されるというのは前代未聞であるが、セガの素早い対応によって被害も最小限に抑えられ、かつユーザーとの関係もこじれずに済む結果となった印象だ。アンロックが機能しないという事態は稀だと思われるが、本編のコンテンツを含んだ体験版の配信には、こうしたリスクが存在するのだろう。体験版用に新たにパッケージを作るのは手間・コストともにかかると思われるが、30GBを超えるファイルはユーザーの回線・ストレージの観点で見てもユーザーフレンドリーとはいえない側面もある。ゲームファイルが肥大化するこの時代においては、体験版をどのような形態でリリースするかも悩ましい選択になりそうだ。