オートバイ型のハンドルコントローラー開発中。VRデバイスやコンソール機に対応予定、お値段約9万円から

スペインの起業家Salvador Felip Llopis氏は現在、Kickstarterで自動二輪車型コントローラー「LeanGP」を商品化するプロジェクトを公開中だ。「LeanGP」本体が付属するのは、699€(約9万2000円)以上のバッカーからとなっている。

スペインの起業家Salvador Felip Llopis氏は現在、Kickstarterで自動二輪車型コントローラー「LeanGP」を商品化するプロジェクトを公開中だ。「LeanGP」本体が付属するのは、699€(約9万2000円)以上のバッカーからとなっている。

「LeanGP」について、Llopis氏はKickstarterのプロジェクトページ上で次のように説明している。

「カー・ゲーマーには、家にいながらドライバー気分を味わえるステアリング・ホイールやペダル、シート、その他の構成部品がある。だけど私たち(バイクレース・ゲーマー)は、20年前からゲームパッドを使うしかなかったんだ。私が世界初の、折り畳み式で手頃なバイク・シミュレーターをデザインし販売する。そうすれば、バイク・ゲームのファンは、自宅でバイクに乗るスリルを楽しめるんだ」

https://www.youtube.com/watch?v=4v7QAu-M29Y

「LeanGP」はカーレース・ゲームにおける、いわゆるハンドルコントローラーにあたるもので、バイクレースのためのコントローラーだ。プロジェクトページによれば「LeanGP」の重量は40kg、大きさは120 × 70 × 70cm。本物のオートバイ同様に跨ることができるシートも備えているため、「LeanGP」はハンドルコントローラーという言葉のイメージからは大きくかけ離れており、一見するとシミュレーターと呼ぶ方がふさわしいように見える。実際、Llopis氏もKickstarter上ではシミュレーターという言葉を使い、次のように開発の経緯について語っている。

「起業家であり、ずっとオートバイに情熱を注いできた私は、常々疑問に思っていた。自動車ゲーム用のシミュレーターはたくさんあるのに、なぜ二輪車ゲーム用のシミュレーターはないんだろうと。私は仕事で経営とマーケティングを学びながら長い間貯蓄を蓄えたが、夢を実現するため、このプロジェクトにすべてを投資することに決めたんだ」

では「LeanGP」はただのコントローラーではなく、シミュレーターと呼べるのだろうか。その点については、疑問がわいてくる。気になるのは「LeanGP」は現時点でFFB(フォースフィードバック)に対応していないと思われる点だ。昨年時点で、Xsimulatorの「LeanGP」フォーラム上では、モーターの搭載されたモデルと非搭載のモデルの2種類を用意することが示唆されていたようだ。しかし、現在のプロジェクトページではアクチュエーターの搭載は1,25m€、FFBエンジンについては1,75m€のストレッチゴールに、それぞれ設定されている。ファンディングゴールの20k€(約260万円)は現時点で既に突破しそうな勢いだが、1,75m€(約2億3000万円)という巨額のストレッチゴールを達成できるかは未知数だ。

ハンドルコントローラーでゲームをプレイした経験の豊富な方であれば、FFBに対応しているかどうかで、フィーリングに大きな差が出ることはよくご存じだろう。オートバイの運転についてはジャイロ効果(物体が自転運動をする際に、自転が高速なほど姿勢を乱されにくくなる現象)が関係していることは、広く知られている。またコーナーを曲がる際のオートバイの安定性に関しては、ジャイロ効果だけではなく、コーナーへ侵入するスピードなど、さまざまな要因が絡み合っているのだ。だからこそバイクレースのゲームは、不測の転倒も含め楽しむことができるともいえるのだが、オートバイを取り巻く力学はとにかく複雑で、機械的な再現が難しい分野だ。「LeanGP」は、前述したように現状ではおそらくFFBに未対応と思われる。車体の傾きは、ばねによって再現されているにすぎない。オートバイが持つコーナリングの感覚が再現できているとは考えにくいだろう。FFBに対応するかだけではなく、現状のスペックを考慮すると、本製品がどこまでオートバイという複雑な機械をシミュレートできるのかは未知数だ。

シミュレーターといえるかどうかはともかく、「LeanGP」はコントローラーとしては充分な機能を有している。PlayStation4、Xbox One、Nintendo Switch、Windows XP以降のPC、スマートフォン、Oculus Rift、HTC Vive、PlayStation VR、モバイル・バーチャル・リアリティ、すべてのビデオゲームに対応が予定されいるので、さまざまな用途で使えることだろう。特別な設定の必要もなく、プラグ・アンド・プレイで動作するとのこと。

対応ゲームの例として日本では2018年3月22日発売予定のモンスターエナジー AMAスーパークロス公認モトクロス・レーシング・ゲーム『Monster Energy Supercross – The Official Videogame』や、モトクロス世界選手権公認の『MXGP3 - The Official Motocross Videogame』、PS VRに対応した『MOTO RACER 4』、二輪ロードレースの最高峰であるロードレース世界選手権を完全再現した『MotoGP 17』、230種もの車種が収録された『Ride 2』、古くは2009年の『MX vs. ATV Reflex』までが紹介されている。なかには『Urban Trial Freestyle』のような、どう考えても「LeanGP」での操作には不向きなゲームまで含まれているのが面白い。そんなところからも、すべてのビデオゲームに対応という自信がうかがえる。個人的には「LeanGP」でフリースタイルモトクロスのトリックを決めた際に、どんな気分になるのか興味深い。VR対応のゲームでは、臨場感のあるプレイが楽しめるだろう。

他にも「LeanGP」は、メーターパネルをスマートフォンに表示し、アプリでオリジナルデザインを作成する機能も備えている。ただ、こちらは現在PC版の『GP bikes』でのみ対応しているようだ。
実際のオートバイ同様、ハンドルやペダルをカスタマイズするためのパーツが用意されているのも、普通のコントローラーではお目にかかれない面白いところだろう。ちなみに「LeanGP」は折り畳み式だと記載されているが、折り畳めるのは台座部分だけのようだ。保管場所には苦労が予想される。

現時点では機能への物足りなさはいくつか感じられるものの、オートバイへ情熱を燃やすユーザーにとっては、10万円足らずの価格は安く感じられるかもしれない。本日時点で、締め切りは40日後となっている。気になる方は支援して、ゆくゆくは友人に自慢するのも面白いのではないだろうか。

Masahiro Yonehara
Masahiro Yonehara

ゲーム世界の散策とスクリーンショット撮影を趣味にしています。コア、カジュアルを問わず、ハードルが低く奥が深いゲームに惹かれます。

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